今回のインタビューは、高校英文法学習における効果的な勉強法について、文英堂から出版された『高校英文法パターンドリル』の著者である杉山一志先生にお話を伺いました。インタビューワーは、安河内哲也です。杉山先生は、「英文法を理解することと反復練習すること」の2つの軸を重要視しており、その考え方をどのように実践すればよいか、具体的な方法について詳しく語っていただきました。


英文法学習の重要性

Y:今回は杉山一志先生に、高校生のための英文法の勉強法についてお伺いしたいと思います。杉山先生は『高校英文法パターンドリル』という本を文英堂から出版されています。この本についてもそうですが、そもそも英文法の勉強はどのように進めたらよいのでしょうか?

S:英文法は結論として、非常に便利なものだと思います。よく「英文法をやるから日本人は英語が喋れない」という意見もありますが、実際には多くの生徒にとって、英文法は英語学習の入り口として役立ちます。

特に「英文法を理解すること」と「英文法を反復練習すること」という2つの軸は忘れてはいけません。理解しただけでなく、何度も繰り返し練習することで、文法が自然と使えるようになるのです。


パターンドリルの目的と内容

Y:杉山先生の本は「ドリル」と名付けられていますが、その理由は何ですか?

S:その名の通り、反復練習が大事だからです。練習を通じて、文法を意識せずに使えるようにすることを目的としています。

Y:この本の例文は、日常的に使える英文が多いですよね。英文法というと難しい助動詞や細かい区別が思い浮かびますが、基礎的な部分だけでも良いのでしょうか?

S:はい、基礎で十分です。英文法の学習にはさまざまな切り口がありますが、多くの生徒が目指すのは大学受験や英検です。そのためには、難解な文法ではなく、基礎トレーニングが重要です。スポーツにおける基礎体力と同じように、英語でも基礎力が求められます。


英文法は基礎からしっかりと

Y:英検や共通テストには、直接的な文法問題は出ないこともありますが、それでも英文法が必要なのはなぜですか?

S:英検や共通テストには要約問題や英作文が出ます。そうした問題では、文法の理解が問われます。また、共通テストの英文には中学レベルの文法が多く含まれているため、中学で学ぶ基礎英文法が土台となっています。基礎を軽視して速読に進んでも、必ずどこかで頭打ちするでしょう。


中学レベルの復習もカバーするドリル

Y:『高校英文法パターンドリル』には「高校」とついていますが、中学レベルの復習も含まれているのですか?

S:はい。be動詞の使い方からスタートし、否定文や疑問文の作り方もカバーしています。教えていると、そこからつまずく生徒が多いのです。例えば、現在完了形と一般動詞の「have」の区別がつかない生徒が多く、難関大学を目指す生徒でも混乱することがあります。


音声を活用した学習

Y:この本にはスマホで聞けるQR音声がついていますが、文法も音で学んだ方が良いのでしょうか?

S:そうですね。理論だけでも感覚だけでも不十分です。音声を活用することで、理論と感覚を補完し合うことができます。音声で練習することでスピード感も養われますし、英検や共通テストにも対応できるでしょう。

Y:なるほど。英文法を学ぶことが目的ではなく、4技能につなげるためのドリルということですね。

S:その通りです。ぜひ多くの方に使っていただきたいですね。

 


杉山一志先生の『高校英文法パターンドリル』は、英文法を理解するだけでなく、反復練習によって自然に使えるようにすることを重視しています。中学レベルの基礎からしっかり復習し、音声も活用することで、4技能に繋がる実践的な英語力を身につけることができる内容となっています。英検や共通テスト対策としても、基礎英文法を軽視せず、しっかりと土台を固める重要性が再確認できました。