問2は「クラウドサービスを活用したITサービスのマネジメント」の問題だった。

 

過去問だと平成27年問2,平成25年問2などが近い問題だと思う。

 
これは以前からそうだったんだけど…クラウドサービス提供者(インフラサービスの提供者)側のITサービスマネージャは書けない問題なんだよね。
 
この問題以外でも,顧客が情報システム部やSIベンダで,顧客=サービス(システム)利用者でなければ書けない問題は多いけど,これは100%無理。クラウドサービスを活用する側のITサービスマネージャなので。
 
でも,そこさえクリアすれば…経験者はもちろんのこと,未経験者でも書きやすい問題だと思う。クラウドサービスを利用していることだけが条件で,問1のように…暗に状況が絞られていない。
 
なので…具体的かつ定量的に書いて,客観性のあるわかりやすい内容にするだけで,あとは問題文と設問で問われていることに順次回答していけばA評価になると思う。論文の基本的なお作法を守りさえしていればいいんじゃないかな?なので添削を受けていた人は大きなアドバンテージがあるはず。
 
そこが最大のポイントなのかな? いずれにせよ,こうしたことを前提に,合否を分けるポイントやA評価の安全圏などを以下にまとめてみた。

 

 

設問ア

 

ここは事前準備した「ITサービスの概要」がそのまま使えるはず。ポイントは次の通り。

 

サービスとして表現していること。平成20年までの「システム管理」の時代のように,システム管理として書かないこと。まぁ多少なら大丈夫でしょうが,システム管理者ではなくサービス提供者としての表現が必要。

・その後に,管理対象システムや,運用方法などを書く。

・この問題は,サービス提供時間を含むSLAは必須。設問アの後半で「ITサービスの目標に照らして」とあるし,それを順守するためにCSPと調整が必要になるので。

 

設問アの後半は,「クラウドサービスの概要」。次のようなことを書けばいいだろう。文脈から判断すると,クラウドサービスの利用を検討している時点の話にするのが安全だろう。

 

・検討の対象としているシステム

・クラウドサービスの種類

・クラウドサービスの内容

・役割や責任の分担

・コスト面に関して

 

なお,経験者の場合は,誰でも書ける内容だけではなく,未経験者に差を付けるための経験者しか出せない細かい点を書くのもいいだろう。契約金額や従量制の場合の毎月の変動など。そういうことも考えていこう。

 

設問イ

 

クラウドサービスを検討している中で,直面した問題と対策について書く。

 

前の段落(設問ア)からの流れを考えれば,CSPのサービス内容を確認するというところからスタートして,その結果次のような問題に直面したと展開していけばいいだろう。

 

直面した問題

 

問題文では,障害発生時の対応と顧客(=利用者の場合もある)からの要求にタイムリーに対応できないなどを例示している。

 

問題そのものは,これら障害発生時,改善要求への対応以外でも構わないが…システムアーキテクトではないので,クラウドとオンプレミスの切り分けではなく,あくまでも利用を前提とした運用面の問題にするところがポイント。

 

加えて「問題」を表現するには,「理想(目標,あるべき姿)」と「現状」の差で表現することもポイント。「~が問題だ」ではなく。今回の場合は,「自分たちの理想,もしくは現状のオンプレミスでの運用(=組織の管理プロセス)」と「CSPのサービス内容」。この両方を書いて問題を表現すること。

 

対応策の決定,及び工夫した点

 

そして,その問題に対しての決定事項と,工夫した点を書く。

 

対策は,問題文の例を見る限り…CSPに特別対応をしてもらう(サービス内容のカスタマイズ)という点もアリのように見える。しかし,そればかりだと…特に問題でも何でもなかったことになる。したがって,基本は自分たちの運用管理プロセスを見直して対応することにした方がいい。そして補足的にCSPにサービスの一部カスタマイズを受け入れてもらうという感じ。

 

・運用管理プロセスの見直し

 → 何をどう変えたのか?要員の作業,要員の追加,利用者への説明など。追加されるコストにも言及した方がいい。

 → SLAを変更する場合,安直に変更するのではなく,本質部分を担保できるように何かしらのリカバーを加えることが重要

 → 単にCSPに合わせるというだけではダメ

 

・CSPにサービスの一部カスタマイズを受け入れてもらう

 → 必ずコスト面の説明をすること。こちらは必須。

 → 単にこちらの要求に合わせてもらったではダメ

 

工夫した点については,しっかりと協議をしたこと。利用者やCSPと。後は,それぞれ単純に合わせたというのではなく,多少こねくり回して対応したという点に言及すればいい。

 

 

設問ウ

 

平成20年までと同じ。評価と今後取り組むべきと考えていること。

 

ここは,普通に時間軸を進めて,当該CSPと契約して移行したことを書けばいい。

 

その上で,設問イに書いた問題点と対策(解決策)がどうだったのかを書く。普通に,問題なく運用できる=評価しているでいいだろう。

 

今後取り組むべきと考えていることは,この問題なら「コストを監視して,コストの変化に注目し,サービス内容と比較しながら…」とすればいいだろう。

 

最後の最後で,誰もの精度が低いので何かしら書いていればOK

 

 

まとめ

 

非常に書きやすい問題だと思うので,やはり最大のポイントは…具体的に書けているかどうか,客観性のある表現,すなわち定量的に書けているかがポイントになるだろう。まずは,そこで差をつける。

 

その上で,次の点について書けたかどうかをチェックしよう。

 

・クラウドサービスを検討しているタイミングの話

・問題を「既存の運用」と「CSPのサービス」の両方を具体的に書いて説明している。定量化が必要なところは定量的に

・対策が,単にどっちかに合わせただけじゃない(=工夫している)

・コスト面をしっかり説明している(オンプレかクラウドかは,結局はTCOで決めるので)

 

コスト面まで定量的に書けていれば安全圏。無くても他のミスが無ければA評価は可能だと思う。他にもおかしなところがあったり,反応できていなければ厳しいだろう。