『スリー・ビルボード』

【原題】Three Billboards 

    Outside Ebbing,Missouri

【製作年】2017年【製作国】イギリス【監督】マーティン・マクドナー

【主なキャスト】フランシス・マクドーマンド、 ウッディ・ハレルソン、 サム・ロックウェル、 アビー・コーニッシュ、 ジョン・ホークス、 ピーター・ディンクレンジ、 ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、 ケリー・コンドン、 ルーカス・ヘッジズ、 ジェリコ・イバネク、 クラーク・ピータース、 キャスリン・ニュートン、 アマンダ・ウォーレン




もう1度観たくなりました。

世の中の不条理、閉塞感… そして、母親の後悔、強さと弱さ。

暴力シーンもあるけれど、会話も緻密で、グイグイ引き込まれます。


主人公の心情は…
娘はレイプされて、焼かれたんやで。なのに、未だに犯人は捕まってへん。
警察、何してるねんプンプン

そんな怒りのオカンの背後に、西部劇のテーマが響きます。
それはそれは迫力ありました。

スナップの効いた投球フォームも、カッコ良かったウインク

やり過ぎな面は否定しませんが…
嫌がらせにも屈しない、オカンの執念!!


化粧っ気なく、ツナギ着て、髪の毛はバンダナで無造作にまとめてる。
怒りとやるせなさ… フランシス・マクドーマンドの、表情の変化が凄かったですおねがい


ネタバレあります。




ミズーリ州の田舎町に住む、ミルドレッド ( フランシス・マクドーマンド ) は、惨たらしい事件で娘を亡くしましたえーん


7ヶ月経っても、捜査が進展しないことに苛立った彼女は、事件現場付近に広告看板を立てました。その3枚は…

『レイプされて死亡』『犯人逮捕はまだ?』『なぜ?ウィロビー署長』でした。


今までミルドレッドに同情的だった町の人々ですが、署長 ( ウッディ・ハレルソン ) は人望があり…
これはやり過ぎだと、彼女に批判的になっていきます。

味方になってくれるのは、弱い立場の人ばかり。

息子のロビー ( ルーカス・ヘッジズ ) は、学校で嫌がらせされます。

離婚したDV夫も、19歳の恋人を連れて、文句を言いに来ます。

[ この後も、ミルドレッドの神経を逆なでする彼。頼むから、放っといてと思ってしまいますえー ]


暫くして… 末期ガンの署長は、家族に迷惑かけたくないからと、自ら命を絶ちますえーん


お前のせいだと、ミルドレッドを見る世間の目は、ますます冷たくなっていきますショボーン


中でも、警官のディクソン ( サム・ロックウェル ) は、怒り心頭で…

看板を立てた、広告会社の責任者レッド ( ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ ) に大怪我をさせ、
新しい署長から、解雇を言い渡されます。


一方、もうどうしようもないと思った、ミルドレッドは…。


     ✢ ✢ ✢ ✢ ✢


署長を慕うあまり、ミルドレッドに反感を持っていた、警官のディクソンでしたが…。

終盤、あんな心境になったのは…
亡き署長の手紙が効いたのか、正義感に駆り立てられたのか、それとも彼女の熱意が通じたのか。


差別的だし、母親に頭が上がらないし、すぐキレるし、おバカだけど… 根はイイヤツ。

サム・ロックウェルの得意分野ですね。魅力が、炸裂していましたおねがい


陰ある演技が嵌るルーカス・ヘッジズ、トボけた中に哀愁あるケイレブ・ランドリー・ジョーンズ。

このキュートな2人も大好きなので、ありがたい配役でした爆笑



そして、主人公のミルドレッド。

事件の日、娘に車を貸してほしいと言われたのに、歩いて行けと言ったのは、娘の非行を心配してのことでしたが…

『レイプされるたらどうするの』と娘に言われ、『レイプされたらいい』と返してしまった。

売り言葉に買い言葉だけど、後悔しないわけがありませんえーん


広告看板の近くに、一人で花を植え、近づいてきた鹿に、話しかける。
娘への想いと、孤独な戦いの辛さ… 涙ぐむ彼女に、もらい泣きです。


“もうダメだ” となった時、スリッパのウサギのマスコット見ながら、声色を変えて一人で寸劇して…
自分自身にクスッと苦笑いする。あくまで自然に。

フランシス・マクドーマンド、やはり素晴らしかったですおねがい



こんなん誰も救われへんやん、と絶望しかけるものの…

見守っているような山々と、遠くまで広がる緑を観せるのは、希望を捨てるな、というメッセージだったのでしょうか。


2人が “やってやるぞー” ではなく、
『道々 決めればいい』というラストが、お気に入りですおねがい