生成AIを使ってみた上で思ったこと | 牧村しのぶのブログ

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私は昨年生成AIを使ってみろといわれ、どんなものか知るために3か月ほど試作していました。

 

まずわかったのは失敗が多いことです。プロンプトを細かく正確に英語で書いても、それと全く違う破綻の大きい画像が出ることが多く苛立ちと疲労を感じました。少々の破綻なら修正しますがここまで酷いと手のつけようがありません。

漫画風(DALL-E2)

フォトリアル(Firefly)

 

もう少し破綻の小さいものは何とか修正しました。

修正前(DALL-E2)

顔が完全に破綻しているので塗り潰して描きました。他の部分も相当修正しています。

問題はこの程度の加筆で著作権が認められるかどうかわからないことです。労力はそれなりにかかるのに困ります。

 

出力しただけ(ポン出し)では著作権は認められません。

確かにポン出しはお手軽に見えます。

やっつけた感じがします。

ポン出し(Firefly)

 

また私自身の絵とは違いますから、私の絵を知っている人は私の絵だと思いませんし、私自身も自分の絵だと思えません。その上知らない他人の絵に似てしまう可能性もあります。

これは韓国のイラストレーターの絵に偶然似てしまいました。

自分の絵だと思えませんし、いう気にもなりません。

ポン出し(DALL-E2)

自作(レイヤー)

 

それなりの労力をかけても著作権が不明他人の著作権を侵害しているリスクがある、何より自分の絵だと思えない

個人的にはそれが一番大きな問題でした。

 

自分の絵があり、認知されている場合は難しいと思います。

 

データセットに自分の絵があるクリエイターには抗議している人が多く、私がpixivでフォローしていた好きな海外のクリエイターも抗議してpixivを退会していることにも気づき、彼らが認めないことを承知の上で、なお使う理由を見つけられませんでした。

著作権問題が解決するまでは使えないと判断しました。

 

写真を使われている人からも抗議があり、CSAMや医療写真までトレーニングに使われています。それは著作権とは別の肖像権等の人権問題を含み、やはり未解決です。

データセットの問題が解決してから、自分の絵と思える使い方を考えても良いと思います。

 

急ぐ必要は感じていません。

生成AIを使うことじたいは別に難しくありません。