『カラーパープル 2023』

【原題】The Color Purple

【製作年】2023年【製作国】アメリカ

【監督】ブリッツ・バザウーレ

【主なキャスト】ファンテイジア・バリーノ、 タラジ・P・ヘンソン、 ダニエル・ブルックス、 コールマン・ドミンゴ、 コーリー・ホーキンズ、 H.E.R.、 ハリー・ベイリー、 ジョン・バティステ




周囲には、すすり泣く方もいらっしゃったのですが…
そこまで感動しなかった私は、捻くれているのか? 冷血人間なのか爆笑

絶賛の嵐のようなので、とても言いにくいのですが、
歌とダンスは、“ A ” だけど、
感動レベルは、“ B ” という感じです。


原作未読ですし、ブロードウェイ・ミュージカルも、観たことがありませんが、1985年のスピルバーグ監督作は、以前、DVD で観たことがあります。

横暴な男性たちに、言葉を失いましたが、胸に迫りくるものがありました。 


ミュージカル仕立ての今作は…
迫力ある歌唱が、素晴らしかった。
揃った群舞は気持ちいいし、キレッキレのターンはカッコいいウインク


でも、ダイジェスト版のようで、物足りなく感じたのも事実。
本国では、誰もが知っているストーリーだから、端折っても大丈夫なのでしょうが。

何故、今、映画化するのか? 
その意義を考えたら、悲惨で残酷で、目を背けたくなるけれど…
核になる部分や、登場人物の心情をきっちり描いた方が良かったのでは?と思いました。

何度も言いますが、歌とダンスは凄かったのですが。


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少々ネタバレあります。






描かれているのは、1900年代初頭の、アメリカ南東部。
差別が色濃く、ブラックの、しかも女性の生きづらさと言ったらえーん

困難な状況でも、手に手を取って、生き抜く女性たち。
『生きる』そして、『私は美しい』という魂の叫びは、力強かった。


それに対して、なんて身勝手で、横暴な男性たちプンプン 
結婚=夫の奴隷、という考え方や、娘を性の対象とみる父親に、吐きそうになります。 ( 表現は、かなりマイルドになっていましたが )

そんな中、若いハーポは、期待できそうでした。 古い世代との橋渡し的な存在、といったところでしょうか。
この作品も、その立ち位置を目指しているのかもしれません。


個人的に 残念だったことも。
◆ タイトルにもなっている紫色の花が、ショボかったことえーん
自分が、トルコキキョウ、フジバカマ、ロベリアなど、紫系の花が大好きなこともありますが。

『カラーパープル』には、様々な色の花があるけれど、この紫色の花にも目を向けてほしい、という願いが込められているのではないでしょうか。

宗教色強い作品なので 、神が作り出した美しさ、それを感じる気持ちも含めての、『カラーパープル』なのだとも汲み取れます。 恩寵のような意味で。

そんな重要アイテムであるはずの、紫色の花。 一面に咲き誇るところが見たかったのです。
( エンディングの、キルトに描かれていたのに、少し救われましたが )


◆ 自分がイメージしていた、か弱くて健気な “ はずの ” セリーが、貫禄ありまくりました。

このセリーなら、心配しなくてもなんとかするだろう、という気持ちになっておりましたショボーン
( これは勝手にセリー像を思い描いた、自分が悪い )

ブロードウェイでも主役だった方だけに、歌声は素晴らしかったです。


パワフルな女性ソフィア役の、ダニエル・ブルックスは、適役で、弾丸みたいに迫力ありました。


私が一番惹かれたのは、シャグ役の、タラジ・P・ヘンソン。
伸びのある歌唱に、ウットリ。 場を支配する存在感もあったと思います。

特に、セリーとのデュエット、ピアノのジョン・バティステとのセッションに聴き惚れましたラブ



単純なので、ミュージカル映画を観ると、1週間くらいは、劇中歌が頭の中を駆け巡るのですが…
そんな、インパクトのある新曲がなかったのも残念でした。


帰り道、全く関係ない『Jupiter』の旋律を口ずさんでいる自分に驚きました。

それは、『神』や『赦すこと』が、この作品の根底にあったからかもしれません。