昨日の会で,少し話題になったのが”マーケティング”。

 

乃木坂の話に夢中になり(悪い癖 笑),そっちにばっかりいってしまって…真面目な話ができなかった。

 

…それを反省してここで少々。

 

真面目な話なので長文です。好きじゃない人はスルーしてね。

 

 

/ネットによって変わった消費者の意識

 

2010年,コトラーが発表したマーケティング3.0は,ネット時代のマーケティングのことについて言及している。なので,その本を読めば…おおよそ何をすればモノが売れるのか…書いている内容に納得することは多い。

 

しかも乃木坂46と突き合わせてみていると,さらによくわかる。

 

というのも…それを実践しているのが乃木坂46で,乃木坂46は実際に売れているから(笑)。

 

7年間…右肩上がりのアイドルなんて過去にない。普通は”ブレイクポイント”があるのに,乃木坂46にはそれがなく…じわじわ,じわじわ売れてきた。

 

もちろん運営側の供給量の調整もあるんだけど…それだけじゃない。大金使った過剰宣伝が…知恵を付けた消費者には通用しなくなっている(というか嫌悪感持つ)ので…それをしなかったのはSMEの英断。まぁ立ち上げた時にはお金がかけられなかったんだと思うけど(笑)。

 

それと…マーケティングに関して,昔から残っている普遍の考え方のひとつに”売れているものを見る”ってやつがあるんだけど,それも今は難しくなってきている。ネットにある情報の信頼性(マーケティングに必要な情報の信頼性)は,発信者の思惑の高度化にもよって…ますます低下してきている。RPAやボットで収集しAIで分析させたとしても,結局その答えが本質を表していなければ意味が無い。

 

本質にかかわる情報はネットにはない。

だから乃木ヲタになるのが一番いい(笑)。

 

 

話を元に戻して…コトラーの3.0,4.0(2016年~)の中に書いてあるポイントを,シンプルに集約すると…

 

・SNSの進展で1億総自己主張時代

・消費者が参加型になり役割を欲するようになる

・コンテンツだけではなく,周辺情報やストーリーを求める

 

 

/重要なのは役割分担

 

売る側と買う側は,役割分担的な意味合いが強くなり…例えば乃木坂46では,運営側と乃木坂46メンバとファンが,暗黙のうちに…それぞれ自分の役割を持ち,相手の役割を侵さないように注意しながら…三位一体でビジネスを推進していく。

 

それを世間では”エンゲージメント”と言ったり,今年の1月にブレイクした組織論「ティール組織」では”生命体”と言ったりしているんだけど…

 

いずれも,重要なのは”役割分担”。

 

これは今後もずっと続くはず。AIやロボットで生産性が上がり,それが成功すると…社会主義化とは言わないまでも…ベーシックインカム(”ぎみ”でも)が導入されるのは可能性の高いシナリオだもんな。

 

 

/努力や過程を見せるor見せない

 

例えば乃木坂46では…握手会,推しタオルやサイリウム,SNSでの拡散,生誕祭,祝花の受入れなど,ファンに多くの役割を与えている。

 

これにより,乃木坂46メンバーとファンの間に,いい感じのエネルギー循環ができている。相互応援。

 

これにより”水物”だった流動的なファンを,疑似ではあるものの「友達を裏切ることはできない」という意識をもつようになり,かくして息の長いファンが完成する。握手会の効果はここにある。AKB48が10年たってもトップを走り続けている理由の一つにはこれがある。多少の浮き沈みはあるものの,まだまだビッグビジネスとして続くはず。

 

そのフォーマットをベースに…コンテンツ以外に,その制作過程や,その時の心情(努力や苦労)をファンに公開し,それに対する感想をもらうことで,ファンにも役割を持たせている。これによって,結構一枚岩になる。

 

昔は…努力を見せず,コンテンツだけで評価してもらうのがプロだという…ストイックな”プロ論”が主流だったが,今はそれだけでは不十分。

 

それが時代に合わなくなったというわけじゃなく,そういう部分も”ひとつのストーリー”という演出にしないと,売れないと思う。

 

それが例えば…乃木坂46のメンバーのように,普段はプロセスをも公開しているのに,ある時突然,過程を隠して努力を隠し,ある日突然…素晴らしいパフォーマンスを発するコンテンツを,”サプライズ”としてファンに見せたとしたら…それはバズるだろう。

 

しかし,それだけをポリシにして…四六時中,最終パフォーマンスしか見せないとしたら,そこには多様性も無く,変化もなく飽きられる。いつもいつも”コンテンツしか”見ることができないとしたら…今のファンはその消費方法に耐えられないだろう。魅力を感じないという意味で。

