共通テストのリーディングをどう攻略するか?

 

私が伝えたい時間配分・AI活用・アウトプット学習 

 

 

今回は2025年の共通テスト英語を題材に、どのように英語学習を進めれば良いかを、私自身の経験と指導の現場で感じたことを交えながらお話しします。

 

私は長年、共通テストや英検などの試験対策に関わってきましたが、どの試験にも共通することがあります。それは「最初から全部を完璧にやろうとする必要はない」ということです。大事なのは時間配分を意識し、全体で得点を最大化することなんです。

もうひとつ、最近特に強調したいのは、AIの活用です。ChatGPTやGeminiのようなAIを使うことで、言い換え練習やエッセイの添削、リスニングの補助まで、効率よく学習を進められます。さらに、共通テストの問題は「アウトプットを意識した読解」が増えています。つまり、読むこと自体が目的ではなく、「プレゼンやエッセイを書くために読む」ことが求められているのです。

 

この3つ――時間配分、AI活用、アウトプット志向――を軸に、2025年の大問ごとに攻略法をお話ししていきます。

第1問:パンフレット問題 ― スキャニングで効率よく

最初の問題は水槽のデコレーションを選ぶパンフレット形式でした。一見「簡単そう」と思った人も多いでしょう。しかし実際には、素材の違いに悩んで時間をかけすぎてしまった人が多かったのではないでしょうか。

 

私がまず伝えたいのは、ここで10分以上かけてはいけないということです。目安は7分。7分経って解けなければ「保留」にして次へ進む。これが鉄則です。

 

解き方の流れはこうです。

  1. まず設問文を読み、キーワードを探す(例えば「glass」「plastic」「decoration」など)。

  2. 本文を最初から丁寧に読むのではなく、キーワードをスキャニングして該当箇所を素早く見つける

  3. 設問に直接関係ない段落は「斜め読み」、関係ある段落は「丁寧読み」。

つまり、読む濃淡をつけることです。共通テストは全部を精読する時間は与えられていません。必要な部分を探し、そこだけ深く読む。これが「スキャニング」の基本です。


第2問:ブログ問題 ― 事実と意見を見抜く力

第2問はブログを題材にして、事実と意見を区別する力を試してきました。

 

ここで迷いやすいのは「微妙な表現」です。

  • 「28枚の絵が展示されている」→ 事実

  • 「その絵は美しい」→ 意見

  • 「もっと多くの人が来るべきだ」→ 意見

こうした判断は日常の学習で鍛えられます。私は受験生に「普段から英語ニュースを読むときに、これは事実、これは記者の意見、と仕分けしなさい」と伝えています。

 

もう一つ大切なのはパラフレーズです。共通テストでは、設問の選択肢が本文の言葉をそのまま使っているとは限りません。言い換えられていることが多いです。

 

そこでAIの活用です。たとえば、英文をAIに入力して「この文を5通りに言い換えて」と依頼します。それを音声で読み上げてもらい、自分でシャドーイングする。この練習を続けると、自然に「別の言い方でも同じ意味だ」と気づけるようになります。


第3問:物語文 ― 時制と回想を整理する

第3問は物語的な文章で、出来事を時系列に並べ替える問題でした。ここで大切なのは時制の理解回想シーンなど、時系列で並んでいない部分の処理です。

 

英語では、過去完了(had+過去分詞)が出てきたら「過去より前」の出来事です。さらに、物語の途中で回想が始まることもあります。そういうときは頭の中で「いま何が起きていて、どの部分が過去の思い出なのか」を整理しなければなりません。

 

私は受験生に「多読・多聴」を強くすすめています。たとえば「オックスフォード・リーディング・ツリー」や「ラダーシリーズ」のような、やさしい英語で書かれた物語を大量に読む。音声を聞きながら読めば、頭の中で映像を思い浮かべる力が育ちます。物語問題でつまずく人は、この「イメージする力」が足りないことが多いのです。


第4問:ライティング下書き問題 ― 論理を読む力

 

