一本木透 「だから殺せなかった」


「おれは首都圏連続殺人事件の真犯人だ」大手新聞社の社会部記者の許に届いた一通の手紙。

送り主は犯人しか知り得ない凶行の様子を詳述したうえで、記者に対して紙上での公開討論を要求する。

殺人犯と記者の対話は、始まるや否や苛烈な報道の波に呑み込まれていく。

果たして、絶対の自信を持つ犯人の目的はーーー

劇場型犯罪と報道の行方を描出した第27回鮎川哲也賞優秀賞受賞作。