十二国記 | 意見には個人差があります。

意見には個人差があります。

某ブログサイトが閉鎖されることになりましたので引っ越ししました。

これについて、どこかで書いた気がするが・・

 

私は、小学生高学年の頃、図書室で「ナルニア国物語」を見つけて

挿絵も含めて、大いに嵌ってしまい、その後も「ゲド戦記」やら

「指輪物語」やらの、所謂ファンタジー小説にのめり込んだ。

 

そして、ママになって暫くして後に「十二国記」に出会った。

 

その頃、私は百貨店に勤めており・・

百貨店の新館に「有隣堂」という書店が入っていて

少し安く購入できることも手伝って、書籍を買い漁っていた。

 

勿論、大好きな時代小説のハードカバーもいっぱい購入。

隆慶一郎さんに傾倒しちゃったのもその頃だった。

 

確か、ライトノベルコーナーに「十二国記」はあったと思う。

めちゃくちゃ面白くて、嵌まった・・・。

そして、五・六冊読み終えたところで、この小説は

パタッと途絶えてしまったのだった。

 

「え??嘘・・・十二なんだから、終わっちゃダメでしょ」

 

と、もの凄くもの凄く残念だったのを覚えている。

二回の引っ越しで、これも含めて殆どの書籍を手放した。

そして、ちょっと存在すら忘れかけていたのだが・・・

最近になって、TVで「十二国記」のアニメの再放送があった。

 

職場で話の合う娘のような同僚に、その話をしたところ

「確か、続編出たって、何かで読んだような・・」と。

 

「え??ホント???」

「はい、あれ?違ったかな??」

 

彼女は、ゲームおたくでアニメオタク・・。

 

早速、調べてみると・・・

彼女の情報は当たっていた!!!!

 

すぐさま、読んでいないと思われる続編を五冊購入した。

もう、五回くらい読み返している・・・。

 

あぁ~~~~・・・

凄い才能・・恐れ入ります、ホントに・・。

 

ご存知の方もいらっしゃるだろうが、一応。

いま、大ハヤリの「異世界物」の、まぁ「ハシリ」だろうか。

 

この世界とは別の所に、12の国からなる世界がある。

国は「王政」で、王が有能ならば国は栄えるが

無能ならば、荒廃し妖魔が出没して民は酷い目に合う。

 

世界の中心には、神のおわす天界とその支持を受ける場所がある。

神(天帝)は特殊な樹木に「麒麟」の実を宿させて

熟すと、実の中から「麒麟」が誕生する。

麒麟は、最初は獣形だが、成長すると人型にもなれるようになる。

麒麟の使命は「王」の選抜だ。王を決められるのは麒麟だけ。

直感のようなもので選んだ王と連れ立って、それぞれの国に降臨する。

 

国は、不老不死の王と麒麟によって統治される。

 

とまぁ、大雑把に言えばこんな世界で起こる様々が軸になった小説だ。

 

最初の主人公は女子高生だった。

「うん、ありがち」と思ったが、これが中々面白い。

或る日、スゴイ地震と共に彼女にしか見えないイケメンが現れる。

彼女の前に跪き「あなたが王です、誓約を」と訳の分からんことを言う。

一言「許す」と言えば済んだものを、恐くてそんなことは言える訳も無い。

そうこうする内に、地震の渦に友人共々巻き込まれて異世界に辿り着いてしまう。

女子高生二人と、男子高校生が一人。

 

主人公の女子高生は、実は何かの拍子にこちらに流されてしまった

異世界人、という設定で、だからか異世界に着いた途端に様子が変化した。

(容貌)

あとの二人は言葉も分からないが、彼女だけは言葉も理解できた。

でも、所詮女子高生だから、状況を飲み込むゆとりはない。

すったもんだの末に、はぐれていた麒麟と再会して

もう一人の女子高生は、無事に日本に帰って来る。

男子高校生は、生き別れになるが、後で死んでしまう。

主人公は、漸く自分の置かれた状況を理解し奮闘する。

 

