『名探偵ポアロ : ベネチアの亡霊』

【原題】A Haunting in Venice

【製作年】2023年【製作国】アメリカ【監督】ケネス・ブラナー

【主なキャスト】ケネス・ブラナー、 ミシェル・ヨー、 ティナ・フェイ、 ジェイミー・ドーナン、 ジュード・ヒル、 カイル・アレン、 カミーユ・コッタン、 リッカルド・スカマルチョ




ケネス・ブラナーが、監督し、ポアロを演じるシリーズの 3作目。


正直、過去 2作は、それなりに愉しめたものの、大満足というわけではありませんでした。



◆『オリエント急行殺人事件』は、

ジョニー・デップ、ミシェル・ファイファー、ペネロペ・クルス、ジュディ・デンチ… という豪華キャストで魅せました。


でも、自分のイメージのポアロとは違ったので (カッコつけてる気がして…)、最後まで違和感があり、も一つ嵌まれませんでしたショボーン



◆『ナイル殺人事件』は、人間ポアロも描き、サロメとの、大人の恋が始まるんじゃないかと、ちょっとドキドキしたものの、残念な気持ちにもなりました。


豪華客船で優雅に過ごす、セレブが観たかった。これじゃないのよ、と心の中で呟いておりましたショボーン


イマドキですから、多様性を意識したのは、わかるのですが…


ゴージャスだった昔の作品 ( ジェーン・バーキン、ミア・ファロー、オリヴィア・ハッセーたちが出ていた ) と比べると、全体的に地味でした。




で… 3作目の今回。

原作をかなり改変したそうですが…

亡霊が題材、舞台がベネチア。

それだけでも、雰囲気ありますおねがい


ずっと胸騒ぎがするような感じがするのも、それを増幅させる音楽もいい。

3作の中で、一番好きです。


もう少し、オカルト風味を味わいたかったし、謎解きが急ぎ足だったのは、気になりましたが。



ケネス・ブラナーのポアロぶりも、板についてきたように感じました。

(名優に対して、エラそうだけどウインク)



ちょっと弱っていて悩めるポアロ。

今は『ケース (事件) よりケーキ』の彼は、ちょっと切れ味が悪かったけれど… 


それが好ましかったのです。カッコ悪くていいやん。


で、スイッチが入ると流石は名探偵。

特に、犯人を告げるシーンは、惹き込まれました。



あらすじは…。



1947年、ベネチア。

名探偵エルキュール・ポアロは、半ば引退状態です。


もう誰にも会いたくない彼でしたが…


ハロウィンの日、旧知の作家に誘われ、亡霊が出るという、謎めいた屋敷での、降霊会に参加することになります。


そこに現れたのは、死者の声を話せるという、霊媒師レイノルズでした。


そして、そこに集まった人物が、不可解な亡くなり方をし…。



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少々ネタバレあります。





舞台のベネチアが、一番の “大物キャスト” なのかもしれません。

オープニングやラストの風景、ゴンドラでの移動にうっとりします。


妖しげな屋敷だけでなく、小物も凝っていて、からくり時計や、影絵、調度品も素敵でしたおねがい



なんですが… 何故だか、時々、横溝正史の世界にいるようにも感じました。


オカルトなので、おどろおどろしいですし、仮面が能面チックだからか?


アジア系のミッシェル・ヨーが、霊能者レイノルズを演じていた影響かもしれません。



元従軍看護婦のレイノルズ。

ミシェル・ヨーの存在感は、期待通りでした。 


登場時間は短かったのですが、あの低音で堂々と話されたら…

チョロい私なんて、すぐに信じてしまいそうですウインク



死者の声を話せるというと、イタコを思い出しますが、表現方法は違っていました。


このシーンは、音響も効果的で、観客全員が固唾を呑んでいる感じがして、ゾクゾクしました。




降霊会に集まった人々は、みんな何かを抱えており、みんな欲深くて、みんな怪しい。

偽りの顔で生きている、哀しい人たちでした。



犯人は、幾つかの気になるポイントから、“もしかしたら、この人かも?” と予想した人物でしたが…


そうと確定してしまったら、とても切なくなりましたショボーン




クセ強めなキャストの中でも、準主役?と思うほど光っていたのは、レスリー医師の息子 レオポルドくん。


軍医として、多くの死を見たことで、心が壊れてしまったレスリー医師。

そんな父親を支える、しっかり者の男の子です。

あまりにも賢くて、今後が、少々心配になりますがニヤリ



演じているのは、『ベルファスト』の主人公だった、ジュード・ヒルくん。


しかも、パパ役も同じく、ジェイミー・ドーナンじゃないですか!!

何だか嬉しくなるのでした。


そう言えば、『ベルファスト』のお母さんは、アガサ・クリスティーのファンでしたっけ。



前歯が可愛いジュード・ヒルくん。

表情豊かで、演技力もあるので、今後もブラナー監督に起用されそうですニコニコ




引退するのか? せーへんのか?


もし、『ポアロ』シリーズが続くなら、順番はアレだけど、『地中海殺人事件』が観てみたいのですが。



     ✣ ✣ ✣ ✣ ✣



以下、大いなるネタバレになるかと思いますが… 備忘録です。









帰り道、はてなモードだった私。


シャクナゲが毒って?

あ、そうだった。 葉っぱだ。

確か、似たような名前の生薬があったはず。 何だっけ?


ということで、調べました。



日本ではシャクナゲを『石楠花』と書くことが多いですが…


『石南花』とも書いたりするので、生薬の『石南葉 (セキナンヨウ) 』と勘違いする人がいて、過去には、中毒症状で入院した人もいるようです。


シャクナゲの葉には、グラヤノトキシンが含まれ、厚生労働省の『自然毒リスト』にも入っているそうです。


薬効はないどころか、毒があるので、口にしてはダメ。

神経毒で、嘔吐、痙攣、血圧低下 等を起こす場合があるそうです。



以前読んだ、生薬の本にも書いてありました。 あらあら。


自分のダメっぷりを、またもや痛感することに相成りました爆笑