今でこそ小心者ながら一つのグループに所属し、当たり前に人前でベースを演奏させて頂いておりますが、何事にもきっかけと云うものがございます。
ほんの一つではありますが、つらつらと書いてまいります。
何卒気長なお付き合いを。



高校生の頃に友人に誘われて初めてバンドというものに入って活動した。きっかけとしては非常にオーソドックスなパターンである。

「弥太郎、ベース似合いそうだからやってみてよ!」と、友人はのたまい、対して「うむ、そうか。自分にはベースというものが似合うのか!やってみようではないか」とベースと云うものをよく解らぬまま安請け合いをした挙句

「ギターよりも弦が少ないものなのだな。簡単であろうが!」

と半ば小馬鹿にした態度で取っ掛かったのだが…やっているうちに早くも不満が表れるのである。

ギターのような繊細な音が出ない。
弦がものすごく固い。
故に指にマメができる。
何よりも、仮にがんばって弾いても美味しい場面はギター がかっさらっていく。そのバックで「ぼよーん、ぼよん…ぱきっ」などと情けないばかりの音が聴こえてくる。


…
なんじゃこらっ!!
おれは人数合わせのために騙されてたのではないかっ!

ちっとも面白くないではないか!

と、少なくとも知識に技術に乏しい当時は思い、非常に憤慨したのを覚えている。

ましてや曲調がパンク寄りのロックがメインであったものだからベースのフレーズもシンプルなため、必然的に自身のアクションをも駆り出して曲を表現せねばならぬ。

それに気付く由もなく、誘ってくれた友人に対し、「ベースというものは大変つまらないものであるな」と言ったところ、彼は大いに困り果て「…ベースってそういうもんじゃない?もっと練習するといいよ」と、にべもない返事。

…一瞬ベースでドラム共々叩き壊し、友人のギターを焼却炉に放り込んで火をつけて辞めてやろうか。と、良からぬ考えがよぎった。


弾き方もよく解らず、親指の腹あたりで弦を弾くのみの男に然したる指南もなく何たる言い草。

多感な時期ゆえに気分も高揚しやすかったのであるな。

が、しかし、そこはいかんせん小心者の性。身銭を切ってやっとこさ手に入れたベースということもあり、辞める辞めれずにしぶしぶ続行する羽目になるのである。
これは当時では知る由もなかったのだが、今日の自分を大いに左右する革命的、と言えば大げさであるが大きな出来事だった。