*前回の続きをRシュタイナー著書を参照して記述します。
(前回の記述に魂に関する概要があります。)
難しい内容のため、
内容の趣旨を変えてしまわないように気を付けつつ、可能な限り簡略化します。
物質世界において、物質に作用する法則があるのと同じように
魂世界(アストラル)にも、魂的な事象に作用する法則が幾つかあります。
ただ、
物質世界とは違い魂世界では「素材」と「力」を厳密に区別することはできません。
まず最初に魂の形成物の基本的な説明になります。
物質の球体が転がって、別の静止している球体に衝突した場合
2つ目の球体の転がる方向や距離は、1つ目の球体の動きなどから計算できます。
物質世界で2つの形成物が出会った場合には、
その素材や力で作用を割り出すことができます。
魂世界の場合は2つの形成物が出会った場合に生じる作用は
2つの形成物の内面的な特性によって影響を受けます。
形成物同士が類縁関係にある場合→形成物同士は浸透・一体化する
形成物同士が対立関係にある場合→形成物同士は反発しあう
となります。
物質世界では近くの物は大きく、遠くの物は小さく見えます。(遠近法)
魂世界では近くにあるものも遠くにあるものも全て、
その内面的な本質によって決定される距離をとって出現します。
魂世界の形成物の種類は「共感」と「反感」の2つの基本的な力が
形成物の内面でどのように作用するかによって決まります。
共感→形成物が他の形成物を引きつけ、溶けあおうとして
他の形成物と類縁関係を示すときに作用する力
反感→形成物が反発・排除しあい、自己主張しあうときに作用する力
ここまでが形成物の特性の基本的な説明になります。
ここから形成物の種類を記述していきます。
1、欲望の灼熱の領域
共感<反感 の形成物(物質世界に例えると固体)
この形成物の場合、
共感と反感の両方が存在していますが、反感のほうが圧倒して優勢になっています。
共感も作用しているため、周囲の他の形成物を自分に引き寄せますが
反感の作用で周囲に存在しているものを自分からはねつけます。
そのため外から見ると反感の力だけを備えているように見えます。
まとめると、これらの形成物は自分の周囲から多くのものをはねつけ
ほんのわずかなものだけを愛情をこめて引き寄せます。
多くのものをはねつけるため、満足感が生じなくなります。
このような一部が人間や動物の魂のなかに混入すると
低次の感覚的な衝動、強いエゴイスティックな本能が姿を現わします。
2、流れるような感覚の領域(中性)
共感=反感 の形成物(物質世界に例えると液体)
これらの形成物は中立的な態度で他の形成物と向き合います。
自分と周囲の間にはっきりとした境界線を引かず、
他の形成物を引き寄せたり、はねつけたりぜず、
周囲の他の形成物の作用を受け続け、多くのものと類縁関係を築きます。
例えば、赤いリンゴを見た時に好き嫌いの印象が生じない、中性のときの状態です。
もしここでリンゴに対して好き嫌いが生じた場合、
共感や反感と結びついた魂的な作用が現れます。
3、願望の領域
共感>反感 の形成物(物質世界に例えると気体)
反感の力の影響は弱く、まわりの事物に対する愛着が目立つようになります。
この形成物を中心点として、
吸引力が周囲の対象を越えて広がっていき独自の領域を作り上げます。
引き寄せる力は、
引き寄せられた対象が形成物自身の領域のなかにもたらされるように作用します。
4、快感と不快感の領域
共感>>反感
3の領域よりもさらに反感が退き、共感が作用するようになった領域になります。
共感は最初のうちは、魂の形成物を構成する要素の内部において作用し
これらの要素はお互いに引き寄せ合うように作用します。
ある魂の形成物の内部で働く共感の力は、快感という感情となって姿を現わしますが
このような共感が弱まることは全て不快感となります。
(暖かい部屋にいるときに、
隙間風が入って少し寒さを感じた時に不快感が生じるのと同じ理屈です。
快感状態が弱まることで、不快感が生じるということになります。)
快感と不快感は人間のなかでは感情として作用します。
