表現規制とディープフェイク規制は別の問題 | 牧村しのぶのブログ

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クールジャパンのパブコメを送り、3本出し終えました。

また案の半分に圧縮して生成AIの利活用に的を絞りました。

他にもご意見のある方はぜひご参戦ください。10日までです。

 https://kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/pdf/20240101_new_cooljapan.pdf

 

さて、生成AIによるディープフェイクポルノの問題が米国で注目を集め今後法律が未整備の州でも規制が進んでいくと思います。

現在は合法(脱法)になってしまう地域があるため生成サービスも増えています。

 

しかし性表現規制には賛成しません。生成AIは生きた人間の個人情報(特定できる顔写真)、著作権のある絵をポルノに加工することに異議を申し立てています。契約なしにポルノに出演させるのと同じです。絵も描いた人の思想や感情の表現であり、ポルノに改変されるのは性暴力と等価の恐怖、屈辱を感じます。他人の意思を無視した製作に反対しています。仲間内で合意の上で作るのであれば、現行法で合法範囲なら反対しません。

 

性表現規制はやりやすいだけに慎重に考える必要があります。

思想や宗教による禁忌の違いがあり規制の線引きが難しく、共存できる環境整備をするしかないと思います。

 

さらに性表現規制を利用した言論統制にも注意が必要です。

明治34年に内田魯庵の「破垣」という政治小説が「風俗壊乱」(当時の性表現規制)で発売頒布停止となりました。問題になるような性描写はなく当時の現役閣僚をモデルにしたためと推測されています。以後多くの作家が性描写なしで発禁処分を受けています。性表現規制は言論統制の入り口になります。受け入れられやすいだけに危険です。

男爵家に女中として奉公に出された娘が、現役閣僚である男爵に性的関係を強要されて悩み、小学校時代の恩師に訴えていることを知られ、彼女も恩師も消息不明になるという話が「風俗壊乱」(ポルノ扱い)で発禁処分、官報に載せられ、魯庵は面目を潰されました。当時官報に「風俗壊乱」で名前が載るのはポルノ業者認定同然の恥さらしでした。魯庵自身恥辱を味わった心境を書き残しています。

 

一度ポルノと判断されば公開されなくなり外部からのチェックも働きません。