突然ですが…次の一文をさっと読んだ時に,どれくらい理解できていますか?

 

 

「簿記は、企業規模の大小や業種、業態を問わずに、日々の経営活動を記録・計算・整理して、経営成績と財政状態を明らかにする技能」

 

これは「簿記」という用語の定義に関する日商の説明です。

 

簿記のことを良く知らない人が読んでわかるようにするための文章なのですが…人によって,この文章から受け取ることができるメッセージの量(反応できる量)は…なかなかに違うんですよね,実は。

 

<ビジネスや簿記のことを全く知らないAさん

記録・計算・整理だけに反応。「あーなんか記録したり,計算したりするのか」

 

<ある程度知っているBさん

どんな会社でも,経営活動を記録したり,計算したりして,自分たちの活動や状態をはっきりさせる技術なんだな。

 

<幅広い知識のあるCさん

企業と会社の違いが分かっている

大会社・中会社・小会社の違いが分かっている

業種コード・産業分類が分かっている

業種と業態の違いが分かっている

経営活動の具体的な例がイメージできる

・記録・計算・整理がイメージできる

・経営成績=損益計算書としてイメージできる

・財政状態=貸借対照表としてイメージできる

 

人は本を読む時に,知らない用語が出てきたら読み飛ばし,上っ面しか知らない用語が出てきた時にはその解釈のまま読み進めるから,当たり前と言えば...当たり前のことなんですけどね。

 

 

 

 辞書や参考書の特性を知る

 

この違いは,どんな書物でも現れています。小説を読んで想像力を含ませるときも同じなんですが…

 

特に「辞書」や「参考書」の場合は顕著に現れます。

 

その類の著者は,常に…

 

「どうすれば無駄な表現なく,最小かつ最適な量で伝えたいことを表現できるか?」

 

を考えて文章を書いているからです。ちょうど,前述の「簿記」の定義のように。

 

 

 

 記述式が苦手な人

 

情報処理技術者試験の(特に高度系)の記述式問題が苦手だという人の場合も同じケースがあります。

 

学習の開始はAさんパターンでしょう。学習が進んでくるとBさんパターンくらいまでなら…容易にいくと思います。それでまぐれ合格する場合もありますが…ただ,合格を確実にするにはCさんパターンにならないといけないわけです。

 

Bさんのようになっていませんか?

Bさんレベルで「読解できた」と思い込んでいませんか?

 

Cさんのレベルで読めるようになって初めて「読解できた」と言えるでしょう。

 

「なんとなく状況は分かるけど(雰囲気は分かるけど),実際はしっかりと理解できていない」状況だと,点数は安定しません。

 

そういう人は,Cさんパターンになるまで知識を深めないといけないんですね。

 

 

 

 読解力にもいろいろある

 

よく…「読解力がない」と一言で片付けられますが,そのレベルで終わっていたら努力の方向性も見えません。読解力が無い場合,その原因はどこにあるのか?

 

日本語の文章構成レベルなのか?

それとも単に知識不足なのか?

 

情報処理技術者試験の高度系に挑戦される人の多くは,日本語の文章構成レベルに問題はありません。多くの場合,単なる知識不足です。

 

読解力と一言で片づけるのではなく,専門書を読む時に必要な専門用語を正確に理解するところから始めれば,記述式問題の理解度が変わってくるでしょう。短時間で正確に把握できるようになるはずです。

 

 

 

 試験要綱

 

今回,プロジェクトマネージャ試験の対象者像・業務と役割・期待する技術水準が変わりました。

 

ttps://www.jitec.ipa.go.jp/1_13download/youkou_ver4_9.pdf

 

これ…Bさんのように,なんとなく雰囲気は分かると思います。しかし,簿記の定義を正しく把握したCさんと同じレベルで理解できていますか?

 

一言一言にきちんと反応できていますか?

 

試験問題ではないので,これを正確に把握するための学習をする必要はありません。

 

しかし,学習が進み知識が合格レベルについてくると…結果的に,ここに書かれた文章をCさんと同じレベルで把握することができるようになります。

 

それぞれの中の①や②…○囲み数字に記載していることと,過去問題が紐づいて見えてくるようになります。

 

読解力ではなく,単なる知識不足。

 

勘違いしていたら学習効率が悪くなるかもしれません。注意したいですよね。