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 僕の住んでる市では、夏休みの工作の“優秀作品”がなんと1月にやっと一般展示される。それぞれ校内審査に通った作品であり、さらにその中でも優秀なものには赤札が貼ってある。
 僕はあまり興味がないのだが、うちの奥さんは、毎年1月にはこの作品展を見に行く。いい作品を見て今後の息子の作品のイメージづくりをするためと、すでに来年の夏休みのためにうちの子が始めている研究と同じテーマがないか調べるためである。

 これは、ある年の出来事、市の作品展に奥さんに無理やり連れて行かれびっくりしたこと。


 うちの息子と同テーマやそれに似た研究はなかったのでその点はよかったのだが、びっくりしたのは「モノマネ作品」の多さ、そして、それに気づかず賞に入れてしまっている数の多さだった。

 昔、うちの子が幼稚園の時に、奥さんが図書館の工作本を借りてきて、遊びで子供と一緒に「バリバリ機関銃」なるものをペットボトルで作ったことがあった。それとおなじ物を、うちの子の学校の4年生が作っており(ネーミングまで一緒!)、校内審査で通過し代表出展されていたのだ。

 それを目にした途端、まずうちの学校の選考教員の眼力を疑ってしまった。そして、そのあと、つい批判的な目で他の学校の工作作品も見始めてしまった。

 

 するとあるわあるわ、その工作本と同じものが、2点、3点・・・どんどん見つかった。なんと、同じ作品が隣同士の学校で展示されているものまであった

 そして最も驚いたのは、隣同士で展示されていたその一方が、あろうことか<最優秀>に選ばれ、その学校代表作品として特別コーナーに飾られていたこと。つまり、校内選考のいい加減さどころか、市内選考の段階ですら吟味もされず、市側は、ただ学校側が選んだものに金の札を貼っているだけの作品展だっていうことが露呈したのだった。

 

 たしかに、夏休み明けの忙しい時期の、工作・研究の審査は、教員にとってとてもたいへんである。同時に各校の選考教員から選ばれた代表は、さらに他校の作品をも見て採点しなければならない。もしまじめにその役をこなそうと思ったら、市販の本を買って目を通したりネットを見たりして、常に眼を肥えさせておかなければならない。しかし、実際そんな時間はないし、市教委側もそんなことは考えてもいないだろう。つまりは、みんな、ただの例年行事として惰性で行っているのだ。

 ということで、今のままでははっきり言って「夏休みの創意工夫課題」として意味がない。対策は2つある。

 一つは、スパッとこの課題をやめてしまうこと。実際、今の子どもたちは昔と違っていろいろ忙しい。夏休みを工作で縛り付けなくてもいいのではないかな。

 もう一つは、続けるなら、選考する教員自身の眼力を育てること。小学生の親は、少なからず子供と共に、研究・作品に取り組んでいる。その多くが、まず頼りにするのは図書館の本やインターネット。熱心な親は眼も肥えている。それこそ教員よりもずっと


 僕ら教員の「常識の枠」を広げないと、親は、世間は、ついてこない・・・。

  (※でも、今年はコロナでこの課題はないかな?)