僕は、20代の時、バンコク日本人学校に3年間派遣されたってのは、みなさんも知ってること。
現在、バンコク日本人学校は、僕のいたときの4倍、2600人の世界一大きな日本人学校になっており、周囲もずいぶん開拓されました。しかし当時は・・・。
今回は、僕の経験の中でも、異質な、夢のようなお話です。
◆ ◆ ◆
いつものことながら、夜11時頃、仕事をしに再び学校へ向かう途中だった僕は、学校の
100m手前で太い丸太を発見した。
けしからんことに道路をふさいで横たえてある。
日本人学校はバンコク市内であるが、長い路地の奥にあるため気づかれずにほかってあったのだろう。
左の家の垣根から右の草むらまで5m以上もありそうなのでどけることもできず降りるのも面倒なので、車でそのまま乗り越えることにした。
それでも直径15cmはあろうかという太さである。普通では越えられない。
僕は少しバックして、そして突進した。
と、乗り上げる瞬間、丸太が少し動いたような気がした。
「あれっ?」
しかしそう思ったときはすでに乗り越えたあとだった。
そのまま行こうと思いつつも、何となく気になりバックミラーで丸太を確認した。
すると、なんと、その丸太がじょじょに細くなっていくではないか!
ま、まさか‥‥。
恐いもの見たさで少しバックしてみた。
‥‥‥それはやはり“大蛇”であった。
それは、ゆっくりと移動を始めていた。
蛇のしっぽはまだ見えない。かなりの長さである。
危険を感じた僕は、すぐに窓を閉めた。
車でひかれたのを怒って、いつ草むらからその顔が現れるかわからないからだ。
とにかく動けなかった。
やがてその蛇は、学校をとりまく背丈ほどの草むらの中へと消えていった。
今思い出してもなにか夢の中の出来事のような気がする。
それほど現実ばなれした体験だった。
あの大蛇は、今でも学校のすぐ近くでうごめいているのだろうか…。