規格覇権

電気自動車を購入する前に、絶対チェックしておきたいのが世界の充電規格の勢力図と変遷です。何十年も前の話ですが、ビデオデッキの企画競争があり、VHSとベータマックスが大戦争を繰り広げました。結果、VHSの勝利に終わり、ベータマックスは消滅したわけですが、それと同じような規格争いが世界の各地で今繰り広げられています。


現在の充電方式の種類についてまとめてみました。


「CHAdeMO」は、電気自動車の充電規格の一つで、名前は「Charge de Move」から来ており、日本語で「充電で移動」という意味があります。また、「O cha demo ikaga desu ka」(お茶でもいかがですか?)の意味も含まれており、車が充電している間に一杯のお茶を楽しむというコンセプトを示しています。



CHAdeMOプロトコルは、急速充電を可能にし、20-30分で車のバッテリーを80%まで充電することができます。これは長距離ドライブ中の休憩時間に合わせて設計されています。ただし、バッテリーの種類や容量、充電器の種類により、実際の充電時間は異なります。


この規格は、日本の大手自動車メーカーと組織が中心となって開発され、特に日本国内では非常に広く利用されています。ただし、世界的には他の規格との競争があり、CHAdeMO、CCS(Combined Charging System)、テスラのSupercharger(NACS)などが主要な急速充電規格となっています。


テスラのスーパーチャージャー(NACS)は、テスラが開発した高速充電ネットワークです。このネットワークは、長距離を移動する電気自動車に対して急速に充電する能力を提供します。車両のモデルやバッテリーの状態によりますが、一般的には、約20分から30分の充電で車を数百キロメートル走行できる程度の電力を供給することができます。


「CCS」(Combined Charging System)は、電気自動車の充電規格の一つで、特にヨーロッパと北米で広く採用されています。この規格は、AC(交流)とDC(直流)の両方の充電に対応しています。


CCS規格は、Type 1(北米で主に使用)とType 2(ヨーロッパで主に使用)の2つの主要なプラグ形式があります。Type 2はメンネケスプラグとも呼ばれ、ヨーロッパで広く採用されています。


CCSの目標は、電気自動車の充電プロセスを簡素化し、標準化することで、さまざまな車両メーカー間での互換性を確保することです。これにより、運転者は充電インフラストラクチャに関する混乱を避けることができ、電気自動車の採用を促進することが期待されます。


CCSは急速充電にも対応しており、電力供給能力は初期の数十キロワットから、最新規格では数百キロワットにまで増えています。これにより、15-30分程度で車両のバッテリーを大幅に充電することが可能になります。ただし、実際の充電時間は車両のバッテリー容量や充電器の電力供給能力によります。


中国は電気自動車(EV)の普及を推進しており、その一環として充電インフラの整備に力を入れています。中国の充電規格として主要なものは「GB/T」です。


GB/Tは中国の国家標準で、AC(交流)とDC(直流)の両方の充電に対応しています。特に急速充電(DC充電)の規格として、中国国内で広く採用されています。この規格に準拠した充電器は、中国国内の多くのEVメーカーによって採用されています。


さらに、中国は「China Electricity Council」を通じて、新たな充電規格「ChaoJi」の開発も進めています。ChaoJiは高電圧・高電流で急速充電を可能にする規格で、今後のEV市場における大きな要素となることが予想されています。


こんなふうに世界では充電規格が乱立している状況です。だからどの規格の車を買うのか購入者は悩むところですね。ただある地域では規格統一の兆しが見えてきました。それは北米の状況です。北米ではあるメーカーの規格に他のメーカーが続々と参加していて、もう規格競争は終焉に近づいています。日本のメーカーがどうするのか注目が集まっているところなので、EVを購入する前には、このような情勢をしっかりと把握してから購入した方が良いのかもしれませんね。


どんなEVを購入しようとも、今ある状況をフルに生かして、皆様のEVライフが楽しいものになりますように!