ITサービスマネージャはの問2は「ヒューマンエラー」と「再発防止策」を組み合わせた問題でした。
一見すると新規問題のように見えますが、そうでもないと思います。
ヒューマンエラーは、ITサービスマネージャ試験の午後Ⅱでは基本中の基本、定番の問題ですからね。最も近い問題は平成19年問3「作業ミスによる障害発生の防止について」。
他にも…平成22年問3、平成20年問3、平成24年問1なんかのインシデント対応の問題は…「対応中にミスが発生」って感じの問題がデフォルトなので、そこでヒューマンエラーについて準備していた人はいけたんじゃないかなって思う。障害対応時のヒューマンエラーと、ヒューマンエラーに起因する障害との違いはあるけれど。
あとは「根本原因」と「再発防止策」。いずれも論文試験の定番。そこを書けたかどうか。
この問題なら…A評価のポイントは次の点だと思う。
1)ヒューマンエラー(設問ア)
設問アに書くのは(ITサービスの概要を除いた400字)、運用担当者のヒューマンエラーに起因した障害,及びヒューマンエラーの内容の二つ。ポイントは以下。
・担当者のミス(=自分のミスじゃない)
・何をしていた時(運用)なのかを具体的に。具体的な処理内容、必要性、いつなのかなどは必須
・何をして(ヒューマンエラーの内容)
・どうなったのか(障害の大きさ。設問イが再発防止策なので、その障害の結果=復旧まで書く)
2)直接原因と根本原因、組織としての課題(設問イ、設問ウ)
これらは一緒に考えて、どれをどうするのかを最初にデザインしないといけないと思う。
この問題文の書き方なら…
直接原因は「不注意, 知識不足, 思い込み, 慣れ, 過労など」。これはすぐにわかる原因。
根本原因は「プロセスや職場環境など,直接原因を引き起こしているもの」としている。直接原因に絡めて考える。
組織としての課題は「ヒューマンエラーの背景として, 教育などのスキル管理, 作業ルールなどのプロセス, コミュニケーションなどの組織風土」としている。これらは、今回の分析ではなく他のヒューマンエラーも含めた傾向分析の結果なので、根本原因に絡めて「その根本原因なら、ほかにもこんなヒューマンエラーがある」という視点から、決めればいいだろう。
まずは、この三つを三位一体で考えて決定し、それを具体的に書いていく。この例だと「スキル不足」(赤字の部分)でつなげていくのが最も簡単かな。場当たり的な教育で、過去のエラーを加味した教育対象の絞り込みをしていなかったみたいな。
2)根本原因の分析とは?
ここは注意。ちょっとわかりにくいけれど…「対策を検討するに当たって,根本原因をどのように分析したか。」の分析は、根本原因を見つけ出すための分析のことだと思う。パレート分析となぜなぜ分析の例は、根本原因を見つけ出すための分析で、それに基づいて対策をするといっているので。
なので普通に、直接原因→分析→根本原因で構わない。
気になるなら、根本原因を把握した後にも分析して再発防止策につなげたとしておけばいいだろう。
3)傾向分析(設問ウ)
「組織で発生したヒューマンエラーの傾向をどのように分析したか。」という感じで「どのように」と書いているので、傾向分析の技法について書く必要がある。
ただ…傾向分析なので何年分の障害レポートを、どのようにつかって、どのように傾向を確認したのかを具体的に書くだけでいい。
まとめ
基本、この3点(特に、直接原因と根本原因、組織としての課題の整合性)がクリアできていれば大丈夫だと思う。
類似問題はあるものの平成19年だし、僕の添削でも1回も添削していないので…受験生にとっては新規問題のようなもの。
だとしたら…
やはり、添削を受けて人が有利になるんじゃないかなって思う。”準備していなかった問題”という条件は全員同じなのでね。
・論文の基本的なお作法を知っている
・論文共通の自分の課題(具体的に書けない、初対面の第三者にわかりやすく書けない、無関係のことを書く、段落タイトルと内容が違うなど)を、他の問題でクリアしている。
・自分の課題を知っている
・定量的な数値を意識した(%を除く。実数)
そのうえで「ヒューマンエラー」や「根本原因の分析」の経験や知識があれば合格できていると思う。
全体のレベルが下がっている可能性もあるので、抽象的ではなく、具体的な数値や事象を含めて書き上げれば受かっていると思う。