表現規制とディープフェイクポルノ規制は別 | 牧村しのぶのブログ

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表現規制の厳しい国では、女性が歩いているだけで歩き方が挑発的だと責められて警察に連行されることがあります。

美術大学の学生がヌードモデルを見て描くことも許されません。

日本で表現規制を主張する人も同調できないと思います。

 

表現規制は宗教により、国により違いがあります。共通の基準があるわけではありません。日本も特殊です。

私が表現の自由を守るべきだと考えるのは、規制が特定の宗教や思想の弾圧になるからです。問題もありますが、少数派の言論を守るためには表現の自由を認めないわけにいきません。

 

ディープフェイクポルノ(剥ぎコラ)は、第三者が無断で他人の肖像をポルノ化して共有し享受する人権侵害です。日本では現行法でも犯罪です。表現の自由で守るべき創作ではありません。

現行法で対応できていないAI CSAMも禁止すべきです。

 

NCII(non-consensual intimate imagery)の邦訳はありませんが、同意のない性的画像の共有を問題とする言葉です。リベンジポルノや盗撮やセクストーション(性的画像を利用した脅迫、恐喝)など画像を使った加害を広く含みます。被害者は女性が大半ですが、男性の被害もいますし自殺者も出ています。

 

ディープフェイクポルノは画像編集ソフト、生成AIによって本物と見分けのつかない精度の画像が手軽に作れるようになったことで被害が拡大しました。英国では2015年に規制する法律ができましたが論議が続いています。米国では連邦法がなく規制のない州があるため被害者が見捨てられ、最近になって規制法案が提出されています。

 

米国に連邦法がないためにディープフェイクポルノは表現の自由だと勘違いする日本人がいますが、先日書いた通り日本では現行法でも名誉棄損やパブリシティ権侵害、児童ポルノ禁止法違反、わいせつ物等頒布の罪に当たります。しかし規制のない国で投稿して削除要請も受けつけない悪質な利用者が多く、ポルノを生成するサービスが増え、共有するアプリも自由にDLできます。

それに対する法規制も技術面での安全設計もできていません。

 

こうした状況では写真もイラストも投稿を控えるか、保護手段を講じる他ありません。被害者側が表現の自由を奪われています。

一方的な搾取、享受に対するやむをえない自衛や抗議を表現規制というのは誤りです。