中国語原書65冊目《寒夜》巴金
【ストーリー】
日中戦争の終盤の重慶が舞台。
半官半民の出版社に勤める汪文宣と銀行員の妻、曾树生、そして汪文宣の母の3人が主な登場人物。嫁姑の争いと何もできずおろおろする心身共に弱い主人公の話。
このパターンがひたすら繰り返されます。
【感想】
巴金は2冊目です。
文章は簡潔でわかりやすく、読み易い。
これで楽しいストーリーだったらどんどん読めるのだけどなあ。
なんでこんな暗い話を書くのだろう。
暗くても、
展開のある暗さ(次々と不幸が襲う)ならいいんですけど、
なにも起こらない暗さ(ずっといじけて悶々としているだけ)で、
読むのは正直苦行でした。
相関図、最初の方書き始めたけど、あまりにも話の展開なさすぎて、全然登場人物増えませんでした。
主人公はトラブルを乗り越える努力もせず、ただ被害者ぶって時代のせいにしたり、上司のせいにして嘆き悲しむだけ。こんなに共感できない主役もなかなかいない。仕事もできない、体も弱い、気持ちも弱々しい、ネガティブな主人公にずーっとイライラしっぱなし。ユーモアのあるシーン、楽しいシーンも一つもなかった。
この主人公に比べたら、息子を溺愛し、意地悪でプライドが高い姑や、自由を愛し夫や息子を捨てる妻のほうが、キャラが立っていて行動的でよっぽどマシです。だいたいは嫁側に味方して頑張れって思ってましたけど、後半、姑の気持ちもわからなくはないな、となりました。
二人とも、主人公への愛情を注いでいたのに、驚異のネガティブパワーで一人孤独感に陥る主人公、救いようがないな。
タイトルが《寒夜》なので冬の間に読むことを目標にしました。
タイトル見るたびに「寒い夜だから~明日を待ちわびて~」というフレーズが頭を駆け巡る小室ファミリー世代です。作品中の季節は移り変わり、真夏もあるのですが、主人公の心が常に真冬。北風が冷たく、どんより曇った夜。
先週は関東にも久々に積もった雪。夜だけど雪明りで外が明るく、はしゃぐ子どもたち。寒い夜こそ家や家族の暖かさを感じられるのにね。
日本語訳も出ています。
私はストーリーに入るときに補助的に最初だけ読みました。あとは原書読んでいて、ここって日本語どう訳してるのかな?という時に辞書的に使用しました。