このブログは…“ビジネス”カテゴリーなんで…ちょっとそっち方面の話もしたほうがいいかなと思って…昨日の永島聖羅さんのトークイベントの価値について,マーケティングの観点から説明しておこう。
//マーケティングとは…//
マーケティングとは,簡単にいうと…“モノが売れるための仕組みづくり”のことで…具体的な活動としては,リサーチ・製品・価格・プロモーション・流通、および顧客・環境関係など,企業経営の根幹をなす部分を統合するものになる。
簡単に言うと…こんな感じのテクニックだと考えればいいだろう。
・儲けるためにやらないといけないこと
・売れるためにやるべきこと
・何をして,どうすれば売れるのか?のヒント
ビジネスを組み立てる時,会社を経営する時,企業診断をする時に必須の知識で,企業経営者や経営コンサルタント,金融関係者,広告代理店で働く方々から,バイヤーや店長さんなんかが勉強するものかな。
※詳細はこれらの本で。(SEカレッジのデジタルマーケティング講座で推奨している書籍)
//デジタル化がもたらす消費行動の変化//
難しい話はさておき…
そのマーケティングが,アナログからデジタルに変わってきている。インターネット,ビッグデータ,AI,IoTがもたらす変化を,コトラーはマーケティング4.0の中でこう言っている。
「製品はよりパーソナライズされ,サービスはよりパーソナルになる」
CRMによるワントゥーワンマーケティングが,さらに加速する。
よくよく考えてみれば…すべてがその方向に向かってる。
・政府の目指す“一億総活躍社会”や“働き方改革”
・企業のエンゲージメントマネジメント
デジタルが可能にする…ハイタッチ(人間的な触れ合い)
もはや…消費者は,自分が…画一的に“マス”と見られることも,勝手に何かしらに分類(セグメント化)されることも望んでいない。というか…それに嫌悪感を覚えるようになってきている。
CDが売れなくなったとか,握手券でCDを売ってるとか…そういうレベルの話ではなく…
消費者は,自分個人との1対1のつながりのあるところにお金を使うようになったってこと。
ただそれだけの話。良いことか悪いことかは別にして,あくまでも消費者自身が主役。“モンスター”があちこちに発生するのも当たり前のことで…主役だから自己主張するわけだ(笑)。そして,その先に自己実現っていうのはある。
だからほら…芸能人でも脇が注目されるようになってきたし,乃木坂46でも…白石さんと西野さんが3期生のセンターを支える側になった時に…感動したし。逆転現象(笑)。
//画期的だった…永島聖羅さんのトークイベント//
そういう意味で…昨日の永島聖羅さんのトークイベントは,どういう意図でホリプロが行ったのかは知る由もないが…画期的な戦略だった。
ファンにとっては,間違いなく「神イベント」だったわけだけど…ただの神イベントというだけのもんじゃない。最先端マーケティング(コトラーのマーケティング4.0や,デジタルマーケティング)の観点から見て…本当に画期的だった。
普通の居酒屋に100人ぐらいのファンを集めて宴会のように進めて行く。フリードリンクでアルコールもOK。食事も出る。時間は1時間半。司会者がいるわけではなく,永島聖羅さん自ら1人でずっとトークしてくれていた。
※そのイベントの詳細はこちら。彼女のブログまで。
https://lineblog.me/nagashimaseira/archives/8364982.html
100人ぐらいの人数だから,アイコンタクトも十分で…一方的ではなく,ファンと掛け合いながら場を盛り上げる。帰りには見送ってくれたので,そこで少し話もできる。
この1日をビジネスと考えれば…10倍ぐらいのキャパでホールを借りてという方がいいと思う。実際,倍率はそれぐらいで落選祭りだし…何より,ファンが出すのはたったの3500円。販管費含めると絶対に赤字だ。採算は考えていない。にもかかわらず…100人に絞り込んで,しかも居酒屋という設定が…
来場者に,1対1のつながりをもたらした。
(至福の時間というだけではなく)
今は…この1対1の接点があるかどうかで全然違う。
この効果は1年間は持つだろう。しかも今は,拡散はファンがする時代。2018年は飛躍すると思う。
もちろん,永島聖羅さんの魅力と技術があってのものなので…芸能人だったら誰でもできるわけじゃないけれど…,ただ…これも芸能人に必要なコンピテンシーになってきたのは間違いない。
//ファンを信用&採算度外視//
それに,ファンとの距離が近かった。お酒も入っている。これってファンを信じてくれたってことなんだよな。警備員もいないし…
それでいて…採算度外視。言葉だけじゃない感謝のしるしと受け取った。全てが…間違いなくファンに伝わっていると思う。
それに…1000人の需要がある時に,1000人で開催した場合と,競争率を10倍にして100人で開催した場合…プロモーション目的なら,AISASのように…最後に“シェア”や“拡散”を考えれば,どっちがいいかは自明。プレミア感による拡散力は半端じゃない。参加者は自慢し,落選者は悔しがる。それを観た傍観者も寄ってくる。1000人がそこそこする満足とは,広がりが違ってくる。
//売れているモノを観るのはビジネスの王道//
「売れているモノを見ろ!」
ビジネスをしていたら一度は耳にしたことがある言葉。
世間では…自分のことを認知してほしいファンを“認知厨”といって揶揄しているけれど…実はそれこそ時代の流れだってことは意識しておいた方がいい。
アイドルや俳優さんだけではなく,メーカーも,所属企業も,学校も,先生も,医者も,自治体も…
消費者は,自分の生活の中から,自分個人を見てくれるところに優先的にお金を使うようになった。
ただそれだけのことなんで。
よく…昔の俳優やアイドル,歌手と比較して…今の“会いに行けるアイドル”を下にみる風潮があるけれど…もうちょっと勉強した方がいい。時代の変化だってことを。
昔の芸能人が,仮に…今の時代に居たとしたら,当時の“マスを対象にした戦略”のまま売れるかどうかはわからない。仮に…乃木坂46やAKB48のメンバが,昔にいたら…当時のアイドルを駆逐しているかもしれない。
そもそも…環境が全然違う“昔と今を比べること”に何の意味も無いのにな(笑)。
//まとめ//
そういう意味でも…昨日の永島聖羅さんのトークイベントは,彼女の魅力に翻弄される一方で,冷静に…その戦略に感心しながら,場を見て効果を見ていたけれど…本当に勉強になった1時間半だ。
僕の仕事にも役立つ良いヒントがたくさんあった。
こんな楽しいマーケティングの勉強…他にあり得ない。
企画してくれたホリプロの人と永島聖羅さんには,本当に感謝しかない。
で,ここからは想像。
採算度外視だったこと,永島聖羅さんが自身のブログにも書いているけど…本当に楽しそうにしてくれていたこと,その場でかけてくれた言葉,リスクが大きいこと…総合的に判断したら,永島聖羅さんが企画してくれたんじゃないかな。そしてスタッフを説得してくれて実現した。まぁ…スタッフ起案だったとしても,それに飛びついてくれたのは間違いない。
それも含めて,全力でやってくれた永島聖羅さん。
こういう人にこそ夢を掴んでほしい。本当に良い人なので。