中国語原書66冊目《我叫刘跃进》刘震云
【ストーリー】
北京の建築現場のコックとして働く刘跃进は妻に浮気され、浮気相手から数年後に慰謝料を払うという約束手形の入ったバッグを盗まれた。同時期、政府高官の売春、賄賂の現場をおさえた動画のUSBが盗まれ、刘震云が偶然手にする。すべての登場人物が盗み、軽犯罪、汚職、など何らかの罪を犯しながら、追ったり追われたり、裏切ったり裏切られたり、複雑に絡み合う人間関係を描いた喜劇。
【感想】
前回のブログ記事に載せた、「中国語書籍を読もう会」で発表した作品です。
刘震云を読むのは3冊目です。文章は区切りが短く、歯切れよくポンポン進みます。
不運続きの中、たくましく生きる刘跃进とそれを取り巻く人々を描く群像劇。主人公の刘跃进はトラブルや不幸に巻き込まれがちなのだけど、なぜかかわいそうに思えないのは、刘跃进自身もちょっとした犯罪や出来心を起こしがちのため。だからこそ、悲劇ではなく喜劇として成り立っているのかも。さらに、善人も出てこないので、愛情、友情、感動系ではないです。
ただ、私はこの中国人独特のたくましさやしたたかさ、人間の欲望をユーモアを交えて描いている作品がわりと好きです。
文章は決して難しくないけど、ちょっと読みにくいです。というのも243ページという長くない作品なのに、43章もあり、毎回各章のメイン人物が入れ替わります。
短い章は1ページ、3ページなんてある。様々なもめごとが同時多発してるので、だいぶ混乱します。登場人物も50人くらいいて、どこかでつながっています。各章のあらすじと相関図を常に書き足しながら読み進めました。
各章のタイトルはその章の登場人物の名前となっている
相関図
各章の内容はスマホのメモに入力しながら読みました