明治に戻れ? | 牧村しのぶのブログ

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首相発言です
所得格差が少子化の原因ではないと
明治時代は貧しくてもたくさん子供を生んで育てていたと
http://www.asahi.com/politics/update/1224/006.html

あまり具体的に書くことはできませんが
私の祖母(明治人)はたくさん子供を産んで37歳で産後亡くなっています
出産以外何もない人生でした
残った子供たちも、養子になる、病死する、大病して病弱、徴兵される、
上の子は子供の時から母代わりで結婚もできず
家もない貧乏家庭で、戦争が終わればわずかな財産も紙屑になり職もない、
・・・こういうこと、たいていのド庶民は経験済みだと思います
たくさん子供がいても、家土地つきの長子、
土地を分けられるような裕福な家の子以外は、
貧乏な家なき子、流れ者です
家意識なんて持ち出されても、そんなもの関係ない、何なんだ、という暮らしです
そういう貧乏家庭の子孫は少しでもましな暮らしがしたいと
必死で願いながら、女も専業主婦なんて夢の夢、という暮らしをしてきました
私だってバイトの掛け持ちと奨学金の受給ができなければ
進学できませんでした
進学自体反対されました(ビのくせに、という理由で)
ひきかえに進学しないと取れない資格を取りましたから、つぶしは利きます

親の金で苦労せずに進学して、ナンパサークルに入って、親の力で留学した人に
明治時代みたいにビでもたくさん子供を産めなんて言われたくありません

所得と結婚は大いに関係ありますよ
小倉千加子さんの『結婚の条件』くらい読んだらいかがでしょう?
これはフェミニストの主観ではなく、聞き取り調査の結果と、その分析です
貧しい男女は結婚できません
高収入のエリート男女が恋愛結婚します
自分の年収は低くても親のインフラのある娘は結婚しません
見聞きした経験に近く、説得力があります
私は別に本を読んでフェミかぶれしたのではありません
ただ、ビには、おぼっちゃま学者・文筆家・政治家の言うことより
フェミニストのリアルな言葉の方が心に響くし、助けになるというだけです

http://www.bund.org/culture/20050705-2.htm

追記
昔の子だくさんは、保険の意味もあったでしょうが、
今のように避妊が簡単にできなかった事情もあります
当時も間引きはありましたが、不衛生なため危険でした
長塚節の『土』は、間引き死の実話で始まります
間引きして破傷風になった妻が死に、残った夫は極貧の小作で再婚できず、
娘を妻代わりにします(あらゆる意味で)
産まれた子を、男の子は洗濯板に、女の子はしゃもじにくくりつけて川に流す、
家土地があれば軒下に埋めるなど普通でした
貧しい日本の子だくさんの裏話はいくらでもあります