それでも男たちは前に進むのである。

 

今朝も4:30起床。

窓の外は暗いはずなのに何となく明るい、だって一面の銀世界だからね♪

 

初日にあまりにも天気予報が悪かったので、水道局の人に素朴な質問をしてみました。

我々

『大雪だった場合、ここまで来るのも不可能だし掘る場所見えなくなったりしませんか?その場合はどっかで待機とかですか?』

局の人

『今回の出動に天候は一切関係無いんですよ~』

 

え?

いやあるだろ普通…

生身の人間だよ、おれたち。

 

と言う事で、何が降ろうと状況は開始されるわけです。

 

夕べ見た天気予報。

雪だるまにカミナリ⚡マーク着いちゃってます。

あきらでもないのに100%です。

 

仕方がないので今日もせっせと握り、皆よりモタモタして6:30出発。

 

荷台には満載の道具を積んだトラックが、アイスバーンの上に降り積もるベタ雪の路上を突き進みます。

 

 

滑るに決まってるじゃないか~。

それでも犬みたいに尻を振りながら驀進。

 

この災害派遣のために2台のトラックのスタットレスを購入しました。

しめて60万円位。

 

高いな~ アホくさいな~

なんて思ってましたが、さすが新品。

 

よく曲がりよく止まりよく滑る。

 

高いと思った購入費用は、実は我々の命の代価なのです。

 

比較的南の七尾市の国道は対降雪設備のスプリンクラーがどこかの噴水の様に噴き出していて、道路には全く雪がありません。

 

 

さすが国道。

 

しかし北に進むにつれ、そんな高級なものは無くなり

又はあっても機能していなく、路面はカリカリになります。

 

そもそも人間が使う水が出ないから直しに来ているのであって、そんなもんあるわけが無いのですね。

そりゃそうだ。

 

被災地である輪島市に向かうには峠を越えなければならず、そこが当然の事ながらヤバかったです。

 

 

道路の左手が川なのですが、そちらに地盤が引っ張られて道が斜めになっている所が多々ありまして、当然車体は雪で滑りそちら側に後輪が傾きます。

 

崖が崩れているので、ガードレールも崩落していてむき出しの奈落の底が見えちゃったりします。

 

当然、崖に向かい引っ張られる後輪を止めるわけにはいかない。

アクセルを離せば

ビビッてハンドルを右に切れば

 

前も後ろもずっと輪島に向かう車が詰まっているので、もはや完全に死のチキンレース状態…

 

前方からは電力会社の高所作業車が連なって、そして皆変な方向を向きながらこちらに突き進んで来たりもして、カオス。

 

 

『こんな時は慌てた奴から死ぬんだ!』

と自分に言い聞かせて、まずは一服と思い煙草を吸おうと

手が震えてグローの穴にタバコが入らない有様。

 

それでも男たちの車列は延々と輪島市内まで繋がり、誰も事故を起こすことなく集合地点に到着。

 

と、まだ仕事も何もしていないのに朝からハードボイルド過ぎる一日が始まるのです。

 

 

そもそも、宿に帰ってからこれを書こうとすると、食事の支度や風呂や報告書の作成やらで

寝る時間が無くなっちう。

 

そこで一計を案じ、コペルニクス的発想の転換。

夜書けなきゃ昼間書けば良いじゃん!

 

と思い、PCをトラックみ積み込み

一人でサボり

休憩時間にこれを書いちゃったりしています。

 

 

 

さて、今日の仕事も昨日の続き。

崩壊している裏路地の漏水修理です。

 

40cmくらい掘ると水が湧いてくるんだよな~

 

 

開始後間もなく、またもや被災されたお宅から差し入れを頂きました。

温かいコーヒーと肉まん。

 

『自分たちだけ炬燵に入って待つのが我慢できないんだよ、ありがとう!』

って言われました。

 

ありがたくご馳走になります。

 

気温は-3℃位で、豪雨の予報が豪雪。

豪雨が凍るので豪雪。

知らんかった。

 

普段なら絶対仕事しない環境。

 

温かさに美味しくて声が出ちゃった。

何でしょうねこれ、泣きたくなる感じ。

 

※この写真の時は降っていませんが、降っているときはあんまり写メを撮れないのです。だって濡れちゃうから。

 

とまれ説明は難しいので技術的な事は割愛しますが、

この一区画の漏水を全部直さないと通水できません。

 

だが流石に三日目、慣れたもので予定の修理を早々と完了し、いざ通水。

地表に水も出てこないし、OK♪

 

空も急に青空っぽいフリなんかしちゃって♪

 

二カ月ぶりに水道が使えた家主のお爺さんは、感動のあまり早口になり何を言ってるのか全く分からなかったのですが

すげー感謝されているのは良くわかります。

 

良かった。

 

落ち着きを取り戻したお爺さんは、目に涙を浮かべ

近所の親戚も風呂に入りに来ると言っていました。

 

割と裏路地なこの区画を何故優先して修理しているのかというと、ここには診療所があり、そこを第一に何とか稼働させたいとの事。

 

メーターを外して調査を終え待望の診療所も通水。

 

ちゃんと水出ちゃった♪

 

 

と、喜びを分かち合ったのも束の間、周辺のお宅では水が出ません。

 

地下で給水管が引っこ抜けているようですね。

つまりそれを全部直さないとダメなことが判明。

 

診療所も敷地内からバンバン水が噴き出し...

 

再び断水。

 

気が付けば夕刻。

つまり、この近隣7軒中、漏水していないのは2軒だけ。

 

現在の完成度 2軒/7軒

 

明日も掘りまくり、この数字を増やす事を誓い今日はおしまい。

 

今日の偽ドラ

 

 

終わりに簡単に輪島市内の状況を書いておきます。

 

 

倒壊家屋は現在ほぼそのまま。

道路に倒れっぱなしのお宅もそのまんまです。

 

先ずはインフラ復旧と仮設住宅の設置が優先なのでしょう。

 

ご自分のお宅を片付けている人はたくさんいます。

いずれ解体するために片付けをしています。

 

かける言葉もありません。

個人宅の写メは不謹慎なので撮れません。

 

市内は全国からの応援の人たちばかりです。

各地の警察官、自衛隊、電力会社、水道事業者、医療関係者、ボランティアの方々。

 

 

とんでもない災害でしたが、現在の能登はプラスのエントロピーで溢れています。

 

そして気になる各店舗の状況は..

 

コンビニは24時間では無いですがみんな普通にやってます。温かいコーヒーも買えちゃう。

 

ガソリンスタンド、ドラッグストア、食料品店もやっています。

 

税金を下げてほしい人もいます。

 

水だけはまだあまり出るところは少なく、殆どのトイレは使えません。

各所にある仮設トイレだけです。

 

民家の方々は雨水を貯めて使っているようです。

 

そして我らがホームセンター代表、鳥のマークがお馴染み

コメリ輪島店

 

天井ボードが全て崩落し、床も陳列棚も波打っていますが

根性と優しさでばっちり営業しています。

 

 

コインランドリも使えます。

 

我々としても、めちゃめちゃありがたい限り。

 

一仕事終えて待機中の同業者のみなさま。

 

 

今日ひな祭り?

日曜日?

 

何それ。