はや6月…先月は充実していたな~。

 

ところで。

 

先日…次のような質問がありました。

 

「勉強はかなりしているのに(時間を使っているのに),なかなか試験に合格できないんです。頭悪いんですかね?」

 

頭悪いかどうかは別にして…この手の質問は少なくありません。いろんな講座で出会う受講生のうち,毎回,何人かは…こういう話から始まります。

 

 

このような質問を受けた時,最初に確認するのは”勉強方法”なのですが…ほとんどの場合,原因ははっきりしています。

 

それは…

 

暗記を疎かにしている…

 

これに尽きます。

 

せっかく勉強しているのに,せっかくいろんな本を読んでいるのに…むちゃくちゃもったいない!!

 

次のようなケースになっていませんか?

チェックしてみてください。

 

 

(1)理解して安心している

 

大人になって…30年,40年生きてくると…それなりの知識が蓄積されています。そのため…理解する能力は長けているのです。

 

でも,注意しないといけないのは…ただ単に理解できただけで,しっかりと記憶できていないケースです。

 

理解は,納得と安心を得ますからね。それで「わかったような気」「勉強したような気」になっているわけです。まぁ確かに”勉強に時間を使っている”のには間違いないのですが…

 

・知っているかどうかと聞かれたら「知っている」

・再度耳に入ってきたら「知っていること」だった

・聞いたことがある,見たことがある

 

これらと…下記は”まったくの別モノ”ですからね。

 

・再現できる(アウトプットできる)

・自分で話を組み立てられる

・相手の求める時間で,分かりやすく説明できる

 

午前問題では高得点なのに,午後Ⅰや午後Ⅱになると点数が取れない場合は…ほぼほぼこの理由です。

 

自分の心の中だけで留め置くのなら”理解”だけで十分です。しかし,アウトプットする(仕事で使う,資格を取得する,誰かに教えるなどなど)には,理解しただけでは…不可能です。

 

 

(2)暗記する勉強をしていない

 

・PMBOK第6版の49のプロセスが言えますか?

・システム管理基準が言えますか?

・無線LANに関するセキュリティ関連キーワードを7つ言えますか?

 

単語カードを使っていますか? 

定期的に,アウトプットできるかどうか確認していますか?

 

子供の頃の勉強って…暗記中心でしたよね。

20歳あたりをピークに記憶力は劣化していきますよね。

 

なのになぜ,大人になったら単語カードを使って暗記したり,徹底して記憶するために反復練習をしたりしないのでしょうか?記憶力が衰えれば衰えるほど,そうした練習が必要になるにも関わらず。

 

物事を”理解”できるレベルではなく,自分で自由に”再現”できるレベルにするには暗記が必要です。

 

それに…”暗記”を目的にすることで,頭の使い方も変わってきます。

 

円周率を覚えなければならないと考えてみてください。

 

「3.1415926535」ぐらいまでは普通に記憶できますが(ゴロもいいので笑),その先を覚えようとしたら…頭の使い方を”記憶する”モードにしないといけないですよね。

 

円周率のような無機質なもの(=理解することが不可能なもの)を100桁記憶しないと考えたら,そこに様々な工夫をしようとするでしょう。ゴロ合わせや連想記憶,グルーピング,ビジュアルイメージなどなど。

 

しかし,これが,例えば進捗管理のような何かしら理解できるものになった時…そこに満足して「再現できる=暗記した」というレベルになる前に(覚えるのを止めて)次に行ってしまうのです。しっかりと記憶できていないにも関わらず。

 

記憶するやり方(勉強方法)と,理解や納得するやり方(勉強方法)は全然違いますし…暗記するという行為をしないと,記憶力はどんどん劣化していきますしね。


ちなみに、最初から意図して暗記しようとする勉強と、結果的に暗記できたっていう勉強では…要する時間には雲泥の差があります。当然ですが前者の方が速い。つまり学習効率が良いのです。倍以上違うんじゃないかな?