 

もちろん一部には,ファンの参加意欲を凌駕するコンテンツもあるだろうけど,それが売れる確率は恐ろしく低くなっている。

 

 

/変化

 

それに…長期的付き合いを望むなら”変化”が必須。

 

長期的付き合いの最大の阻害要因は”マンネリ”になる。

 

ファンは”変化”を求めているし,ファン自身も”変化”する中で,供給側も”変化”して…その変化をコンテンツ外の場で常時見せておくことで,ストーリと周辺情報を含むコンテンツそのものが,誰にとっても予測不能な”サプライズ”になる。

 

その結果…売れるんだと思う。

 

 

/難しいのはパワーバランス

 

但し,今の時代は難しいことが一つあって…

 

それが,パワーバランス。

 

良いことか悪いことかはわからないけど,何かが突出することを良しとしない世の中になっている。

 

したがって,運営側が全てを決めてファンから搾取してやろうとか,どうだこれで買うだろうとか,そういう驕りが見えた瞬間…ファンはサッと離れていく。

 

昔,生駒ちゃんをAKB48の総選挙に出した時,多くの乃木坂46ファンは,そのイベントに加担しなかった。無視を決め込む(生駒ちゃんへのファンの愛は変わらず。いや生駒ちゃんへの愛は増した。人身御供的な見方をしていたので。無視をしたのは運営のやり方)。坂道AKBという感じで融合しようとしたものも,まったく話題にしないことを暗黙の了解とした(これも同じ。メンバーへの愛は変わらず)。運営と乃木坂メンバの凄いところは,ファンのそういう部分を察知したのか,その時はファンの意思を尊重してくれた。あそこで煽られていたら,今の人気は無かったと思う。

 

でも,だからと言ってファンの力(特定のファンでも,ファンとしての総称でも)が大きくなるのもダメ。

 

で,乃木坂はそこに対しても秀逸。メンバがファンを教育し,運営側も目を光らせている。

 

 

/育成ゲームじゃない

 

それに…乃木坂46について一番勘違いされていることは,参加型ではあるけれど,昔のように”育成ゲーム”的なものじゃないっていう部分。

 

ファンは成長過程を見たいだけじゃない。

 

あくまでも成長したいのは”自分”。

 

そこが少し前の「成長過程を見て喜ぶ親目線的なファン」と違うところだ。そこを勘違いしているプロモーションが多いけど,それらは悉く失敗しているもんな。

 

乃木坂46ファンが,乃木坂46を尊敬し,感謝の気持ちを常に持っているのは…あくまでも自分の方が成長させてもらっているからだ。それは俺も同じで,とても重要な部分になる。

 

 

 

/努力を見せるのは誠意,それと時間の確保

 

という感じで…乃木坂46を見ながら,マーケティングを考えながら,自分の仕事にも取り入れている。

 

このブログも,youtubeで公開しているコンテンツもそう。

 

僕の書く本は実務書なので,そこにどういうモノが詰まっているのかは,プロセスを公開した方が理解してもらえるし,周辺情報も…今だといくらでも個人で公開できるわけだから,公開している。

 

かくして…

 

3千円程度の500ページぐらいの書籍に,幅と奥行きができて立体化し,付加価値が大きくなる。

 

プロセスを公開するのは,その過程で誠意を見せるとともに,本の内容を小出しにすることで…その本を読む時間を増やす目的がある。

 

SNSを使えば,読者とも簡単に交流できるし意見交換できる。

 

但し,ただの参加型だと”まとめサイト”や,”wiki”には勝てない。そういう意味では,ネット上のナレッジベースに勝てる切り口が必須アイテムになる。

 

それを作ることができる”演者”や”著者”。

それを育成するのが”運営”や”出版社”。

そこに様々な調味料を添えて完成させるのが”ファン”や”読者”。

 

 

そんな感じかな。

 

 

/乃木坂46の話

 

時代によって大きく変わるマーケティング。

 

今のように…”IT”が経営の根っこに深く入り込んでいると,システム構想やシステム企画をする時に,マーケティング的視点が不可欠になる。

 

なので,マーケティングに関する講演や講義,コンサルテーションもやってるんだけど…

 

乃木坂46の例え話をしてもいいのなら,それは乃木坂46のヲタ話になるから,いつでも呼んでもらえれば…いくらでもお手伝いしますよ。

 

その場合,お金は不要。

 

ただのヲタ話で,乃木坂46の話をしていると楽しいので(笑)。

 

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