前回までに、ルドルフ・シュタイナーの著書の

「危機の時代の人智学①②巻」の簡単な紹介と概要を書かせていただいて

今回は同様に③巻について書こうと考えていたので

改めて③巻を読み直してみたのですが

①②巻と比べて内容が難しいなと感じました。

③巻の内容は、3つに大きく分類できます。

 

○人間本性の中の悪の要素に関してと、この要素が2つに大きく区分されること。

 正しい人間理解で2つの悪の要素と均衡を保ち、正しい精神状態に身を置くこと。

 (1919年の講演内容)

 

○共同体を人智学的に形成していくための説明

 (1923年の講演内容)

 

○訳者:高橋巌氏の講演。三島由紀夫氏の話など。

 (2020年京都での公演内容)

 

人智学③を読むにあたり、先にこちらのRシュタイナーの著書

 

 

「バガヴァッド・ギーターとパウロの書簡」を読んだほうが理解し易いのではないかと思ったので

今回は、こちらの簡単な紹介と概要を書かせていただくことにしました。

 

帯の紹介文はこのようになっています。↓

 

人間の魂と運命に及ぼす宇宙観はどのように形成されてきたか。

「バガヴァッド・ギーター」(=過去の時代の開花)と

「パウロの書簡」(=未来の時代の萌芽)が交差する時

東と西の霊性の融合、壮大なシュタイナー思想の真骨頂。

人智学協会を立ち上げた際の有名な講義。

 

「ギーターとパウロの書簡」は、

1912年12月~翌年1月のRシュタイナーの講演内容になります。

時系列的にも人智学③よりも前になります。

 

一般的なバガヴァッド・ギーターの簡単な紹介です。↓

 

東洋(インド)で約2200年~2500年前に成立したとされている

ヒンドゥー教の聖典の一つ。

王子アルジュナが神クリシュナから教えを受け、苦悩しながら同族と戦争をする物語(詩)

 

同じくパウロの書簡の簡単な紹介です。↓

 

パウロはキリスト教の使徒。

新約聖書の中のパウロが執筆したとされたとされている文書。

東洋のギーターに対し、西洋のパウロの書簡ということになります。

 

著書は以上の2つの文書(聖典)の概要説明と比較になっています。

著書内の文量としては ギーター7:パウロ3 ほどの割合です。

ギーターやパウロの書簡に関しての書籍はたくさんあると思いますが、

今回はRシュタイナーの著書内容に沿って概要を書きます。

 

ギーターは東洋の思考・感覚・感情のあらゆる方向、あらゆる観点の融合である

と言えるものを私たちに示してくれると記述されています。

ギーターには三つの精神潮流である、ヴェーダ・サーンキヤ・ヨーガの全てが

互いに調和し、互いに浸透し合っているとされています。

 

「ヴェーダ」とは、

日常生活の人間の自我は、高次の本来の自己の模造であり

更にこの自己は万有を包摂する宇宙自己と一つである。

ヴェーダは人間と宇宙統一性との関係の教え。

大いなる存在と自己は一つであり繋がっているという教えです。

 

「サーンキヤ」とは、

物質元素の追求と研究(見霊科学とも言える)

感覚で知覚できる物質元素だけではなく、

霊的な超感覚的な元素、エーテル体を構成する精妙な諸元素なども

研究対象に含まれる。

著書では根源物質に関してなど詳細に解説されています。

サーンキヤに基づいて魂を3つの状態で示します。

魂が外側の物質原理よりも優勢(圧倒している)状態を「サットヴァ」、

逆に魂よりも物質原理のほうが優勢な

(魂の表現が肉体に妨げられている)状態を「タマス」、

魂が優勢であるのでも、肉体が支配しているのでもなく

サットヴァとタマスの均衡が保たれている状態を「ラジャス」と呼びます。

これらの状態を3つの「グナ」と呼びます。

見霊能力が高い状態から順に、

サットヴァ→ラジャス→タマス となり

低い状態がより物質に没頭している状態と考えていただけるといいと思います。

 

*サーンキヤ哲学の創始者カピラの居住地カピラヴァストゥは、

 仏陀(ゴータマ・シッダールタ)が王族として出生した場所です。

 

行を用いることで諸力を目覚めさせ、

魂の高次の力を呼び起こす方法が「ヨーガ」となります。

 

(著書には詳細に年代など記されているのですが、)

以前の人類文化の全てはサットヴァ状態で

その後、ラジャス状態になり現代はタマス状態ですが

未来に再びサットヴァ状態に変化すると記されています。

 

人類をサットヴァ時代からタマス時代へと導いたのがクリシュナでした。

自由な独立した自我は肉体の中でしか手に入れることができなかったため、

クリシュナは、人類が学び進むために人類をタマス時代に導いたとされています。

一方でヨーガによって3つのグナを越えて更に脱ぎ捨て、

魂的・霊的に高みに上昇する方法も示しました。

 

著書の終盤から

人間の、物質のことしか考えない全て・物質の中だけで閉じこもり生活する全て

死で全てが終わると思い込んでいる全てについて触れられています。

Rシュタイナーはこれらをデモーニッシュなものと表現しています。

このデモーニッシュなものが魂の高まりを引き止めるとしています。

このあたりの内容が上記の「危機の時代の人智学③」の内容と繋がってきます。

著書ではここからキリスト・パウロの記述がされています。

このあたりのキリストの物語の内容は、

以前紹介させていただいた

「危機の時代の人智学①」と少し重なっている部分もあります。

 

デモーニッシュなものの内容との関連で、

物質世界がマーヤー(幻影)なのかどうか?ということに関しても言及されていて

印象的でした。

 

ギーターが成立した時代は、現代のように書物はなく

師匠から弟子に行の説明をする際は口伝でした。

師匠は弟子の成長に合わせて、理解できる説明を順にしていました。

Rシュタイナーの時代は既に書物が流通していたので、

高度な教えを誰でも読むことができる状態だったと記されています。

(現代では更に書籍が簡単に入手できるようになり、ネットも普及しています。)

高度な教えは、まだそれが理解できるまでに至っていない人にとっては

読んでもすぐ序盤で眠くなるようになっていると記されています。

過去に読んだ教えを行を積んでから読み直してみたら理解が深まっていた

ということもあると思います。

 

*今回の内容で登場した、サットヴァ・ラジャスの状態に関しても

 実際に自身で体感して認識してみないと

 中々理解することが難しい部分もあるかなと思います。

 

*今回紹介させていただいた著書には行や訓練法などは記載されていません。

 

著書後半に訳者の高橋巌氏の2016年京都での講演内容が記載されています。

高橋氏の解釈でRシュタイナーの内容を解説してくださっていたり、

質疑応答も掲載されているので、理解の手助けになると思います。

 

だいぶ簡略化した紹介になりましたが、よければ参考にしてみてください。

 

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