『ザ・スクエア / 思いやりの聖域』
【原題】The Square
【製作年】2017年
【製作国】スウェーデン・ドイツ・フランス・デンマーク合作
【監督】リューベン・オストルンド
【主なキャスト】クレス・バング、 エリザベス・モス、 ドミニク・ウェスト、 テリー・ノタリー
懲りずに、リューベン・オストルンド監督の作品です。
賛否両論らしいですが、観てみないことには…と、チャレンジしたものの、ずっと眉間にシワでした
でも、目が離せないのです。
狙っているのでしょうが、好感を抱ける登場人物が、ひとりもいません。
あ、赤ちゃんは可愛かったな
カッコつけてる主人公はもちろん、彼と関係をもつアンも、セレブたちも、主人公の部下や広告マンも。
本来なら同情すべき貧困層の少年も、圧が強くて、口うるさいクレーマーのようなのです
でも、その不快さがクセになり、最後まで観てしまうのだから、監督の狙い通りの、チョロい私です
ネタバレあります。
主人公は、現代アート美術館のチーフ・キュレーターであるクリスティアンです。
彼が新しく手がける展示は、『ザ・スクエア』
率直な感想は… 何これ?地面に正方形を描いただけやん
『すべての人が平等の権利を持ち、公平に扱われる』という、『思いやりの聖域』なんだとか。
『来場者参加型アート』と言われても、現代アートに疎いので…
はあ。そうですか、って感じです
この作品を評価するか否かは、あなたの教養に依りますよ。 な〜んて、試されているのかも?
そして、それは、この映画も同じだったりして
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スウェーデンって、社会保障がしっかりした、人に優しい国というイメージでした。
働く女性が多くて男女格差がなくて、協力し合う社会。そう思っていました。
会議に赤ちゃん抱っこした男性がいるなんて。進んでる〜。
でも、どうも貧富の差は結構あり、一部の人たちには住みにくいようで。
駅や繁華街に、物乞いの人たちが何人もいたり、あんなスリがいるとは
これが本当のスウェーデンの姿なのかは、わかりませんが、少々驚きました。
他国からみると憧れの国でも、
実態は… ってことでしょうか。
主人公は、地位やお金もあり、スタイリッシュな部屋に住み、慈善事業にも熱心な様子ですが…
いかに上辺だけの人なのか、これでもか、これでもかと、明らかにされていきます。
器の小ささは、お猪口並みなのでした
タキシードを着た彼が、雨の中、ゴミ置き場を漁ってメモを探すシーンは、ホラーのよう。
この時の、空からのカメラワークが秀逸でした。
鬼気迫る姿に、ゾッとしましたが、これも身から出た錆です
凍りついたのは、ガラパーティに出てくる、モンキーマン!!
“私は、前衛アートに理解ありますよ” と、苦笑いしながら、やり過ごそうとするセレブたち。
大切な招待客が危険に晒されているのに、止めようとしない主催者。
目を背けたくなる修羅場で、衝撃的で、滑稽でもありました。
そして、ラストまで、気まずい。
監督は、“スッキリ終わらせたくない病” なのでしょうか
高慢ちきだと思われた娘たちですが、こんなパパに付き合うことになり、同情しました。
長さもあり、皮肉たっぷりで、クタクタになった、リューベン・オストルンド監督作品。
新作を観に行く時は、心身を整えて出かける必要がある、ということはわかりました