河原成美/原風景 城島町編(Vol1)
人はみな、心の中に故郷を持つ。
それは必ずしも、
「生まれた場所」、「育った場所」とは限らない。
いま暮らす土地、大好きな場所、逆に、二度と行きたくない場所だったりも。
でもとにかく
誰しも心の中に〝忘れえぬ地〟がある。
そしてそれは、時にその人の一生を
大きく左右するものだ。
河原成美にとってそれは、
幼少の時、10歳まで過ごした〝城島町〟に他ならない。
「でもね、ほんとう、何もない街ですよ。何もない……」
僕はその地を、彼と二人でたずねた。
もちろん彼――。河原成美という男を知るために。
「こんな小さな街だけどさ、子供の頃は、ここが自分にとっては、
世界のすべてだったからね」
肌を刺す冷たい風
人気のない路地裏
彼から聞いた通りの世界観がひろがる。
旅は始まった。
FIN