前回ここで紹介した通り…すでに秋試験向けの添削も,ゆるゆると開始しています。
で,今日はひとつ。
論文で必要な「説得力」について考えてみましょう。
説得力。
お持ちですか?
これまで数万本の論文を添削してきましたが,たまに…むちゃくちゃ説得力のある文章に出くわします。
説得力のある文章が,具体的にどういうものなのかを説明するのは難しいのですが…
そのうちの一つの要素は,はっきりしていると思うんですよね。
それは…
「相手が何を考えているのか?」
「これを書くと(話すと)どう感じるのか?」
「これを書くと,どんな疑問を抱くのか?」
「逆に,何を期待するのか?」
etc…
このあたりが想像できること。
それが必要不可欠な要素かな?と思っています。
「この想像力」は,対面の会話だと必要ありません。
相手は,疑問に思ったことはすぐに聞いてくれるし,軌道修正もしてくれるから。
でも…「論文試験」のような一方向のメッセージ発信だと,読み手が質問してくれることも,軌道修正してくれることもありません。
だから,想像して文章を組み立てないといけないわけで…それができている人が「説得力のある文章」になるのだと思います。
つまり,1回のやり取りにもかかわらず…実は,会話が成立しているというわけです。
「ここは本来なら…するところだ。しかし今回は違う。私は…の方を選択した。つまり…というわけだ。」みたいな。
あるいは…「(ここで,読んでいる人は”え?いつの話”って疑問に思うはず。だから日時を書いておこう)」みたいな。
これは,プレゼンや講義でも同じなのかなと。そこを工夫すれば…歌や小説,ドラマや映画になるのかなと。
だから,自分も常々考えていることで…かつ,欲しているわけです。そうした想像力を。
で,その想像力を身に着けるには…(自分なりに考えているのは)こういうものが必要なのかなと。
・様々なことに対する”ある程度”の知識
・相手の情報(特に,何を知っていて,何を知らないのかに関する情報)
相手が不特定多数の場合に,ターゲット層を絞り込むとか,ペルソナ作るとかっていうのも,これに起因しているもので…講義をするにしても,本を書くうえでも…いつも考えること。
だから…万人に向けて説得力があるっていうのはなかなかに難しいけど、特定の層や特定の相手に対して効果的な説得力っていうのは、そんなに難しくないのかも。いわゆる響く相手は。
とかなんとか…こんな風に考えていたら…あらためて「資格」って,なんて便利なんだろうって思いませんか?
普及している資格だったら共通用語にもなるし,持っているか持っていないか,勉強しているのかしていないのかで,相手が何を知っていて,何を知らないのかも推測できるので。
説得力。
情報処理技術者試験の論文系の高度試験に挑戦している人は,考えてみましょう!
実務でも役立つはずなので。
最後にひとこと。
理屈はわかっているのですが…僕自身の言葉に説得力があるかどうかは別の話です。
「お前が言うな!」
と,つっこまないように 笑。