『TAR / ター』

【原題】Tar

【製作年】2022年【製作国】アメリカ【監督】トッド・フィールド

【主なキャスト】ケイト・ブランシェット、 ノエミ・メルラン、 ニーナ・ホス、 ジュリアン・グローヴァー、 アラン・コーデュナー、 ゾフィー・カウアー、 マーク・ストロング




“観たらクタクタ” 系ではありましたが…

とにかく、ケイト・ブランシェットが凄かったですラブ

ゾクッとする凄み。しかも綺麗♡
畳み掛けるような大量の台詞。ドイツ語も流暢に話し、演奏シーンは、本物の指揮者みたいです。

実在の人物の、ドキュメンタリーを観ているようでした。


名声と権力を手に入れた、女性指揮者。
その “力” を使い、周囲を振り回し、傷つけますショボーン

でも、思ったのです。女性だから、この衝撃になったのではないかと。


あらすじは…。


ドイツの有名交響楽団の、首席指揮者であるリディア・ター (架空の人物です) は、

マーラーの交響曲第5番の演奏と、録音のプレッシャー、新曲の創作に苦しんでいました。

そんなある日、かつて彼女が指導した女性が、亡くなったことがわかり…。


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ネタバレあります。



 



途中までは、集中力が切れそうになるくらい、冗長に感じました。
しかも、説明不足で、謎が謎のまま終わった印象です。

でも、これはケイト・ブランシェットを堪能する映画だと、方向転換して観ることにしたら、最高に思えてきましたチュー



リディアのことを “パワハラ女、許すまじ” と、一旦は思いました。

勿論、パワハラは駄目ですし、亡くなった女性の両親が訴えるのも、無理はないと思います。

でも… 彼女に、同情してしまう部分もあって。

わざとでしょうが、彼女の周りには、不快にさせられる人物が多いのですショボーン


何言ってるのかわからない、お向かいさんは、意味不明なタイミングで、怒鳴り込んでくるし、

若いチェロ奏者は、リディアに気に入られようと、最初は笑顔を振りまいていたのに… とんでもない礼儀知らずでしたプンプン


講義中、ずっと貧乏ゆすりする男子学生は、リディアに論破され、逆ギレ。
先生に向かって『ビッチめ』と、捨て台詞を吐いて退場するプンプン

そして、この様子を隠し撮りした “誰か” が、リディアに不利になるように動画を編集して、拡散します。

持ち上げといて、何かあると、寄ってたかって批判する。それも、完膚なきまで。

“キャンセルカルチャー” って言葉、最近よく聞きますが、恐ろしいし、吐きそうになりましたえーん

もしかしたら、誰かが、リディアを貶めるためにやっているのではないか?とも思えてきます。

突然消えた、助手のフランチェスカなら、全てできたはずだけど…。
(単純なので、この辺から、リディアを応援したくなっておりましたチュー)


音に敏感な彼女は、小さな音がすると目が覚めてしまいます。
薬のせいなのか?幻聴や幻覚もあり、その様はスリラーのようでした。

パワフルで、颯爽としているけれど、繊細で、ビクビクしていて…
今の地位になるためには、虚勢を張らないといけなかったのでしょう。
カッコいいけど、哀しいのですえーん



で… このショッキングな物語のラストは、ある意味、一番の衝撃でした。


たとえ、会場がどこであっても、観客のコスチュームがどうであっても、
彼女は、音楽に真摯に向かっていました。


今は逆風が吹き荒れているけれど…
いつかは、風が止むかも? 頑張ってほしいと思うのでしたおねがい