独資化のリスク② | 中小企業診断士グループ“YTD”のブログ

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しんしんです。

先週の続き

2010年頃、ホンダ系の部品工場を手始めに日系を含む外資系メーカーで労働争議が頻発しました。
当時のニュースでは中国内の所得格差に対する不満や潜在的に燻る反日感情がクローズアップされましたが、それだけとは言い切れない問題を含んでいました。

まず、中国内の所得格差は2010年に始まったことではありません。広東省の工場労働者の待遇は全国的に見れば高い方で、所得格差が原因であれば広東省以外の地域でも同じような労働争議が起きたはずです。
また、反日感情が理由であれば、韓国メーカーや台湾メーカーで同じような労働争議が起きた理由が説明できません。中国では、先行した欧州や米国メーカーのシェアが高いのですが、広東省では日本車のシェアが高いことから分かるとおり、反日感情が特に高い地域ではありません。

当時のマスコミが取り上げなかった理由の1つに来料加工方式から独資化への切り替えがありました。

前回のブログで触れたように、従来の来料加工の頃は、労務管理の責任の主体が地元企業にあるのか外資系企業にあるのかあいまいなところがありました。しかし、独資化が進めば、工場経営の主体が外資系企業にあることが明確になります。

独資化とともに労務管理の責任の主体が外資系企業に移れば、政府当局は地元企業に遠慮する必要がなくなります。中国では政府の許可が無いストライキは禁止されているため、労働争議が起きた時にはその背後に政府の意図が必ずあると考える方が自然です。

そこで、独資化が進むことで今まで特に考慮する必要がなかった労務リスクと向き合う必要が出てきました。政府も雇用をもたらす外資系と全面対決をする姿勢をとることはありませんが、とはいえ労働者の不満の捌け口を自分達に向けれれることは避けます。

今では労働争議はだいぶ収まりましたが、それでも潜在的な可能性は残っています。同じ労務対策とは言っても、企業内労働組合が主体の日本と中国共産党参加にある工会とでは対応が異なります。来週は具体的に何をすべきかについてお話ししたいと思います。

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