初めての中学校の運動会。

親の関わりがグッと減る。
そんな気がした。

お手伝いしたことといえば、運動会終了後の体育館の清掃活動くらいのものだ。
テントの撤収も、グラウンドの整理も、全て生徒たちがやっていた。


連日応援団の練習に明け暮れた長女カンちゃん。

いつものように、いや、いつもより1時間も早く学校に出かけた。
応援団の朝練。午前6時半学校集合。



応援団員の意思で集まる。
ぜーんぶ、自分達で。もう大人と変わらない。

ずいぶんと大きくなったもんだ。

こんなに小さかったのに。

部活動紹介。

最近は生徒達も忙しい。
部活動所属率は約半分の割合だという。

アイツは中学校に入り、剣道を始めた。
防具を身につけるのにもだいぶ慣れてきた。



妹弟達は
幼稚園や小学校とは全く別の世界に
目を輝かせていた。
「カン姉ちゃーーーーん!」
特に妹みーたんはそばを離れなかった。


背丈もだいぶ母に迫ってきた。

こんなに小さかったのに。


応援合戦。
力の限りを尽くして、声を出した。

小学校の時とは比べ物にならないくらい、
キレのある動きに、驚いた。

カンちゃんの男っぷりに、感動した。



いつの間にこんなに、こんなに成長したんだろう。

自分の手を
確実に、着実に離れ始めているということを感じずにはいられなかった。


少し前まで、こんなに小さかったのに。




運動会が終わり帰宅したアイツは
「きょうは応援来てくれてありがとうございましたーー!」

そう言ってもう気持ちは次のステージへと向かっていた。

「よし!これからタスキを作らなきゃ!
美術部がポスターを作ってくれてるんだ!」

そういって、帰宅早々、小さな書道家となった。



姉がやること為す事、弟妹達はいつだって興味津々で覗き込む。

「カン姉ちゃん!なにやっているの?」

「生徒会のタスキを作ってるの!どう?バランス取れてる?」


姉は弟達に確認しながら、筆を進めた。



「いい感じ!いい感じ!」弟達からのエールが飛ぶ。

緊張からの解放なのか、
一筆一筆、運び終える度に、ため息が漏れる。

「っふーーーーー。」




「生徒会に加わりたいんだ!!学校を盛り上げたいって思う!」


憧れに似た生徒会への思いをタスキに託し、
自分の名前を丁寧に書き上げていく。


「よし!演説内容を考えなくっちゃ!」

そう言って作文用紙に向かった。

「カン姉ちゃん!まずは応援合戦みたいに踊ったら?
そしたら、名前だけでも覚えてもらえるかもよ!!!」

長男タイ兄も、必死に考える。

そんな兄弟のやり取りは、聞いているだけで楽しくなる。

言葉を話すこともままならなかった頃が懐かしい。

たどたどしく話していた頃は遠い昔。

嗚呼。こんなに小さかったのに。


忘れたくない思い出も、
時とともに、思い出す事が難しくなる。

それがきっと時が経つ、ということ。


「お弁当美味しかったー!」と何度も言ってくれたアイツ。


アイツの忘れられない思い出のひとつとして
「おふくろ弁当の味」が息づいてくれたら、
こんなに幸せなことはないわ。と嬉しく思った母ちゃんです。



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