時代はAIとの協働学習へ
近年、ChatGPTをはじめとする「生成AI」の登場によって、英語学習の方法は大きく変化しています。かつては、単語帳を片手にノートにひたすら書き写したり、努力と根性で学ぶのが当たり前でした。しかし、今はそのすべてをAIが手伝ってくれる時代になりました。
生成AIは、文法・リーディング・リスニング・ライティング・スピーキングという英語の4技能に加えて、語彙の習得までも強力にサポートしてくれます。この記事では、それぞれの技能について、AIをどのように活用すればよいのか、実際の使い方を紹介しながら解説します。
リーディングは自分専用の教材をその場で作成
リーディング力を伸ばすには、「興味のあるテーマで、レベルに合った英文をたくさん読むこと」が大切です。しかし、市販の教材はレベルが合わなかったり、テーマが退屈だったりすることもあります。
生成AIなら、トピック、語数、難易度を指定するだけで、自分に合った英文が一瞬で生成されます。たとえば、「環境問題について300語の英文を、B1レベルで作ってください」と伝えるだけで、読むべき英文が完成します。
その英文に対して、「和訳してください」「文法を説明してください」「背景知識を教えてください」と追加で依頼すれば、1つの英文から深い学びが広がります。さらに、その英文に出てくる難しい単語をリスト化し、例文を作り、単語帳としても活用できます。
読解後には、「この英文に関する4択問題を作ってください」と依頼すれば、読解力チェックの問題も自動生成されます。新聞記事やスピーチの原稿を写真に撮って取り込めば、世界中の情報が自分の教材になります。
リスニングは「読む・聞く」を融合した新時代へ
これまでのリスニング教材は、CDなどに頼ることが多く、自分のレベルや興味にぴったり合う素材を探すのが大変でした。しかし今は、AIによって、自分専用のリスニング教材を自在に作成できるようになりました。
英文を作成したら、それを音声化することでオーディオ教材が完成します。音声生成には「音読さん」や「Amazon Polly」「Natural Reader」などが活用できます。読み上げスピードやアクセント(イギリス英語・アメリカ英語・インド英語など)も指定可能です。
また、「NotebookLM」を活用すれば、難しい英文を基に会話形式の音声を生成することもできます。ニュース記事を読み込ませれば、登場人物が記事内容について語り合うような対話が生成され、自然な会話の中で学習ができます。
旅行や観光の際には、「奈良の観光案内を英語で教えて」とAIに依頼し、それを音声化することで、現地情報を英語で聴くという実践的なリスニングにもつながります。
スピーキングはAIと対話しながら上達する
スピーキングは最も練習機会が少ないスキルの一つです。ChatGPTは、英語で話しかけると自然に返してくれるので、まるで会話相手がいるような感覚で練習ができます。
たとえば、「毎朝5分間、B2レベルで英会話練習をしたいので30日分のトピックをください」と依頼すれば、日替わりで使える話題が自動で生成されます。
TOEFLや英検などのスピーキングテスト対策にも使えます。問題をAIに作らせ、自分の回答を録音して送信すると、AIが採点・フィードバックしてくれます。「発音・文法・内容構成」の各観点から、どこを直せばよいかを具体的に教えてくれます。
スピーチ原稿の作成、言い換え、発音の評価まで、すべてAIが対応可能です。発音矯正については、「音読メーター」「Elsa Speak」などの専用アプリと組み合わせることで、より効果的な学習になります。
ライティングもAIの添削と指導で一気に上達
英作文が苦手な人にとって、生成AIは頼れる先生です。「このエッセイを添削してください」と依頼すると、間違いの指摘だけでなく、「どこがどう間違っているのか」「どうすればもっと自然になるのか」といったアドバイスまでくれます。
TOEFLやIELTSの基準に基づいた採点も可能で、段落構成や論理展開のチェックまで自動で行ってくれます。自分が書いた文章を表形式で分析してくれるので、「参考書のようなフィードバック」が手に入ります。
また、GPTs機能を使って、自分専用のライティングサポートツールを作っておけば、ワンクリックで文法チェックやナチュラル表現への変換ができるようになります。音声入力と組み合わせれば、話した内容がそのまま英作文として整えられるという応用も可能です。
語彙習得は「自分に必要な語」を深く・速く
語彙学習は、単語帳を丸暗記するよりも、「自分に必要な語」「興味のある語」を使って深く学ぶのが効果的です。生成AIを使えば、自分の仕事や趣味、苦手分野に合った語彙リストを簡単に作成できます。
たとえば、「看護の現場で使われる単語を200語」「宇宙について中学生向けの英単語を抽出して」といった指示も可能です。
さらに、それぞれの単語に対して、意味、発音記号、例文、同義語、反意語、練習問題なども作成できます。1語ごとに百科事典のように学べるため、「単語が覚えられない」という悩みを解決してくれます。
作成した語彙リストを使って、「どうやって勉強すればいいですか?」とAIに相談すれば、自分に合った学習プランまで提示してくれるのも大きなメリットです。
文法は「作って」「解いて」「説明してもらう」時代へ
英語学習の基礎となる文法。多くの学習者が「覚えるのが大変」「規則が複雑」と感じる分野でもあります。しかし、生成AIを使えば、こうした悩みも一気に解消できます。
たとえば、「関係代名詞の正誤問題を10問作ってください」とAIに依頼するだけで、すぐに問題が出力されます。CEFRレベルを指定して、「B1レベルで不定詞と仮定法を混ぜてください」といった指示も可能です。過去問をカメラで撮影し、それをもとに類題を作ってもらうこともできます。
また、構文が難しい英文に出会ったときは、その文章をAIに送り、「この構造を説明してください」と依頼すると、主語・動詞・修飾語・関係詞などを丁寧に分析してくれます。
さらに、文法を「楽しく覚える」工夫として、AIに「文法ソングを作ってください」と頼むと、関係代名詞や時制を使った楽しい歌詞とメロディが自動で生成されます。音楽と一緒に覚えることで、記憶の定着にも効果があります。
英語学習は「AIを使う力」で決まる時代に
これからの英語学習において、「どれだけAIをうまく使えるか」が上達の鍵になります。努力の量や時間ももちろん大切ですが、それ以上に「効率」と「継続性」を支えてくれるのが生成AIです。
ChatGPTをはじめとする生成AIは、英語学習者のよきパートナーです。教材作成から練習相手、フィードバック、モチベーションの維持まで、あらゆる場面でサポートしてくれます。
「難しいから使えない」のではなく、「使ってみるからこそ簡単になる」のです。あなたも今日から、生成AIと一緒に、自由で楽しい英語学習の旅を始めてみませんか。
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