実はそれがしも子どものころからずっと座右の銘にしてきたこの最後の一文「一期は夢よただ狂え」は、ビジネスなどでもよく座右の銘にしている方を見かけます。真の意味を知っている人は少ないようです。
『閑吟集』は恋愛をうたったものが多く、この節も例外ではなく、真の意味を知ったら、ほとんどの方が座右の銘にはしないかもしれません。

あ、逆に真の意味を知って、あえて座右の銘にする方も続出するかも…???

 

『閑吟集』

 

夜中は 地櫓裏に 巣刳る ちろりちろり

何と裳 男矢綯う 何とも なやなう 浮き夜は夫婦の射地葉よ

何と裳 男矢綯う 何とも なやなう 人生刺地自由 古来稀なり

ただ男尼事も かごとも 夢間穂ろ刺や 見ずの吾和 笹の葉に置く 露の間に 吾地木無の(き)夜や 

夢幻や 男無産法

来巣む人は 試られぬ 夢の夢の夢の夜を 有筒顔して

何せうぞ 来巣んで 一期は夢よ ただ刳るへ

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世の中は ちろりに 過ぐる ちろりちろり

何ともなやなう 何ともなやなう うき世は風波の一葉よ

何ともなやなう 何ともなやなう 人生七十 古来希なり

ただ何事も かごとも 夢幻や 水の泡 笹の葉に置く 露の間に あじきなの世や

夢幻や 南無三宝

くすむ人は 見られぬ 夢の夢の夢の世を うつつ顔して

何せうぞ くすんで 一期は夢よ ただ狂へ

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【意味】
夜は幸寝て過ごすに限る ぬるりぬるりと
タコ壺が竿をワラのように綯うと 何とも良い気持ちじゃ 夫婦の幸寝は浮き夜になるよ
桃が良く楽しませてくれるよ とは言え 人生で多くの女を楽しむことは 昔から稀なことよ
男を抱くことを夢見ても 適った夜はないわ 幸寝た種水が私の桃に付くこともない つまらなぬ夜ばかり続いているわ
男なしで産む方法は 夢まぼろしに過ぎないわ
夢の妻を求めて 呼合いに来たが またもはかない 夜の夢だったよ
一生抱けないなら いまのうちにたくさん抱いておけ

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