私には、二人の祖母がいます。

夫の祖母と私の祖母。


二人とも大正8年に生まれ、今年92歳になります。


祖父は、愛する妻を我が子らに託し、一足先にご先祖様の待つ天に飛び立ちました。


とても仲のよかった祖父母たち。


言葉がなくとも、心を通わせ、足並みそろえ、ともに時を刻んでおりました。


長野で天命を全うした、夫の祖父。
多くを語らずとも、いつも笑顔で、愛にあふれた人でした。


戦後間もない頃、夫婦ともに力をあわせ、幸せを築きあげた場所で、祖母は今、夫との思い出を抱きながら、静かに暮らしています。



鹿児島の地に眠る祖父には、
私は小さい頃からよく遊んでもらいました。


お酒が大好きだった祖父。


どんなに酔っぱらっていても、

寝る前に日記を書くことを忘れない、祖父。


本を読むのが何より大好きだった祖父。


入院中も、枕元には常に、辞書のような分厚い本が、無造作に置かれていたものです。



そんな祖父がまだ元気だった頃、
「母ちゃんをイギリスに連れて行きたいんだが・・・」と母に相談してきたのは、金婚式を迎えた年の春のこと・・・。

もう15年も前のことです。

決してお金に余裕があるわけでもないのに、祖父はコツコツと長いサラリーマン生活で貯めたヘソクリを元手に、
旅行の手配を頼まれた母。

そういえば、学生時代、船でイギリスに渡ったことがあるという祖父は、孫の顔をみる度に、思い出話に花を咲かせ、話の最後には、
いつも、流ちょうと言うにはほど遠い英語で「グッバイ!ヤスヨ!!」と口にしていたことが、ついこの前のことのように思い出されます。

祖父があこがれ続けたイギリス。その町並みを、生きている間に、妻に見せてあげたい。

祖父の、祖母への感謝の気持ちが形になった「ヨーロッパ旅行」には、祖父母とエスコートするという名目で、娘である母と、当時大学3年だった孫の私も同行しました。


祖父母と過ごす、1週間。
異国の地でのその時間は、
とても濃厚で、想像以上に充実したものでした。

いつも昔のことを楽しそうに、
そして、少し得意げに話をしていた祖父も、その時ばかりは、大学2年になった孫娘の後ろを、時に嬉しそうに、時に不安そうに、付いてきたものです。。。


ともに時を刻んだ祖母は、今、娘である母と心穏やかに暮らしています。


祖母と我が子がふれあう姿を見るにつけ、この命、時代を越えて、受け継がれた命だということを感じます。

ご先祖が築き、継承してくださった命を、私は、大事に育み、慈しんでいかねばならぬと改めて思うのです。

目の前の祖母のおかげで、そしてその先に眠るご先祖様のおかげで、今、生かされているのだということを。


おじいちゃん、おばあちゃん、
いつもありがとうございます。
いつまでもお元気でいてくださいね。

2011年
敬老の日に。
感謝を込めて。。。。


きょうも最後までご精読、ありがとうございました!