人間の魂が感じる心地良さの程度は、快感と不快感の感情が
魂の中でどのように作用するかということによって影響を受けます。
1~3までが魂世界の低次の領域となり、4を仲介して
以降の5~7までが高次の領域となります。
7つの領域はばらばらに切り離されているということではなく、浸透しあっています。
5、魂の光の領域
共感>>>反感 (物質世界に例えると光)
魂の形成物の中で働く共感の力が、反感の力よりも圧倒的に強い。
5番目の領域において
反感に似た力が生じる場合には
魂の形成物は自分が生活を営むために、他の形成物を通して自己を強め
豊かなものにするために他の形成物を手に入れようとします。
反感に似た力が鎮まる場合には
魂の形成物は自分の前に姿を現わす他の形成物や開示を
ありのままに受け入れます。
このような高次の形態は、
物質的空間における光のような役割を、魂空間において果たしています。
高次の形態の作用を通して、魂的な形成物は自分自身のためではなく
他の形成物のために、他の形成物の存在と本質を吸収し、
他の形成物によって照らし出されます。
高次の領域から様々な要素を受け取ることで、
魂的な存在は、本当の意味での魂の生活に目覚めます。
低次領域の素材のみによって貫かれていたときの、魂の形成物は
反感の作用によって自己を閉ざそうとし、怠惰で鈍い内面的な活動をしていましたが
このような活動は、内面から発生し外に向かって溢れ出る力と活発さに変化します。
*5番目以降の領域が大事なので、説明が長くなっていると思われます。
内面に小さな欲やイライラなどが発生したときに、
それが在る、と自分で自分を観て気づく(自分の内面に光を当てて照らす)ことで
発生した衝動を変容させることが可能になります。
内面の変容に関して、少し極端な例えになってしまいますが、
機嫌が悪いときや、普通のときにイライラする出来事が発生した場合と
物凄く気分が良いときにイライラする出来事が発生した場合を想像してみると
気分が良いときは、良い気分にイライラが吸収され変容することがあると思います。
苦悩な出来事が起こった場合も、
「今回の苦悩の出来事を通じて、また一つ学ぶことができました。ありがとう。」と
発想を転換することができれば内面はかなり変容すると思います。
6、活動的な魂の力の領域
7、魂の生活の領域
共感>>>>>反感
*著書では6~7に関する解説は短いです。
共感の力が上がるほど領域も上がっていくと考えていただけるといいと思います。
5~7までの3つの領域では共感の力がますます自由になります。
この領域の魂的な素材は光り輝きながら、生命力を与えながら、魂の空間を満たし
内面において自分自身を見失ってしまいそうになる魂の形成物を目覚めさせます。
6の領域に属する力は物質世界の熱のように内側から、
7の領域に属する力は物質の世界の光のように外側から作用します。
○魂は体のなかで生じるあらゆる事柄に関与します。
体の活動が規則正しく営まれているときには
魂の中に快感と心地良さが生じ、活動が妨げられると不快感と痛みが生じます。
○魂は霊の活動に関与します。
魂はある思考を通して喜びを抱き、別のある思考を通しては嫌悪感を抱きます。
言い換えると、魂は(霊の視点から観たときに)
正しい判断には喝采を送り、誤った判断には不快感を抱きます。
魂が霊の顕現に共感すればするほど、人間はいっそう完全になり
魂の好みが体の営みを通して満足を覚えることが多くなると、
人間はそれだけ不完全になります。
*衝動・欲求・感情・情熱・願望などが発生する際に、
魂世界でどのような作用が起こっているのかという説明箇所でした。
集中・瞑想・自己観察の際に役立つかもしれません。
物質世界を認識している状態で、物理法則を理解することも難しいですので
魂世界の法則を理解することは更に難しくなると思います。
今回の箇所は、Rシュタイナーのテオゾフィーの中でも特に難しい箇所だと思います。
霊・魂・体に関する説明を記述するために、
著書全体でみると今回の説明も必要になってくるのだと思います。
長く難しい内容になりました。どうもありがとうございました。