映画『コカイン・ベア』を観ました。たまにはB級映画っていいなと思って、Netflixで配信されていたこの作品を選んだんですが、案の定というか、タイトルからしてもうB級感満載。クマがコカインを食べてラリって人を襲うという、設定からしてもうどうかしている物語です。

最初から「これは真面目に観る映画じゃないな」と分かっていたので、ソファに寝転んで、だらだらと流し観していました。ホラーなのかコメディなのかよくわからない、でもなんだか笑える。そんな不思議な映画でした。
驚いたのは、この話が実話をベースにしているという点です。1985年、アメリカで実際に起きた事件で、元警官の男が麻薬密輸の途中で飛行機から大量のコカインを森林に落とし、その後パラシュート事故で死亡。数ヶ月後にその森で、胃の中がコカインでパンパンのクマの死体が見つかったそうです。信じられない話ですが、事実なんだそうです。
この事件をもとに、とんでもなく脚色してできたのがこの映画です。もちろん、映画の中ではクマは死にません。むしろ人間たちを次々と襲っていきます。映画として何かを学べるかと聞かれれば、答えは「全く学ぶことはない」です。でも、そういう映画があってもいいと思うんです。何も考えずに、ただ画面を眺めて笑ったり呆れたりできる時間って、意外と貴重ですから。
名作と呼ばれる映画を観る時って、どうしても「ちゃんと観なきゃ」「感動しなきゃ」みたいな気持ちになりますよね。おすすめ100選に入っていたり、映画史に残るとか書かれていたりすると、自然と肩に力が入ってしまいます。でもこの『コカイン・ベア』には、そんな気負いはいっさい必要ありません。途中で寝ても、飛ばしても、全然問題ない映画です。「見るべき映画100選」に入る可能性は100%ありません。むしろ真剣に観ようとすると疲れてしまうかもしれません。
それでも、こういう映画がNetflixで配信されているのっていいなと思います。B級映画とはいえ、アメリカの文化や価値観が垣間見えるし、英語の勉強にもなる。そう思えば、何を観ても何かしら得るものはあるのかもしれません。
ちなみに、この映画には印象的なセリフもいくつか登場します。以下に、特に記憶に残った5つのセリフを、日本語訳と簡単な説明付きで紹介します。
“A bear did cocaine!”
「クマがコカインをやったんだ!」
映画を象徴するセリフで、登場人物が信じられない状況に直面して叫ぶ一言です。
“Millions of dollars worth of cocaine fell from the sky this morning in Knoxville, Tennessee.”
「今朝、テネシー州ノックスビルに何百万ドル分ものコカインが空から降ってきたんだ。」
物語の始まりを説明する、事件の発端となるニュース的なセリフです。
“The forest is a dangerous place.”
「森は危険な場所だよ。」
クマの暴走が始まる直前に、森の異常な雰囲気を表現するセリフです。
“Don’t eat that!”
「それを食べるな!」
クマがコカインに近づいたときに、慌てて止めようとする場面のセリフです。
“Let’s see what kind of effect that has on it.”
「それがどんな影響を与えるか、見てみよう。」
好奇心からか、クマにコカインがどう作用するか見届けようとする無責任な発言です。
こういうセリフで英語を覚えるのも、意外とアリかもしれません。日常ではまず聞かない内容ですが、印象が強いぶん記憶にも残りやすいです。
というわけで、『コカイン・ベア』は完全なるB級中のB級映画です。感動も教訓もない、悪趣味でグロい。全く無意味な時間が過ぎていく。でも観たらちょっと気持ちがゆるむ、そんな作品でした。何も考えたくない日に、なんとなく再生して、なんとなく楽しめる。そんな一本として、観てみてもいいかもしれません。脳がリセットできる!かも!
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