投稿時代パクリ疑惑をかけられた結果 | 牧村しのぶのブログ

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作家も生成AIを使って利益を上げれば良いではないか、といわれることがあります。しかし誰かの作品に似ていたらどうしよう、という不安があります。知らずにやってしまう危険があります。

 

デビュー前の投稿時代、某大手出版社に投稿した作品が、某作家の小説をなぞって描いた、と疑われたことがあります。

絶対読んで描いたに違いないと思った、といわれましたが、私はその作家の小説を読んだことがなかったので否定しました。

 

本を買って読んでみると、筋書きだけでなく、主人公と同級生の関係も似ています。そっくり同じではありませんが、読んで描いたと思う人はいるだろう、と思いました。

それくらいの類似性が偶然生まれることはあります。

そしてパクリを疑われたその作品は落選しました。

 

デビュー後はパクリだと誰かに直接いわれたことはありません。

読んで感動した作品があっても、自分は違うものを描こうと時間をかけて考えていました。気軽に人気作に似せると叩かれやすくなります。

 

作家の多くはパクリを疑われた経験があるだろうと思います。

京アニ放火犯ほどではなくても、自分の作品を盗んだと疑う人はいます。ネットには絵を、プロットを盗まれたという投稿がたくさんあります。現実に編集部に抗議する人、訴える人もいます。

事実でなければ反論できますが、生成AIを使っていた場合、絶対盗んでいないと説得するのは難しくなります。

 

生成AIは著作権のある創作物のデータを世界中から無断で集めて使っていますから、意識しなくても誰かの作品に類似した表現が出てしまう可能性があります。

 

現時点ではAIに著作権を認めるか否か、認めるとしたらその条件をどうするか、AI使用を公表する義務、使用したデータを公表する義務など、明確なガイドラインは定められておらず、法整備もされていません。それゆえ使用したデータを隠し、自作だと僭称し、著作権を主張して販売する人もいて批判を浴びています。

 

企業の中で職務として使う人とは異なり、フリーの作家は全責任を個人で負います。

現状では著作権侵害のリスクのある生成AIを使うことには慎重にならざるをえません。

 

実は私自身昨年はまだ問題を知らず、生成アプリが作家の許可を得ずに作られて配布されているとは思っていませんでした。

協力を得て支払っていると思っていました。

そうでなければなぜあそこまで既成作品に酷似した絵が使えるのでしょう?

まさか無断だとは思いませんでした。

 

知らずに使ってバカにされ、傷ついた人もいると思います。

元はといえば、無断でデータを集めた企業の責任です。

 

私はSNSでフォローしているイラストレーターの方々が強く抗議している文章を読み、遊び心で使うことができなくなりました。

 

ですから偉そうにいえる分際ではありませんが、Fireflyも非公開で研究用に使うにとどめたいと思います。