脳卒中の治療TMS(上肢麻痺に効果的な治療) | 中国の果てで理学療法

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2013年 青年海外協力隊参加
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現在、脳の機能と構造に着目し、損傷後の神経機能回復の促進を目的としたニューロリハビリテーションにより機能的再構築を図ることが重要と考えられている。


ニューロリハビリテーションとは損傷後の神経機能回復の促進を目的にしたリハビリテーション。その訓練法としては、以下のようなものがある。


•CIM訓練(強制誘導運動療法:constraint-induced movement therapy)

•部分免荷トレッドミル歩行訓練

•ロボットによる訓練



また、東京慈恵会医科大学の安保雅博教授グループが体系化した世界に先駆けて考案したTMSは、脳卒中後上肢麻痺に対するアプローチで、多くの患者で上肢機能の回復が見られている。


TMSとは、八の字型コイルから(垂直方向に)発生する磁力で、大脳をほぼ無痛性に局所的に刺激する装置である。  


TMS装置

元々は検査目的で用いられていた装置だが、近年になり、10~20分などと連続してTMSを行うことで脳の活動性が変化することが明らかとなった。

そして、脳卒中後のリハビリへの応用が先端的施設で開始されるに至った。

具体的には「脳のもつ機能代償能力(障害を補う力)を最大限に発揮させる」ことを目的として用いることとなる。

健側大脳に低頻度TMSを与えると、健側大脳から病側大脳にかかる(半球間)抑制 が低下して、結果的に、機能代償を担うとされる病巣周囲組織が抑制から開放されることでその活性を増すものと期待される。



TMSとは


TMSを行うことで、脳の神経活動性が高まり、リハビリに反応しやすくなる


そして、照射後集中的にリハビリをすることで、


脳の代償能力が最大限に発揮され、神経症状の回復が促進される



この治療法は日本では東京慈恵会医科大学の研修を受けている以下の8病院で受けられる。


① 東京慈恵会医科大学付属病院(東京都港区)

② 東京慈恵会医科大学附属第三病院(東京都狛江市)

③ 医療法人(財団)共済会清水病院(鳥取県倉吉市)

④ 社会医療法人財団慈泉会相澤病院(長野県松本市)

⑤ 医療法人財団健貢会総合東京病院(東京都中野区)

⑥ 医療法人社団朋和会西広島リハビリテーション病院(広島県広島市)

⑦ 医療法人光心会 諏訪の杜病院(大分県大分市) 

⑧ 医療法人寿人会 木村病院(福井県鯖江市)


この他にも、研修を受けていないが、受けられる病院は数病院ある。


適応もあるため、お近くの各病院に問い合わせてみてください。


現在はまだ研究段階のため、今後研究が進むにつれ、実施する病院も多くなり、一般化されるようになるかもしれない。