あくまでも感想です。
いつかは「リーダーシップ」の問題が出るって思ってたけれど…このタイミングだったとは。PMBOK第5版までの人間関係管理のうち,出題されそうでまだ出題されていなかったのが「リーダーシップ」だからな。
ただ…内容を見たら「対立(=コンフリクト)」を例に挙げているので令和3年問1をベースに考えればいいのかなと。まぁ,対立に限らず「外部環境の変化によってプロジェクトチームの状態が悪化した場合」なら,何でも書けそうなので対立はあくまでも一例だけど。
そういう意味では平成18年問1の「連帯意識の形成」や平成21年問1の「動機付け」で論文を準備していた人(添削を受けていた人)は,アレンジして書けるんじゃないかなと思う。
後は…「状況に応じたリーダーシップ」で「指示的なリーダーシップ」と「支援的なリーダーシップ」を選択するという話なので…午後Ⅰの令和4年問3や令和5年問1をはじめとした「指示型(強いリーダーシップ)」と「支援型」の違いを十分理解していることが必要になる。午後Ⅰの過去問題にしっかりと取り組んでいた人は有利だと思う。
それに,この問題も問1と同様,かなり細かく聞いてくれているので,しっかり添削を受けていた人にとっては書きやすかったはず。一つ一つに丁寧に答えていけばいいだけなので。おそらく準備不足の人は全部に回答しきれていないだろうから,そこでも差がつくはず。
設問ア
問1同様この問題も,出だしが「プロジェクトの概要」や「特徴」ではなかった。ひょっとしたらテンプレートに続く形で書いても構わないってことかもしれないけれど…まだ採点講評で何にも指摘されていないので,まだ「プロジェクト概要」を簡潔に説明するところから入っていった方がいいと思う。そこ無くして,いきなり「プロジェクトチームの特性」にしないように。
問われていないので,いつもより簡潔に「プロジェクトの概要」を書いて,早々に「プロジェクトチームの特性」の話へと展開する。チーム分け,役割ごとの人数,特性を具体的に書くだけでいい。
次の段落(1-2)で,「プロジェクト実行中に起きたプロジェクトの活動を阻害するおそれのある外部環境の変化,阻害するおそれがあると考えた理由」について書く。プロジェクトの実行中ということなので,いつ(月日),どのフェーズなのかも明記した方がいいだろう。
問題文では,次のような例を挙げているので,そこから大きく離れない外部環境の変化とすると安全だ。
① プロジェクトを支持している影響力のあるステークホルダの異動
② プロジェクト外部の要因によるスコープやスケジュールの変更要求など
但し,ここで書く「外部環境の変化」については,設問イに書く「外部環境の変化によって悪化したプロジェクトチームの状態」と同時に考えないといけない。
その外部環境の変化の…何がどう影響してPJチームの状態が悪化したのか?そこを繋げて考える必要がある。問題文の例をベースに考えれば…次のようになる。
「プロジェクトを支持している影響力のあるステークホルダの異動」によって,「メンバー間で対立が発生する」という感じなので,問題文の例だけでは論理が飛躍してしまう。その間の論理を埋めなけれなならないことに注意する。
設問イ
ここで問われているのは5つ。それを第2レベルの段落にして次のように分けると書きやすいだろう。
2-1.プロジェクトチームの状態
2-2.悪化した状態の改善に向けて把握した個々のメンバーの状況
2-3.それらの状況に応じて選択したリーダーシップとこれに基づく具体的な行動,それぞれの行動を使い分けた理由
2-3に3つの要素を入れたけど,こえは分けない方が書きやすいと思う。
設問イのポイントは,何と言っても「プロジェクトチームの状態」次第だと思う。問題文の例の「対立」を使うかどうか。令和3年問1で添削を受けていた人は,使った方がいいと思う。「これはダメ」,「これはおかしい(矛盾している)」って,かなり細かい指摘をしていたので,ここに書く対立のそういう部分は無くなっていると思うので。
「対立」以外だと,「連帯意識が形成されていない」とか「(やる気のないメンバーがいるため)動機付けが必要」とか,過去の人間関係管理の問題に出てきたものでも書くことはできると思う。
注意すべき点は,具体的に書くこと,かつ矛盾が無いように一貫性があるように書くこと,一般的に(常識的に)おかしな話にならないように書くことの3点。その3点さえ問題なければ大丈夫だと思う。
設問ウ
最後は次の点について書く。
3-1.改善したプロジェクトチームの状態
3-2.状態の改善に対する評価
いずれも「プロジェクトの活動を阻害するおそれのある外部環境の変化への対応結果を含めて」書くようにする。「含めて」という記述を無視して,独立した段落にすると書きにくくなるので注意。
3-1は,2-1に対して具体的に書くこと。
3-2は,いつもの「評価」なので,2-3に書いたことの一つ一つについて「良かった」って書いて,そう考えた根拠を書けばいい。
まとめ(A評価の基準)
ここからは勝手な想像なので,信じるか信じないかはあなた次第ということで。
次の点をクリアしていれば大丈夫だと思う。もちろん大前提として,論文のお作法や矛盾がないことってのは有るけれど、その上でね。
① 問題文と設問で問われていることすべてに回答していること。個々の回答に矛盾やおかしなところが無いこと
問1同様,この問題もかなりたくさんの要素について細かく聞いてくれているので,添削を受けた人とそうでない人との差が大きく出るところ。添削を受けて「これについて答えてないよ」と口酸っぱく指摘されていた人は,かなり有利。全部に回答しなければならない。問題文にだけあることにも書かないといけないって意識が染みついているはずだから。
振り返ってみて,全部に回答していたら,かなり有利だと考えよう。
但し、問われていることが多いってことは,それぞれについて具体的に書いていくと矛盾が発生しやすくなるので,矛盾が無いように意識したかどうかで変わる。矛盾が無ければA評価の可能性は高い。
② 外部環境の変化からのチームの状態の悪化
前述の通り,問題文の例だけだと論理の飛躍があるから,そこをうまく埋めなければならない。
外部環境の変化→その影響(具体的)→その影響(具体的)→チーム状態の悪化
違和感なくつなげることができれば(採点者も納得して)大きな減点はなくなるだろう。
③ 設問イの具体的な行動
ヒューマンドラマにならないこと。感情や感覚だけで書くことが多くなるこの手の問題だが,重要なのは「計画性」と「行動根拠」。そのあたりをどうアピールするかが重要になる。
個別ミーティングや全体ミーティングなどのイベントを計画したのなら,いつ,だれが,どこで,どういう目的で,何をどうしたのか?について丁寧に書く。特に「PMの狙い」が重要なところになるので,そこを重視して書く。
④ 平成18年問1,平成21年問1,令和3年問1で添削を受けていた人
この問題に近いと思えた人でしっかりと添削を受けていた人は,それだけで,それらに近い方向に行くので大きな逸脱は無くなる。
こんな感じかなと。