ディープフェイクポルノを現行法で処罰するのは困難 | 牧村しのぶのブログ

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著作権法と生成AIについてパブコメを送っていますが、そもそも著作権法ではどうにもならない悪用が多く、コメントが難しいと思います。ディープフェイクポルノを禁止してほしいと思ってもどこにどう書けば良いのかわからず書けない人もいるでしょう。

 

しいていえばディープフェイクポルノの生成に寄与した素材が販売されているAVや写真なら、その著作権侵害を問題にすることができます。しかし素材の出所が不明の場合、何の著作権を侵害しているのか不明ですからどうにもなりません。

被写体の名誉棄損になる可能性はあるとしても、それは著作権法とは関係ありませんから、パブコメに入れられません。

 

現行の刑法で対応しろ、ということだと思います。

 

しかしディープフェイクポルノは現行刑法230条の名誉棄損罪では対応が困難です。

親告罪ですが、データセットに入っている写真の多くは、撮影者の名前、被写体の名前と紐づけられていません。誰が撮った誰の写真かわからない素材となっています。データセットを検索しても自分の名前で見つからないことがほとんどです。顔が似ていても自分の写真かどうか確かめるすべがありません。盗撮は被害者にはわかりません。使われた写真が特定できても、犯人がわからないと告訴できません。拡散でも告訴できる可能性はありますが

プラットフォームは多数あり追跡困難です。

日本人被害者2人(1人は保護者)のインタビューがありますが、いずれも犯人はわかっていません。そして画像を見つけたサイト管理者に削除してもらいましたが、方々に転載され消える見込みはないそうです。被害者は恐怖に怯えながら晒され続けます。

AI搭載のディープフェイク生成アプリがあるため加害者が低年齢化し、日本の場合なら犯人が分かっても14歳未満は犯罪として処分されません。やり得の手軽な犯罪です。

3月11日追記

米国で22年に成立した州法に基づいてディープフェイクポルノを製作した13歳と14歳の少年が逮捕、起訴されました。

加害者の低年齢化が進んでいますから、日本でも対応が必要だと思います。

 

データセットに顔写真が入っていなければ、勝手に他人の写真をDLして追加学習させることができなければ少なくともAIで手軽に製作することはできなくなります。

先に書いたように素材と著作権者、被写体の名前が紐づけられていない場合がほとんどですから、オプトアウトは不可能です。

権利者の許諾を得た素材のみを使わせるべきだと思います。