『エンドロールのつづき』
【原題】Last Film Show
【製作年】2021年
【製作国】インド、フランス合作
【監督】パン・ナリン
【主なキャスト】バビン・ラバリ、 リチャー・ミーナー、 バベーシュ・シュリマリ、 ディペン・ラバル、 ビーカス・バータ
こちらも、昨年の公開時には観ることができなかったのですが、もう DVD が発売されていました。
貧しい少年が、映画に魅せられ、映画を作りたいと考える。
『ニュー・シネマ・パラダイス』が思い出されますが、そこはインド
ノスタルジックなだけでなく、パワフルで、カラフルで、少々埃っぽくて…
香辛料たっぷりの料理を食べて、体温が高くなったように、あったまりました。
監督の実体験がベースだそうですが…
なんちゅー 悪ガキなんだ
小心者の私は、ハラハラしてしまいましたが…
生存競争 激しいから、あれくらいパワフルでなければ、生きていけないのかも?と、思ったりもしました。
主人公は、インドの田舎町で暮らす、9歳の少年サマイ。
学校から帰ると、父のチャイ店を手伝っています。
厳格な父親は、映画を低劣なものと考えていましたが、
信仰するカーリー女神の映画だけは別で、家族で観に行き…。
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ネタバレあります。
一口にインドと言っても、広うござんす。
この映画は、『グジャラート語』で話されているそうですが、
ガンジーの出身地でもあるという、グジャラートってどこやねん?
無知なので、存じ上げず。 調べてみると、インドの西部で、デリーとムンバイの間でございました。
ということは、あの美味しそうな、お母さんの料理は、『グジャラート料理』ということですかね。
いつも微笑んでいる、素敵なお母さん。 普段は一歩下がっているけれど、いざとなったらビシッとして、カッコ良かったな
調理する様子を何度も映すのは、きっと、お母さんへの監督の想いが強いのでしょう。
野菜を包んだ『薄いチャパティ』や、『ほうれん草のドクリ』が食べてみたいものです。
このお母さんのお弁当のおかげで、
サマイは、映写室に入れてもらい、映写の仕組みを知ることができたのですから、一番の功労者は、お母さん
印象に残っているのは、初めて映画を観たシーン。( サマイは 5歳の時にも観たらしいけど )
スピルバーグ監督の『フェイブルマンズ』では、少年は、列車が車と衝突するシーンに衝撃をうけていましたが…
サマイは、光の帯に興味をもちます。
手を伸ばし、後ろを向いて。
その後も、カラーガラスで実験したり、日光や鏡を利用したり、映写に夢中になっていきます。
古いミシンやガラクタを集めて、友だちと、映写機を作ったのは、皆の瞳が輝いていて、微笑ましかった
その前に、悪行があったわけですが。
ただ…『映画とは光である』という視点は、おもしろかったのですが、映画愛が溢れているかどうかは…?
そこまでは、描かれていなかったかと思います。
サマイの周りの大人が、彼の背中を押してくれたことが、彼の旅立ちに繋がりました。
お母さんのお弁当に釣られたとはいえ、フィルムに触れさせてくれた、映写技師ファザルもですが…
先生のアドバイスがナイスでした。
映画を作りたいなら『英語を勉強しなさい』そして、『町を出なさい』と。
人との出会いが人を変える。
こういう物語は、やっぱりいい
でも、冷静に考えると…
あの子、旅立つには幼すぎへんか? また悪さ、せえへんか?
お父さん、叩くだけでなく、教えることあるんとちゃうの?
これからのサマイが 心配にもなるのでした。