第4問は新形式で、エッセイの下書きや教師のコメントを読み、接続詞や修正文を選ぶものでした。

ここで試されているのは論理の流れを見抜く力です。

  • 「However」が必要なときは逆接の関係

  • 「Therefore」が必要なときは因果関係

  • 「Moreover」が必要なときは追加の情報

こうした判断は、エッセイライティングを実際に書いてみると身につきます。私はよく「短いエッセイを書いてAIに添削させなさい」と言っています。AIは接続詞の選び方や文のつながりの不自然さを指摘してくれます。これを繰り返すと、自然に「論理の型」が体に入ってきます。


第5問:複数資料を読み比べる ― 情報整理の力

第5問では、表やスケジュール、メールなど複数の資料を使う問題が出ました。

 

大切なのは「最初に全体を俯瞰する」ことです。

  • この表はスケジュールを示している

  • このメールは依頼事項を書いている

  • この資料はテーマを整理している

こうして全体像をつかんでから設問を見ます。焦って細部から読み始めると迷路に入り込んでしまいます。英語教育の観点から言えば、これは単なる読解力ではなく情報処理能力を試しているのです。


第6問:物語の難所 ― 多聴で突破する

第6問は難所で、ここで時間を使い果たしてしまった受験生も多かったでしょう。

 

私のアドバイスは「設問を先に全部読む」ことです。何を探すのか分からないまま本文に入ると、余計なところまで読んでしまいます。

 

そして、普段の学習で最も効くのは多聴です。スマホで音声を流し、通学中や休憩時間に耳から英語を浴びる。内容を頭にイメージする練習を積み重ねておけば、この手の物語問題で強くなります。


第7問:プレゼン準備 ― 読解からアウトプットへ

第7問はプレゼンテーションを準備する問題でした。これは比較的解きやすかったと思います。なぜなら文章が論理的に構成されていたからです。

ここで意識すべきは「読解はアウトプットのためにある」ということです。私は授業でもよく「文章を読んだら、その内容を3分でプレゼンしてみなさい」と課題を出します。読むことと話すことをつなげる練習をすると、共通テストのような問題は自然に解けるようになります。


第8問:エッセイ準備 ― ステップ学習

最後の第8問は、エッセイを段階的に作る練習でした。

  • Step 1:複数の意見を読み取り要点を整理

  • Step 2:自分の立場を決め、理由を選ぶ

  • Step 3:アウトラインを作って段落構成を考える

普段からマインドマップを描き、自分の意見と理由・具体例を整理する練習をすると、この形式は非常にやりやすくなります。これは共通テストだけでなく、大学入試の自由英作文や英検のライティングにも直結します。

 

私がみなさんに伝えたいことは大きく3つです。

  1. 時間配分を徹底すること
    → 難しい問題に固執せず、時間が来たら飛ばす勇気を持ちましょう。

  2. 英語を英語で考える習慣を持つこと
    → AIを使って言い換えや要約を日常的に練習すると効果的です。

  3. アウトプットを意識した学習をすること
    → 読んだものを要約し、プレゼンやエッセイにまとめる練習をしましょう。

共通テスト英語は単なる読解力を試しているのではなく、英語を使って考え、まとめ、表現する力を試しています。だからこそ、試験勉強と将来の学びがしっかりつながるのです。


1日の学習スケジュール例(スキマ時間の活用)

最後に、みなさんが実践しやすい1日の学習例を紹介します。

  • 朝(20分):AIに英文を入力し「3通りに言い換えて」と依頼 → 音声で聞きながらシャドーイング

  • 昼(30分):学校や予備校で共通テスト型の問題演習 → 時間配分を意識して解く

  • 夕方(20分):間違えた問題を振り返り、「なぜ間違えたか」をメモにまとめる

  • 夜(30分):短いエッセイを書いてAIに添削させる → 修正してもう一度書き直す

  • 就寝前(15分):リーダー教材や物語音声を多聴 → 頭の中で映像をイメージ

このようにAI・問題演習・アウトプット・多聴を組み合わせると、効率よく力がつきます。

 

みなさんも今日からぜひ、時間配分を意識し、AIを味方にして、読んだことを自分の言葉で表現する学習に取り組んでみてください。

 

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