次の主人公は、別の国の麒麟と王だ。

もう何百年も続く、裕福で進んだ国だが

王は、戦国時代に国ごと滅びてしまった日本人だ。

麒麟はと言うと、平安時代に日本に流れ着いた異世界の「実」。

麒麟は幼い子どもで、京都付近で餓死寸前のところを異世界に連れ戻される。

「麒麟の実」のなる樹木がある、女仙人たちの暮す山で成長するが

どうやら、異世界には王の気配がないらしい。

で、日本に戻って国が滅ぼされた男に出会い

彼に「王の気配」を感じて、異世界に連れて行く。

こちらも、すったもんだがあって、国が落ち着いていく。

 

私が読んだのは、この辺りまでだった。

 

続きは、前作でちょっと触れていたこれまた別の国の

10歳の麒麟が、王ともども行方不明になった所から始まった。

 

以前も思ったが、漢字が難しいのなんのって・・。

まるで、「三国志」や「項羽と劉邦」を読んだ時のような

多分だが、当用漢字には無い漢字を充てているのだ。

そうね・・・

途轍もなく中国の歴史に似通っている気がする。

あまり詳しくないが、高官やら官僚やらの名称もだし

氏名も、おそらく中国に寄せている。

すっごくキレイな挿絵なのだが、服装なんかも中国っぽい。

 

何度もウルウルした・・・。

 

何故なら、日本に流された「実」から生まれた10歳の麒麟が

異世界に連れてこられたものの、なかなか麒麟の姿になれず

無邪気な幼子なのに、王を選ぶことを使命と悟るあたりとか

王選びを間違えてしまったかもしれないと小さな心を痛める

そんな辺りを、もう既に前作で読んでいたからだ。

 

続編では、行方不明になっている王と麒麟を探し出そうと

全二作の主人公たちが協力し合ったりする。

他国干渉は、天帝の逆鱗に触れるからどうしたら?とか

中々興味深い・・。

 

手始めに、災害と共に日本に戻ってしまったらしい麒麟を探し出す。

ところが・・・

反逆者の手によって角を切られている麒麟は何も覚えていない。

その上、日本で色々と事件を起こしたために穢れている。

 

いや、この事件は麒麟が引き起こしたものではない。

麒麟は、実は妖魔を使役することが出来て

その妖魔たちを、自分の中に飼っているのだ。

妖魔たちは、麒麟に忠実だから、麒麟に害を成すものを処罰する。

見た目は普通の男子高校生の麒麟だが、近辺で怪我人が続出するから

「あの子は何かおかしい」という目で見られて悪循環に陥っている。

 

そんなだから、無事に連れ帰ることが出来るのか?と皆で話し合う。

結果、戦国武将だった二作目の王が日本に亘ることになった。

薄々「ここは自分の居場所じゃない」と感じていた麒麟。

何かに導かれて浜辺まで出向いた麒麟は、誼の麒麟の獣形を見せられ

一気に何もかもを思い出し、迎えに来た武将王によって異世界に戻って来る。

 

この後が、全四冊からなる「王奪還」の物語になるのだが・・・

これがもう壮大なストーリーで、構成も素晴らしい!!

王は、ライバル関係にあった将軍の目論みで鉱山に閉じ込められている。

麒麟の角を切ったのもこの将軍なのだが、麒麟は彼の元に帰る。

一方では、生き残っている部下たちが王を探し続け

一方では、麒麟が仇の将軍の元で、奔走する。

ストーリー的には、二方向からの構成で進んでいく。

 

最後、めでたしめでたしです、はい。

 

処刑スレスレの王の前まで行って跪く麒麟。

名前を呼んで「大きくなったな」と言う王・・。

角を切られて、もう麒麟の姿にはなれないと思われた彼が

王の特徴である赤い瞳に見つめられて、麒麟の姿に変わる。

そして、王の手に顔を摺り寄せ、騎乗するよう促す。

 

麒麟は、元々王以外の前では跪けないし

ましてや、獣形になった背に乗せられるのも王だけなのだ。

こういう節理は、全部天帝が定めている世界なんだよな。

 

ちょっと分かりにくかったかな???

自分でも書いていて分かんなくなっちゃってるかも・・。

 

何しろ、スケールのデカい作品で・・・

ちょっと隆慶一郎さんの「捨て童子」「花と火の帝」

「影武者徳川家康」なんかを思い出しちゃう・・。

 

うん、時代小説さながら、だな。