アイツは作文が超がつくほど、苦手だ。
作文の宿題になると、塞ぎ込み、時間だけが過ぎていく、
そんなことは日常茶飯事だった。
アイツが小学生の頃。
作文の宿題を前に、
何をどのように書けばいいのかわからないというアイツと二人で
一日中お見合いしてたことが、懐かしく思い出される。
中学生になったアイツ。作文への苦手意識は拭えない。
今更だが、ようやっと最近、誰に頼ることもなく、
自分の言葉で綴ることが出来るようになった。
夏休みも終盤。
アイツは夏休みの宿題である作文を、一気に書き上げていた。
作文苦手なアイツにしては、上出来だと思う。(親バカ万歳。)
夏休みの思い出を、
アイツの作文とともに振り返ることをしてみようと思う。
当時のアイツの気持ちが伝わってくるこの作文を、
家族みんなの思い出として、残しておきたいと思った母ちゃんの想い。
長くなりますが、もしよければお付き合い頂ければ幸いです。
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弁論大会当日。
私は緊張をおさえることに精一杯だった。
しかもプログラムはまさかの1番。
さらに心拍数が上がる。そしてそれとともに不安が募る。
「それでは弁論に入ります。プログラム1番、弁題は「Let's try!」です。」
ついにアナウンスが流れた。
私にとっては始まりのゴングが鳴り響いたようなものだ。
一瞬、ドキッとなったが、控え室にいた私は他の弁士に見送られながら
演台へと歩いた。
目の前には300人ほどの観客がいる。私はとても圧倒された。
そしてその中には何人かの審査員がいて、私はその審査員の真剣なまなざしに、睨まれているように思えてならなかった。
「弁論大会に出てみない?」
中学校の生徒弁論大会に出させてもらうことになったのは、
国語科の先生からのこのお誘いの言葉がきっかけだった。
「出たいです!」
せっかくだからやってみよう、いや、やってみたいという気持ちで、
即座に答えた。
「じゃあ、原稿も書かないといけないから、今日じゃなくていいけど職員室に来てね。」
その日は7月に入ったばかりの頃で、期末テストが終わった直後。
弁論大会までは3週間ほどあった。
「先生、原稿を書きに来ました。」
弁論大会の原稿を書こうと職員室へ行った時には、
もうすでに大会当日まで2週間を切っていた。
私は作文を書くことが苦手だったので、まず伝えたい内容を箇条書きでまとめて、それをもとに文章を作った。
ある程度原稿ができると、それからは、ずっと覚えることに必死だった。
そうこうするうちに、夏休みに入り、弁論大会まであと数日となった。
ここまでくると時間との勝負。
私は夏休みの宿題をそっちのけで、とにかく弁論大会の練習に打ち込んだ。
そして原稿もより聞きやすく、違和感のない文章にするために
兄弟や両親に読んでもらうなどした。
また、家族が集まる夕食の後には、弁論を聞いてもらって
いろいろなアドバイスをもらった。
弁論大会の前日と当日は、
先生方や友達にも励まされ、助けてもらいながら、
文章を推敲したり、弁論の仕方を工夫したりした。
この時、周りの人は、皆どこかで支えてくれているなと思い、
そう思っただけでもエンジンが入った気がした。
大会当日にも、家族を始め、先生や先輩方が応援に来てくださった。
そうやってたくさんの人に見守ってもらいながら、
私は弁論を無事に終了した。
だが、やはり人前で発表することに対し、もちろん緊張もしたし、
不安にもなった。
そのためか、弁論中に声が裏返ったこともあった。
でも次第にその場の空気に馴染めてきて、
たった3分30秒と決められた少ない時間も長く感じたが、
楽しんですることができた。
私が今回発表した弁論は、諦めずに挑戦することの大切さや
挑戦することは楽しいことだという伝えるというのが、
私の中でのテーマだった。
弁論には、失敗しても何度も試験に挑戦した末、アメリカに行くことができたという体験を盛り込んだ。
弁題は「みなさんも何かに挑戦してみましょう!」と
楽しく誘いかけることを英語で表現するにはこれしかない、と思い、
決めたものだ。
「みなさん!何か新しいことに挑戦してみませんか?」
「やらずに後悔するよりも、やって後悔する方がいいと私は思います!」など、会場のみなさんに訴えかけた。
たくさんの人に応援してもらっているんだという感謝の気持ちを持つと、
せっかくだから、賞に入って恩を少しでも返したいと思った。
でも、悔いは残っていない。
なぜなら、全力で挑むことができたからだ。
(完)
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題名はまだ決まっていないという長女カンちゃんの作文。
作文として不完全な部分は多々あるけれど、
岡本家の大切な1ページとして、ありのままを、ここに綴らせてもらった。
知る由もなかったアイツの心の中を、
垣間見ることができたこの作文は、
今この瞬間を生きる家族の、かけがえのない記憶にちがいない。
親バカかもしれない。
「やりきった」と言い切るアイツを、
アタシは「よくやった」とギュッと抱きしめた。
