『スティルウォーター』
【原題】Stillwater
【製作年】2021年【製作国】アメリカ【監督】トム・マッカーシー
【主なキャスト】マット・デイモン、 カミーユ・コッタン、 アビゲイル・ブレスリン、 リル・シャウバウ、 イディル・アズーリ
『スティルウォーター』は、🇺🇸 オクラホマ州の町。保守的な土地柄だそうです。 このタイトルに込められた、深く沈んでいく真実とは…。
ビルは、そこに住むブルーカラー。
妻は自死し… 娘との関係も、仕事も上手くいっていない、無口で不器用な男です。 新たなマット・デイモンが観られました
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以下、ネタバレあります。
留学していた娘アリソンは、恋人を殺害した罪で、🇫🇷 マルセーユで服役中。懲役9年で、すでに5年経過しています。
何度目かの面会のためにやって来たビルは、娘から弁護士への手紙を渡されました。
手紙には、『私は無実。〇〇という男が自分がやった、と言うのを聞いた人がいる。彼のDNAを調べて』と書いてありましたが…
弁護士には『伝聞証拠での再審は無理だ』と言われます。
それはそうです。 が… 事件当時の警察の捜査はどうだったのだろう? もしかしたら、証拠隠滅があったのだろうか?と気になります。
一方で、うだつが上がらない父親を、馬鹿にしているアリソンには、想いを寄せられず。
意図的にそう描いているのでしょうが… 激情型の彼女を信じていいのか?猜疑心を抱きます
娘には認めてもらえないビルですが…
自力で真犯人を探しDNA検査に持ち込もうと、マルセーユに残り、解体の仕事に就きます。スティルウォーターとは違い、壊して変わっていくマルセーユ。
彼は、言葉もわからないのに…
アリソンが通っていた大学に行ったり、元警官を訪ねたり。 真犯人がいるらしいアブナイ地区では、ボコボコにされたりもします
( ビルが今まで、どれだけクズだったのか、もっと描かれていた方が良かったと思いますが ) これまでの償いの気持ちもあるのでしょう、父親としての愛情を感じ、グッときました。
彼を助けてくれたのは、英語のわかる舞台女優のヴィルジニーと、娘のマヤでした。
友人から、“人助けが趣味”と言われるヴィルジニー。いわゆる “リベラルな” 女性です
マヤとの関係は、実の父娘のように、微笑ましかったな
ビルのことを否定しない2人。
ずっとこの時間が続けばいいのに、と思っていたけれど… 辛い別れになってしまいました
娘のためとはいえ、何をしてもいいわけではなかったのです。特に、マヤを巻き込んでは…。
慕ってくれる彼女は、『世界で一番好きなアメリカ人だよ』と言ってくれたのに
この、“かりそめの家族”との別れに、涙、涙でした。
とうとう探し出した男から、
『スティルウォーター』のネックレスの話を聞いたビルは、ずっしりと重い物を背負うことにもなりました
快晴とはならない、この結末。
彼は報われたのだろうか? 今後、娘との関係はどうなるのだろうか?
考えさせられました。
ラスト『人生は残酷だ』と言う彼。
これからもスティルウォーターで、
“留まっている水” のように生きていくのかと思うと、切なくなるのです