一度、KARAの簡単なMCが入り、すぐに「ミスター」が始まった。
「ラ~ラララララ、ラ~ラララララ、ラ~ラララララ!♪」
「ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ、シックス、Boom It!」
と曲の始めからKARAの代名詞ともいえる「ヒップダンス」が目の前に!!
両の足を開いてフロアをしっかりと踏みしめ、その2本の足を軸にして、ひざから上の全身を波打つように、左右に揺らし、同時に腰を円の動きで回転させる。
これを見て、知らない人間は「ただの尻振りかい!」と思うかもしれないが(大失礼)、このダンスは、実は、見た目よりかなり難しいダンスだと思う。
体の芯を中心に残しながら、他の部分を全て別々の方向に交互に動かして、さらに腰の回転運動まで加わっているのだ。
ダンスの得意な人間はどうか分からないが、少なくとも自分ならそうとう真面目に練習しないとまねする自信がない。
といってもひそかに家で練習しているわけではないので、そこのところ誤解ないように!
中年オヤジが風呂あがりに「らーらら、ららら♪」と歌いながらケツを振っている姿など、誰も想像したくもないだろう。
(一部のコアなファン層を除く)
匠の技とはプロの職人にしかできないものだが、その技が美しいことは素人にも分かる。
KARAの「ヒップダンス」は紛れもなく超特級に美しかった。
「これが本物のヒップダンスだ。う~ん、100点!!むふふ~ん♪」
と、不気味なおやぢの微笑を両頬に浮かべつつ、誰にも頼まれないのに、勝手に点をつけさせてもらった。
初生「ミスター」をこんな目の前で見られて、自分の目がきらきらの星になっているのが、なんとなく分かった。
ハートのペンライトを振る手に力がこもる。
そして、現在の、自分の客観的な、美しくないクソおやぢ大爆発ノリノリ姿だけは考えないようにしようと、自分の想像力を固く封印した。
曲がエンディングに向かい、
「オーーー!オオオオオオオオ~~オ!!」
と体を折り曲げながらのスンヨンの渾身のシャウトが会場を突き抜ける。
会場のボルテージも果てしなくMAXに沸騰する。
ニコルが体をくるりと回転させてオーディエンスに向かって投げキッス。
ニコルはダンスの合間に時々こういうアドリブをかます。
バラエティ番組ではどこかおどおどしている印象があるニコルだが、ステージにあがると人が変わったように生き生きとパワフルになる。
その様子から、
「本当に歌って踊るのがが好きなんだなあ」
こちらがほのぼのと暖かい気持ちになる。
この日、KARAのパフォーマンスはこの3曲だけで終わったが、俺的にはこの3曲だけで十分に満腹だった。
「ごちそーさまでしたっ!!」
と心の中で手を合わせる。
その後、ステージ上で審査発表があり、3組の予選通過者が発表された。
KARAの5人は5時間もの間審査員を努めた後の、激しいライブパフォーマンスせいか、いくぶん疲れているように見えた。
それでも予選通過者が発表されて、泣いているのをみて、優しくハグしてあげる心遣いを見せていた。
KARAの5人は基本的に皆心が優しいのだろう。
KARAの人気の理由には、パフォーマンスの良さ以上の人間的な何かがある。
「ファンだからそう思うだけだろ!!」
という反論があるかもしれないが、その反論に俺は堂々と、こうこう答えよう。
「だからなんだ!!」
と。
「よけいなこというんじゃねー!!」
と。
まあ、ほとんど90%余計なことばかりを書いてしまったが、とにかくこの日は生KARAデビューの日として大満足だった。
ライブ会場の照明が落ち、ペンライトをしまい外に出る。
夜空を仰いでゆっくりと一息。
そして、心地よい疲労感と共に軽やかな足取りで家路についた。
