新興国に行くとよく見かけるバイクの群れ。ノーヘルで、家族が一台のスクーターで移動している。しかも群れの中にはトラックが混じっている。端から見ていると、怖くてしょうがない。


たぶん一生経験することはないだろうと思っていた。

が、今回のセブ訪問の前に、友人の藤岡頼光さんから、一通のメールが。


「安河内さん、セブに来るんなら、いっしょにツーリングしましょうよ。」


これは、衝撃だった。あの群れの中に!生きて帰れるのか?


「バイク、準備しておきますから。待ってまーす!」


もう、後には引けない。やるしかない。


おいらの死ぬまでやることリストの中には、マカオタワーからのバンジージャンプなんかが入っているが、強引に、また一つアイテムが加えられた。


セブに到着して、頼光さんの自宅に行くと、なんとドゥカティのスクランブラーが待ち構えていた。800ccの巨大バイクだ。



このパワーが、あのスクーターの群れの中で必要なのか、なんて思っているうちに、もう出発。なんだ、この爆音は!


天気は曇り時々雨。晴天より、涼しくていい感じだ。

町中を走って、知り合いの子供にカメラのプレゼントを届けに行く。でも、もちろんといえばもちろんだが、セブシティ名物の大渋滞にはまる。でかいバイクはゆっくり走るのが苦手だから、密集したバイクの中でバランスをとるのには苦労する。


交差点で止まっていると、隣のライダーがバイクを珍しがって話しかけてくる。話し込んでいるうちに信号が青に。で、発信しようとすると、油断してエンスト。交差点の真ん中で立ち往生。デュカティのスターターは、スライド式のわかりにくいもので、もたもたしているうちに道路の真ん中でクラクションの嵐。セブシティの洗礼だ。


なんとか、始動して、また渋滞の中へ。


またもや問題発生。のろのろ運転していると、エンジンが焼けるように熱い。ジーンズを通してやけどしそうな熱が伝わる。というか、ちょっとやけどした。


水たまりとぬかるみを抜けて、目的の家に到着したときには、バイクも自分も泥だらけ。これで完全に吹っ切れた。もう、洋服なんて気にしない。



用を済ませ、帰りは山間部を通るルート。渋滞知らずだ。


と、安心していると、今度は水たまりや未舗装の道もあり、崖崩れを回避することもあるワインディングロード。


バイクは少ないけれど、犬、猫、山羊、牛、鳥、豚が、道路にどんどん出てくる。見たこともないような巨大豚が寝ていたり、ヤンバルクイナ?みたいな不思議な鳥が横切ったり、新しいハードルをクリアしなければならない。


落石をよけ、水たまりに浸かり、ドゥカティ作ってる人は、こんな道を走るの想定してないだろう!


山中の素敵なレストランで、景色を楽しみながら休憩。


学校を訪問して、生徒たちが乗っているバイクにまたがらせてもらう。


 

そして、下山。


体中泥だらけ。でも、心の中は幸福感に満ちている。セブにやってきて、こんな素敵な体験ができるとは!藤岡さんありがとう!


よい子の皆さんは、まねしないでね!わるい大人たちは、自己責任でね!