 

 

(3)手を広げすぎているから反復回数が少ない

 

我々の周囲には,かなりたくさんの技術書があります。IPA公表の資料もある。他にビジネス書も読まなければならないでしょう。

 

そのため…「数多くの本や資料を読むこと」が重要なのですが…そこにも注意が必要です。

 

僕が本を読む時は,必ず類似のものをまとめて読むようにしています。例えば「アジャイル開発」なら,その類の書籍や資料をまとめて(時に全部)読んで,共通部分と差分を切り分けて整理しながら読んでいます。仮にそれに3日かかるとすれば,3日間は他の情報は入れません。

 

最悪なのは,関連のない本を片っ端から読むこと。

 

全体の中のその本の位置付け,総論や雰囲気を掴む程度なら,毎日何かしら違った本を読めばいいでしょう。しかし,それでは…本の細部を記憶することはできません。流し読み,飛ばし読みなど速読すればするほど,細部を記憶することはできないわけです。

 

だからテーマを一つにします。その上で,軸になる1冊の本…もしくは複数の本の共通部分を,何度も何度も読み返すことで頭の中に叩き込みます。

 

 

ところで…皆さんは,何回くらい反復します?

例えば,午後Ⅰや午後Ⅱの問題は何回くらい見ます?

 

筆者は,午後Ⅰの過去問題は…同じ問題を1年間に少なくとも100回は読んでいます。午後Ⅱは1000回を超えている問題もあります。試験対策をやっているからなのですが…そりゃ覚えますわな。

 

教科書(試験対策本)も,自分で書いているから当然なのですが…何十回と読んでいます。

 

まぁ…同じ舞台やミュージカルを何度も何度も観ていることからもわかると思いますが…”反復”が苦じゃないんですよね。一つのことを誰よりも深く理解したいってのが根っこにあるからだと思います。

 

それに…再度同じものを見る(観る)時に,常に先を予測しています。「確か,次はこうだったよな」って感じで。そして記憶が正しかったか,間違っていたかをチェックしながら次に行きます。そして,それが終わってからも定期的に思い出しています。頭の中だけで反芻しているというわけです。

 

僕は,反省も後悔もほとんどしませんが…1日のうち,思い出すことは何度もしています。

 

結果,反復回数だけはむちゃくちゃ多いわけです(だから…舞台やミュージカルも同じものを10回以上観ることが多いのですが…展開は当然,台詞も普通に覚えます 笑)。

 

それらが仕事で活用できているかどうかはわかりませんが(自分ではできていると思っていますが),少なくとも資格試験で点数を取ることはできています。なので,試験対策の勉強としてはお勧めできるというわけです。

 

 

 

まとめ

 

もしも,ここに書いていることに思い当たることがあるのなら…勉強のやり方を,暗記中心に変えてみることをお勧めします。

 

どうせ勉強するなら,どうせ時間を使うのなら…少しでも短い時間で(効率よく),形(資格)に残る(取得)ように,そして実務にも役立つ(アウトプットできる)ようになった方が良いですからね。

 

そのためには「暗記」という行為が,時に必要になります。特に基礎(資格試験で問われる程度のこと)は。

 

 

時間は有限です。

他に大事なモノ,楽しいことは山ほどあります。

そういうのを犠牲にするのはナンセンス。

 

暗記が苦手という人でも心配はいりません。暗記が苦手という人は暗記の練習をしていないからしんどいだけです。ほら,何でも最初はしんどいですよね。暗記の練習を続ければ,記憶力も良くなってきて苦痛もなくなってくると思います。

 

それに…

 

もしも今,何かしらの閉塞感を覚えて…その現実を変えるために「資格取得に挑戦しよう!」って考えているとしたら…そのレベルでとどまるのではなく,さらにその先…「全部覚えてしまおう!」って考えた方が良いと思います。

 

どうせ一念発起するならね。

 

”基礎”の無いところに”応用”も”創造”もありません。”ひらめき”や”降りてくる”のも”基礎”的な知識が頭の中にあってこそですからね。

 

自分の頭の中にあるものを,意図的に活用するのが”応用”や”創造”で,無意識の中行われるのが”ひらめき”や”降りてくる”っていうケースです。

 

知識の絶対量が少なければ,応用や創造はもちろんのこと,それを活用することすらできるわけがありません。

 

 

というわけで。

 

学生の頃を思い出して…今さらながら暗記という学習方法を再開されることも考えてみてはどうでしょう?