11月に入り,日経平均株価が25年ぶりの高値を付け,バブル崩壊後の戻り高値を更新したみたい。

 

終値だと11月7日の22,937.60円

高値だと11月9日の23,382.15円…か。

 

景気が回復しているのは間違いないっていうのは同意だけど…

 

そもそも,そういう判断基準そのものに意味があるのだろうか。あらゆるもののニーズは常に変化しているわけで,その変化に対応できていれば業績好調になるし,その変化に合わそうとせず…旧態依然のままでいれば苦戦する…

 

ただそれだけの話だと思う。

 

とはいうものの…日経平均が上昇していることをもってして,景気が回復していると考えるのも理解できる。

 

けれど…その中で,大手企業と中小企業の格差が広がっていないかどうかという点については注意しないと…

 

 

//上場企業の調子がいいということ//

 

そもそも…中小企業にも還元されているのか?下請け企業等にも支払いを増やしたうえでの利益上昇なのか?仕入れや外注費を下げる圧力は聞いたことがあるけど…「来月から,20%アップで買うから,値上げしてね!」って…買う側から持ち掛けるっていう話を聞いたことが無い(笑)。

 

 

//働き方改革//

 

それに…労働基準法の改正が伸び伸びになっていて…来年度の通常国会だと言われている中,現行の労働基準法では,中小企業の場合,何も変わっていないところも少なくない。

 

1か月60時間を超える残業代の割増賃金が50%アップになるなど,平成22年の改正の多くが中小企業は猶予されているからだ。そうなると…中小企業の社員には一切の恩恵が無い可能性もある。

 

しかも上場企業の場合は…労働基準法の改正を待たずに「労働時間等見直しガイドライン」を参考にしながら,時短や年次有給休暇の計画的取得を先行導入しているところも少なくない。政府との付き合いもあるし,人材確保的な視点もあるし,何より後述するように削減しやすいし…。

 

結果,大手企業は,どんどん「働き方改革」が進んでいく。

 

 

//マネジメントの仕事は削減しやすい//

 

大手企業の働き方改革が進むにつれ,そのしわ寄せがどこに来るのか?ITエンジニアならすぐわかるよね。

 

大手企業,すなわち元請けのシステム開発プロジェクトは,ディレクションやマネジメントが仕事になる。で,そういう仕事は削減しやすい。

 

“全てが無駄だった”とまでは言わないが…本当に必要か?を考えれば,そうでもない作業が最も多いのも事実だ。実作業と比較するとなおさらだ。

 

僕の本で資格取得に励んでいる人にはいないと思うけど,世の中には…中抜きできない,会計上問題になる等で,実態としては“丸投げ”なのに,無理やりマネジメントに入ってくる元請けのプロジェクトマネージャも,まだまだ多い。

 

「後は任せた。お願い!」って…

 

下請け企業のITエンジニアだったら,何人か顔が浮かぶだろう(笑)。

 

僕も…「なんで,いつもいるんだ?しかも何人も!」って,大きなプロジェクトになると,人数も増える。何も発言しないのに(笑)。監視役かい!って突っ込みたくなる。

 

 

//しわ寄せは…//

 

早く,ロボットやAIが仕事できるようになってくれないと,そのしわ寄せは…汗かいて実作業をしている下請け企業の従業員にくる。働き方改革という名のもとに“もっと速く!”,“もっと速く”とせっつかれる。“速くできないなら,無駄口叩くな”と,“会社に居る間は集中!集中!アウトプットだけを考えて!”って追い詰められる。

 

仕事…これで楽しくなるのか?

 

プライベートとのギャップが,ますます仕事嫌いになるんじゃないのかな?

 

余裕や遊びが無いと,いい仕事にはたどり着かない。

 

かくして格差は…精神的な格差も含めて,さらに広がっていく。

 

まぁ…グローバルにみたら,これまでもずっとそうだったんで,それが国内で起こるだけの話と言えばそれまでだけど。

 

 

これを脱却するには,中小企業経営者のハンドリング次第だな。

 

2017年6月5日の日経ITproの記事「中堅中小SIerの逆襲が始まる」のようにするのも一つの選択だと思う。

 

これと同様,個人でも…力を付けて逆襲を始める必要があると思う。それが本当の働き方改革だと思う。

 

で,下請けの逆襲が始まった時,元請け企業の社員の真価が問われることになる。予防の観点も含めて。そういう意味で,元請け企業が行うプロジェクトマネジメントも難しくなる。

 

リーダーシップの取り方が変わってくるもんな。

 

政府や企業の推進する“働き方改革”が“働かせ方改革”というのは間違いない。後は,そういう環境変化の元…自分がどう変わるか?自分自身の労働に対する意識をどう変えていくか?そこが重要になってくるんだと思う。元請けも下請けも。

 

 

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