第7話 感じのいい話し方をしましょう | 家賃減額の決定版

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「家賃を下げて欲しい」というのは、家主にとってイヤな話です。けれども、相手にとってイヤな話だからといって、イヤな感じに話す必要はまったくないのです。


多くの人はそこを間違えます。相手にとってイヤな話をする時に、つい構えてしまって、高飛車になったり、強がったり、「こっちにはこれだけの言い分があるんだ」のような態度を取りがちです。本当にバカげたことです。


店や訪問販売などで、あなたにモノを売りつけようとする人たちのことを思い浮かべてください。自分の持っているお金を取られるというのは、誰にとってもイヤなことですが、あなたからお金を取ろうとする人たちが、イヤな感じに話しかけてきますか?


むしろ逆です。たくさんのお金を取ろうとする人たちほど、感じよく話しかけてくるものです。高級ブティック、ブランド店、有名ホテルなど、たかだか服やアクササリーや寝る場所に法外な料金を吹っかけてくる人たちほど、満面の笑顔で対応してくるものです。


その料金の中のどれだけが実質の価格か?と考えてみると、かなりの金額が「単にもぎ取られているお金」だとわかります。このことから、「相手の持っているお金を減らすという、相手にとってイヤなことをするときには、特に感じよくするのが人間社会での正しい行為だ」という理屈が、理解できるかと思います。


私はよく、株主優待券というものを金券屋で売るのですが、レートのいい金券屋というものは、だいたい笑顔など見せません。店によっては、恐ろしいまでに無愛想で、「私は嫌われてる?」と思ってしまうくらいです。それでも私はそこに売りに行きます。大黒屋でなど一度も売ったことがありません。


人に感じの悪い態度を取っていいのは、レートのいい金券屋のように、相手にとってお得な話を持っている人だけです。


家主に家賃の減額を持ちかけるときには、最大限、感じのいい態度を取りましょう。できれば、家賃の減額が、まるで家主にとってもいい話ででもあるように話すのです。電話セールスや詐欺商法の訪問販売の人たち、ブランドショップの店員たちを見習いましょう。


たどたどしい話し方でいいのです。「あの、家賃が、周りと比べて高いように思えてきたんですけど、どうでしょうか・・・」みたいな感じでいいんです。そこで、できるだけ粘っても、あっさり引いてもかまいません。とにかく、「感じよく、きちんと話す」ことが重要です。この話し合いで家賃が下がるなどとは期待せずに、「感じのいい人だという印象を残す」ことを最大目標にしてください。


なぜなら、人間社会での物事というのは、論理で決まるのでも話し合いで決まるのでもないからです。日本でいえば、ほぼ純粋に論理で物事が決まるのは裁判所、それも最高裁くらいです。その最高裁でさえ、高度に政治的な話になると、法的な整合性があるとは思えない判決を出したりします。


つまり、あなたがこの時点でどんなに正しい理屈を言おうと、家賃が下がるかどうかという結果とは関係ないのです。むしろ、家主があなたにどんな印象を持つか、の方が結果に関係するくらいです。だから、この時点では、どういう内容のことを言うか、ではなく、自分がどれだけ感じよく相手にとってイヤな話をできるか、に全力を注ぐべきです。


この件のためだけじゃなく、生きていくための知識として、人間は、感じの悪い奴の話は一切聞かない、理解する気もないものだ、ということは、知っておいた方がいいでしょう。