もしかしたら、作文は心の満足度なのかもしれない。
作文の宿題になると、塞ぎ込み、時間だけが過ぎていく、
そんなことは日常茶飯事だった。
アイツが小学生の頃。
作文の宿題を前に、
何をどのように書けばいいのかわからないというアイツと二人で
一日中お見合いしてたことが、懐かしく思い出される。
中学生になったアイツ。作文への苦手意識は拭えない。
今更だが、ようやっと最近、誰に頼ることもなく、
自分の言葉で綴ることが出来るようになった。
夏休みも終盤。
アイツは夏休みの宿題である作文を、一気に書き上げていた。
作文苦手なアイツにしては、上出来だと思う。(親バカ万歳。)
夏休みの思い出を、
アイツの作文とともに振り返ることをしてみようと思う。
当時のアイツの気持ちが伝わってくるこの作文を、
家族みんなの思い出として、残しておきたいと思った母ちゃんの想い。
長くなりますが、もしよければお付き合い頂ければ幸いです。
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弁論大会当日。
私は緊張をおさえることに精一杯だった。
しかもプログラムはまさかの1番。
さらに心拍数が上がる。そしてそれとともに不安が募る。
「それでは弁論に入ります。プログラム1番、弁題は「Let's try!」です。」
ついにアナウンスが流れた。
私にとっては始まりのゴングが鳴り響いたようなものだ。
一瞬、ドキッとなったが、控え室にいた私は他の弁士に見送られながら
演台へと歩いた。
目の前には300人ほどの観客がいる。私はとても圧倒された。
そしてその中には何人かの審査員がいて、私はその審査員の真剣なまなざしに、睨まれているように思えてならなかった。
「弁論大会に出てみない?」
中学校の生徒弁論大会に出させてもらうことになったのは、
国語科の先生からのこのお誘いの言葉がきっかけだった。
「出たいです!」
せっかくだからやってみよう、いや、やってみたいという気持ちで、
即座に答えた。
「じゃあ、原稿も書かないといけないから、今日じゃなくていいけど職員室に来てね。」
その日は7月に入ったばかりの頃で、期末テストが終わった直後。
弁論大会までは3週間ほどあった。
「先生、原稿を書きに来ました。」
弁論大会の原稿を書こうと職員室へ行った時には、
もうすでに大会当日まで2週間を切っていた。
私は作文を書くことが苦手だったので、まず伝えたい内容を箇条書きでまとめて、それをもとに文章を作った。
ある程度原稿ができると、それからは、ずっと覚えることに必死だった。
そうこうするうちに、夏休みに入り、弁論大会まであと数日となった。
ここまでくると時間との勝負。
私は夏休みの宿題をそっちのけで、とにかく弁論大会の練習に打ち込んだ。
そして原稿もより聞きやすく、違和感のない文章にするために
兄弟や両親に読んでもらうなどした。
また、家族が集まる夕食の後には、弁論を聞いてもらって
いろいろなアドバイスをもらった。
弁論大会の前日と当日は、
先生方や友達にも励まされ、助けてもらいながら、
文章を推敲したり、弁論の仕方を工夫したりした。
この時、周りの人は、皆どこかで支えてくれているなと思い、
そう思っただけでもエンジンが入った気がした。
大会当日にも、家族を始め、先生や先輩方が応援に来てくださった。
そうやってたくさんの人に見守ってもらいながら、
私は弁論を無事に終了した。
だが、やはり人前で発表することに対し、もちろん緊張もしたし、
不安にもなった。
そのためか、弁論中に声が裏返ったこともあった。
でも次第にその場の空気に馴染めてきて、
たった3分30秒と決められた少ない時間も長く感じたが、
楽しんですることができた。
私が今回発表した弁論は、諦めずに挑戦することの大切さや
挑戦することは楽しいことだという伝えるというのが、
私の中でのテーマだった。
弁論には、失敗しても何度も試験に挑戦した末、アメリカに行くことができたという体験を盛り込んだ。
弁題は「みなさんも何かに挑戦してみましょう!」と
楽しく誘いかけることを英語で表現するにはこれしかない、と思い、
決めたものだ。
「みなさん!何か新しいことに挑戦してみませんか?」
「やらずに後悔するよりも、やって後悔する方がいいと私は思います!」など、会場のみなさんに訴えかけた。
たくさんの人に応援してもらっているんだという感謝の気持ちを持つと、
せっかくだから、賞に入って恩を少しでも返したいと思った。
なぜなら、全力で挑むことができたからだ。
(完)
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題名はまだ決まっていないという長女カンちゃんの作文。
作文として不完全な部分は多々あるけれど、
岡本家の大切な1ページとして、ありのままを、ここに綴らせてもらった。
知る由もなかったアイツの心の中を、
垣間見ることができたこの作文は、
今この瞬間を生きる家族の、かけがえのない記憶にちがいない。
親バカかもしれない。
「やりきった」と言い切るアイツを、
アタシは「よくやった」とギュッと抱きしめた。
もしかしたら、作文は心の満足度なのかもしれない。