夕焼け小焼け。

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もう先月のことになる。

子供達と桜島の見える公園に出かけた。
子供達と言っても５人全員じゃない。
出かけたのは小学生チームと母ちゃんだけ。

パパはお仕事で、中学生チームはテストだった。

久しぶりにやってきたこの公園。
懐かしい記憶を手繰り寄せる。

何年前だったろうか。
暑い夏の日に、家族７人でやってきたっけ。

前に家族みんなで写真を撮った場所に
足が向いていた。

「はーい！ポーズ！」

カシャっ。

カメラを向けると、
ミーたんも、セーマンも、コーマルも
満面の笑みだった。

アタシはすっと自分の心が明るくなるのを感じた。

カメラを覗いた時、
自分の心の中に、
ほんの少し寂しさを見つけていたから。

「ママ〜！ほら！こっちはもっと桜島が綺麗だよー！」

本当だねー！

綺麗だねー！

お姉ちゃん、お兄ちゃんに見せたいねー。

そう言いながら、駈け出すアイツ達を追いかけた。

大きくなったなー。

みーたんも、実にお姉ちゃんになった。

威勢良く弟達をリードしている姿が頼もしい。

姉と兄の不在は、
次女みーたんの背中をより大きく見せた。

「気をつけるんだよーーー！」

少し張ったアタシの声は、
瞬く間に秋の空に散っていく。

「ママー！早く〜！」
子供達の声がする方へ、
懸命にその背中を追いかけた。

ふと胸の奥がキュンとする。

かつて同じ場所で、
同じ言葉をやりとりしたような気がした。

みーたんがまだ幼稚園の時、
セーマンはベビーカーに乗って、
コーマルは背中におんぶして
そして長女カンちゃん、長男タイ兄を連れて、
この公園に、どんぐりを探しによく来たっけ。

あの頃のミーたんは、まだまだ小さくて、
カンちゃんとタイ兄の後を
ついていくので必死だった。

そしてアタシも
５人の子供達を一人で見守ることへの緊張感で
いっぱいだった気がする。

アタシは子供達から目を離すまいと必死だった。

あの頃、長女カンちゃんと長男タイ兄に
急かされていた母の姿は、
次女ミーたんと次男セーマンに急かされる
まさに、今のアタシの姿に重なった。

ただ、大きく変わったことがある。
今のアタシの目の前に、ベビーカーはない。
今のアタシの背中には、泣く赤子もいない。

目の前にいるのは、
自分よりもずっとずっと高いアスレチックを
臆することなく、よじ登るアイツ達の姿。

ついこの前まで、赤ちゃんだったのに。
ついこの前まで、高いところを怖がっていたのに。

そんな姿を姉貴と兄貴が優しくリードしてくれたり、
からかったり、そんな兄弟５人のやりとりを
すぐ傍で眺めていたのに。

「ママーーー！
今日は連れてきてくれてありがとうございます！」

澄んだ空気は、アイツ達の喜びをより鮮明に映し出す。

夕焼け小焼けで日が暮れて。

我が子から
目を離さないように必死だった母は、
いつしか、
アイツ達の声、表情、そして共に過ごした時間全ての瞬間を
自らの目に焼き付けようと必死になっていた。

子育ては一瞬。
己育ては一生。

神様に与えて頂いた最高の時間に、
感謝を込めて。