『ミザリー』

【原題】Misery

【製作年】1990年【製作国】アメリカ【監督】ロブ・ライナー

【主なキャスト】ジェームズ・カーン、 キャシー・ベイツ、 フランセス・スターンヘイゲン、 リチャード・ファーンズワース、 ローレン・バコール




時間が許す日には観ている、朝ドラ『舞いあがれ!』


最近沸いていたのが、主人公の幼馴染の貴司くん ( 短歌詠んでます ) に接近してきた、秋月史子さん。


自称『1番のファン』の彼女は、貴司くんの営む古本屋や、実家にも出入りし、編集者にも物申すほど。


“自分だけがわかっている” と思い込んでいる様子で…

『ミザリー』を思い出した、『ミザリー』みたいだ、と話題になっておりましたえー


確かに『ミザリー』ぽいかも?


でも秋月さんは、不器用だけど、決して凶暴ではなさそう。

きっかけがあれば、変わることができそうな、若い女性なのですが。



『ミザリー』というワードで頭がいっぱいになった私。久しぶりに観ることに相成りましたチュー


DVDを一緒に観ていた友人と、手に手を取って震えた記憶がありますが…


今観ても、キャシー・ベイツの演技に、ブルブルびっくり



少々ネタバレあります。




『ミザリー』シリーズの作家ポールは、雪道を運転していて転落し、瀕死の重症を負います。


助けたのは、『ミザリー』の熱烈なファンの、アニーでした。


看護師だという彼女は、人里離れた自宅にポールを運び、献身的に看護します。


ところが、ポールが持っていた新作が気に入らない彼女は…。



     ✢ ✢ ✣ ✢ ✢



言わずと知れたスティーヴン・キングの原作が、よくできているのですが…


自分がそこにいるかのように、グングン引き込まれます。



何処にでもいそうな、地味なぽっちゃり女子アニーが、開始7分で豹変!!


激昂し、すぐに “まともじゃない” ことがわかりますびっくり


最初の明るい声から、早口で捲し立てるのも、歯を見せて笑ってから、目が釣り上がるのも…

キャシー・ベイツの演技が凄い!!



彼女は、ずっとポールを見張っていて、事故の日も後ろを付けていた。 

彼が大怪我を負ったのを、これ幸いと、家に連れて帰った。


自称『ミザリーの1番のファン』という彼女は、ファンの域を遥かに越えていました。

ストーカーという表現では物足りないくらいの異常さです。


これまでも幾つか疑惑がある彼女は、次の獲物を探していたのかも? そう思うと、さらにゾッとしますガーン



自分が最初に読みたい、自分の考えるストーリーにしてほしい、その想いはわからないでもないですが…


ポールの気持ちを全く考えておらず、利己的で傲慢なのは、言うまでもありません。


『愛している』と、アニーはポールに言うけれど…


愛する人がいないと惨めだと、自分を哀れんで発した言葉のようで…ショボーン



ファンというのも、重すぎると厄介なものだとつくづく思います。


日常生活に支障がでるようになったら赤信号。 そう自分にも、言い聞かせることにしようチュー



一方、書きたくて書いていたわけではない、『ミザリー』を早く終えたかったポール。


アニーに無理やり書かされた、原稿を燃やすシーンには、溜飲が下がりました。


作家としてのプライドが、そうさせたのでしょうかチュー



両足の自由がきかず、電話も通じず、逃げ出す術がない彼でしたが…

痛みを堪え、頭を駆使し、いろんなアイテムを使います。


アニーが落としたヘアピンで鍵を開け、渡された鎮痛剤を残しておき…


いつアニーに見つかるのか?スリリングで、こちらの鼓動も速くなりました。


変色した、あまりにも痛々しい両脚。左腕の力だけで移動する。

恐怖から引きつった顔、痛みに歪む口元、アニーへの作り笑い。


ジェームズ・カーンの演技も、凄かったです。




思えば、観るのに適した季節だったかもしれません爆笑

車が雪に埋まって、捜索がままならない。一面の白さが、実に寒々しいのでした。


そんな中、地道に探し続ける、保安官には頭が下がります。

誰かを伴ってアニーの家に行けば、良かったのですがショボーン




冒頭に出てくるタイプライター、煙草とマッチ、そしてシャンパン。


終盤も同じアイテムを揃えるけれど、使い方は、まるで違う。

この見せ方がニクイなと思いましたチュー



あの、恐怖の『足つぶしの刑』には、やっぱり声が出てしまいましたガーン


技術が進んだ今とは違い、アナログなのが、かえって恐怖を誘うのかもしれません。



恐ろしい物語ですが、もっと早くアニーが裁かれていれば、彼女に手を差し伸べる人がいれば…


哀しい物語でもありましたショボーン