『母の聖戦』
【原題】La Civil
【製作年】2021年
【製作国】ベルギー、ルーマニア、
メキシコ合作
【監督】テオドラ・アナ・ミハイ
【主なキャスト】アルセリア・ラミレス、 アルバロ・ゲレロ、 ホルヘ・A・ヒメネス、 アジェレン・ムソ、 ダニエル・ガルシア、 メルセデス・エルナンデス
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観に行ったのは一昨日なのですが…
あまりの衝撃で、すぐには感想が書けませんでした。
メキシコの誘拐ビジネスの闇と、それに立ち向かう母親を描きます。
なんと実話ベースとか![ガーン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/020.png)
![ガーン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/020.png)
監督は、ルーマニア生まれで、ベルギーを拠点としているそうです。
そのため、ダルデンヌ兄弟 ( ベルギー )、 クリスティアン・ムンジウ ( ルーマニア )、 ミシェル・フランコ ( メキシコ ) が、共同製作者として名を連ねています。
メキシコの映画に詳しくないので、俳優さんをどなたも存じ上げず。
そのおかげ?で、物語にどっぷり浸かることができましたが…
これは辛い、辛すぎる![えーん](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/018.png)
![えーん](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/018.png)
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ネタバレあります。
シエロは、メキシコ北部の町で、娘ラウラと2人暮らしです。
夫は、家を出て、若い女性と暮らしています![チュー](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/008.png)
![チュー](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/008.png)
生活費を夫に要求できない、口紅も塗っていない、ひとりのお母さん。
朝、デートだと明るく家を出て行った娘でしたが…
誘拐されたと知ります![びっくり](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/014.png)
![びっくり](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/014.png)
シエロは、仕方なく夫に相談しに行き、身代金を用意しましたが…
開放してくれる約束の場所に、娘は現れません![えーん](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/018.png)
![えーん](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/018.png)
身代金が足りないと、もう1度、犯人グループと接触することになります。
“俺が交渉する” と言っていた夫ですが、いざというとビビって…
諦めたような口ぶりです![プンプン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/013.png)
![プンプン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/013.png)
警察には言うなと言われていたものの、シエロは、意を決して相談に行きますが…
誰も親身になってくれません![えーん](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/018.png)
![えーん](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/018.png)
事件があまりにも多く、手が回らないのかもしれませんが…
情報が漏れているなど、警察の腐敗が疑われます![えー](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/011.png)
![えー](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/011.png)
どうやら、報復を恐れ、泣き寝入りしている人もいるようです。
シエロは、自力で娘を取り戻そうと決意!!
何と、軍に協力を頼みますが、すぐには動いてくれません。
報復に気をつけ、ロウソクの灯りで過ごしていたのに、自宅に物を投げられ、車を燃やされて…
やっと、軍のパトロール隊の、ラマルケ中尉が、力を貸してくれることになりますが…。
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BGMはなく、ドキドキしているシエロの息や、強い風の音、運転する車のエンジン音に、緊迫感が増幅されます。
最もヒーッとなったのは、葬儀社を訪れた時のこと。
テレビのニュースで、“首を切られた女性の遺体が見つかった” と報道され、もしやと思ったシエロですが…
そこには、たくさんの遺体が並べられていました。
どれだけ治安が悪いのか![ショボーン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/017.png)
![ショボーン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/017.png)
そこの代表の女性の、コツコツというヒールの音が恐怖を醸し出し、ゾゾゾとなりました。
同情したのか、彼女は、親切に接してくれました。
彼女もまた、組織に迷惑をかけられている、被害者なのでした![えーん](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/018.png)
![えーん](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/018.png)
娘の遺体ではなかったけれど…
心は全く晴れないシエロ。
なのに、彼女の気持ちがわからない夫。
若い女性に捨てられた彼は、家に帰って来て『やり直そう』と言います![プンプン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/013.png)
![プンプン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/013.png)
鼻歌交じりで料理する姿には、呆れるばかりです。
シエロが、一番頼りたい人なのに。
彼女は、まるで探偵のように車を追い、尾行し、写真を撮り…
遂に、犯人たちが “いるらしい” 場所に辿り着きます。
中尉の協力で始まったのは、軍人と誘拐組織の銃撃戦!!
“同席する” ことになるシエロ![びっくり](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/014.png)
![びっくり](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/014.png)
勝手なもので、アクション映画を観ていると、“もっと派手にやっちゃえ” なんて思うのに…
普通のお母さんが遭遇しているとなると、怖くなってしまいます。
こちらまでブルブル震えました。
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以下、忘れたくないので記します。
かなりネタバレありますので、ご注意ください。
相談していた夫の友人のキケが、実は、組織の一味だったのは、ショックでした。
気のいい、おじいちゃんだと思っていたのに![ショボーン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/017.png)
![ショボーン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/017.png)
卑怯にも『友だちだろ』と、シエロに助けを求めるキケ。
中尉に促されたシエロは、キケを思いっ切り叩きます。それは、今までと違い、鬼の形相でした。
誰を信じればいいのか?絶望的になりましたが…
キケが漏らした言葉から、人が埋められている場所を知ることができます。
シエロは夫を伴い、その場所に行き、スコップで掘り始めます。
どんなに辛かったでしょう![えーん](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/018.png)
![えーん](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/018.png)
人の指が出てきて、警察に通報し…
そこには、50もの遺体が埋めらていることがわかります![びっくり](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/014.png)
![びっくり](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/014.png)
そして、DNA検査の結果は…
娘の『肋骨が1本』見つかったというものでした![えーん](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/018.png)
![えーん](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/018.png)
『娘の全部を揃えて』と訴えるシエロに、こちらまで涙、涙です。
その後も彼女は、捜査を続けます。
軍の協力で、身代金を渡した男の逮捕まで辿り着きますが…
男は、反省するどころか、シエロの身に危険が及ぶとさえ言うのでした![プンプン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/013.png)
![プンプン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/013.png)
酷いことをしたという自覚が、全くなくて、怒りを覚えましたが…
これは、蜥蜴の尻尾切りでしかないのでしょう。
ラストは、観る人に委ねるスタイルでした。
外に出て煙草を吸っている、シエロの目線の先に現れたのは、誰なのでしょう?
組織が、彼女への復讐にやって来たのでしようか?
それとも、実は生きていた娘が、戻って来たのでしょうか?
モデルになった女性は、報復にきた組織に、銃で命を奪われたそうです。
実話通りなら、前者なのでしょうが…
そこまで描かなかったのは、悲惨過ぎて救いがないからかな。
捜査もしてくれない警察が、50もの遺体のDNAを、ちゃんと調べたのかは疑わしいですし、
シエロが報われる、後者だと思うことにします。
監督は、ドキュメンタリーを撮っていた方で、劇映画は初めてだとか。
テンポも良くないし、正直言えば、
“上手くはない” と思います。
でも、想いは伝わってきます。
母親の愛と勇気と執念に、胸が張り裂けそうになりました。
メキシコの人たちに、悪いイメージを抱いてしまいそうですが…
これは一部の人だということは、忘れないようにしたいです。